バルサの個を上回ったビジャレアルの戦術レベル。華麗なだけではないスペインの魅力

3月21日(月)9時38分 フットボールチャンネル

孤立したスアレス。ボールタッチでチーム最少

 リーガエスパニョーラ第30節、バルセロナはアウェイでビジャレアルと対戦し2-2の引き分けに終わった。前半はメッシの活躍などで2-0とリードを得たバルセロナだったが、ビジャレアルは戦術面で上回り後半には2点差を追いついて勝ち点1を分け合った。この一戦にはスペインサッカーの真の魅力と強さの秘密が詰まっていた。(文:海老沢純一)

—————-

 華麗なボールさばき、強靭なフィジカルのぶつかり合い、勝利をあきらめない魂の激突、狡猾な駆け引き…。サッカーというスポーツには様々な魅力が詰まっており、その特徴は世界各国のリーグで異なる。

 スペインにはロナウジーニョにシャビ、フィーゴにジダンなどなど世界有数の名手が集ってきた歴史があり、現在でもメッシ、ネイマール、スアレス、クリスティアーノ・ロナウド、ベイル、ベンゼマなどなど世界トップの技術を持つ選手が集結している。

 しかし、リーガエスパニョーラを観る者にとって、最大の魅力と感じられるのが他国のリーグとは一線を画した「戦術」である。

 この日、ビジャレアルはホームのエル・マドリガルにバルセロナを迎えた。結果は2-2。ホームとはいえ、資金的にも戦力的にも大きな差があるバルセロナを相手に0-2から追いついての勝ち点1を獲得した。

 マルセリーノ監督に率いられるビジャレアルは、フラットな4-4-2で戦う。画面越しにも一目瞭然なほどきれいに整列する3つのラインは、やや引き気味ながら完璧なまでに統率されてバルセロナのパスコースを消した。

 バルサは支配率65%、パス成功数594本と普段から考えてもまずまずの数字を残しながらも、最後の決定的なエリアではいい形でボールを入れることができず、センターFWのスアレスのボールタッチ数は先発した11人中ダントツで最少の37回にとどまっていた。

2点ビハインドで“オールコートプレス”を仕掛けたビジャレアル

 そして、統率された4-4-2の守備からカウンターを繰り出すビジャレアルは、確実にバルセロナのゴールに迫っていた。それでもリードを奪ったのはバルサ。それも2点。

 まずは20分、メッシのFKからこぼれ球をラキティッチが拾ってネットへ。41分の2点目はネイマールによるPKでの得点となったが、このファウルを誘ったのはメッシのスルーパスだった。

 ここまでチャンスメイク数ではバルサの3回に対して4回と、戦術の機能という意味では上回っていたビジャレアルだが、メッシが繰り出した1本のパスによって2点というビハインドを背負わされてしまった。

 これもまたリーガの魅力の1つともいえる。高次元の戦術が繰り広げられるピッチで、それを凌駕する個の力も瞬間的に発動される。

 ビジャレアルはマルセリーノ監督が退席処分となるなど、パフォーマンスにはそぐわない結果をとなった前半だった。それでも後半に入ると、その戦術レベルはさらに引き上げられる。

 前半には引き気味だった重心を前に押し上げることで、プレスの強度を高めてDFラインの裏を狙ったショートカウンターに転じる。この戦術変更をスムーズに遂行し、前半の45分を戦った上で体力的に相当な負担のかかる“オールコートプレス”を実行する選手の頭脳と体力は凄い。

残念だった主審のパフォーマンス

 重心が前に移ったことでビジャレアルはFWセドリック・バカンブのスピードがより生きるようになり、対峙するバルサのCBジェラール・ピケが度々裏を取られる状況となった。

 そして前半に警告を受けていたピケは、主審のホセ・マリア・サンチェス・マルティネスがカードを乱発していたこともあり、2枚目を危惧してかマテューと交代。その直後にバカンブに追撃となる1点を決められ、63分にはCKからマテューがオウンゴールを献上してしまう。

 前半に見られたビジャレアルのハイレベルな戦術は、形を変えて後半にさらに高まった。後半の45分間は、バルサの名手たちもその力を発揮するチャンスがないままとなっていた。

 CLではアーセナルという世界有数のビッグクラブがなす術のないまま敗戦を喫したバルセロナを相手に、ビジャレアルは互角以上のパフォーマンスを見せた。スペインでは多くの優秀な指導者が生まれ、他国リーグに渡った選手は違いを生み出す存在となっている所以がわかる。

 ただ1つこの好試合で残念だったのは、疑問の残る判定を繰り返し、イエローカード12枚を提示した主審のパフォーマンスだった。

(文:海老沢純一)

フットボールチャンネル

スペインをもっと詳しく

BIGLOBE
トップへ