広島、ACL2没収試合に関して4つの原因と再発防止策を発表…準々決勝参加報酬は半額が支払われず
2025年3月21日(金)15時8分 サッカーキング
広島がACL2没収試合についての概要と再発防止策を発表
2024−25シーズンより新設されたACL2に参戦した広島は、リーグステージを5勝1敗という成績で終えると、、ラウンド16ではナムディンFC(ベトナム)を2戦合計7−0で撃破。ライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)との顔合わせとなった準々決勝では、本拠地『エディオンピースウイング広島』で行われたファーストレグを6−1で制し、ベスト4進出に王手をかけたかに思われた。
しかし、この試合で新天地デビューを飾り、投入直後にはネットを揺らしたフランス人FWヴァレール・ジェルマンについて、広島加入以前の昨年2月に科された出場停止処分を消化していなかったことが判明。アジアサッカー連盟(AFC)はファーストレグを没収試合とし、ライオン・シティ・セーラーズの3−0での勝利扱いとすることを発表した。大逆転を目指して敵地に乗り込んだ広島だったが、セカンドレグは1−1で終了し、ベスト4進出を逃している。
今回の発表では、没収試合だけに留まらず、広島に1000ドル(約15万円)の罰金処分が科されたことも明らかに。また、準々決勝の参稼報酬16万ドル(約2400万円)のうち8万ドル(約1200万円)の支払いも行われないようだ。
クラブは外部有識者のアドバイスの元、久保雅義代表取締役社長の取締役報酬月額10%の自主返納2カ月、雨野裕介強化本部長の基本報酬月額の10%の違約金徴収1カ月、栗原圭介強化部長の基本報酬月額5%の違約金徴収1カ月という処分を科すことを決定。久保氏については本人から申し出により、期間は6カ月となるようだ。
なお、今回の事案の概要、原因、再発防止策は以下の通り。
◼︎概要
①当該選手は移籍に際し、オーストラリアリーグにおける試合中の違反行為に対し、2試合の出場停止処分を科された状態でサンフレッチェ広島へ移籍。FIFA規則に基づき、当該残存の2試合の出場停止処分について移籍先の日本において消化が必要である旨、オーストラリアサッカー協会から日本サッカー協会(JFA)宛に書面による通知を受け取った。念のため、本件に関しJリーグに照会したところ、本件出場停止処分の消化は国内リーグのみに適用されるため、ACL2に影響がないとのことだった。
②当該選手からUEFAチャンピオンズリーグでの退場についての申告があった。それを受けクラブとしてその後のAFCカップにも出場していたことを確認し、Jリーグから直近のAFCカップ公式記録を取り寄せた。内容の確認を行い退場等の記録はなかったため、問題ないと考えた。Jリーグ担当者からは、懲罰通知は選手や所属クラブが書面で受領しているはずなので、選手・元クラブに詳細を確認するようアドバイスがあった。その後当該選手からUEFAチャンピオンズリーグではなく、AFCでの大会で出場停止処分が残っているのではないかとの訂正があった。しかし、公式記録で出場していたこと、そして退場等の記録がないことを既に確認していたので、引き続き問題ないと判断し当該選手の出場登録を決めた。
③試合日前日のMCM(マッチコーディネーションミーティング)資料内においても当該選手の出場停止の記載はなく、試合当日もAFCから出場停止選手について指摘事項はなかった。
④3月6日にAFCから違反通知(出場資格がない選手を出場させた)の通達があり、クラブとして初めて当該選手のAFC競技会における出場停止処分を認識。試合終了後の行為による出場資格停止処分であったため、AFCカップ公式記録には退場等の記載がされていなかったことが判明。AFCへ弁明書を提出するも、3月8日にAFCから確定した懲罰処分の通達があった。
◼︎原因
①AFCのレギュレーションでは「AFC事務局による参加選手の登録の承認は、その参加選手が本大会に参加する資格を有することを意味するわけではない。各参加クラブは、資格を有する参加選手のみを試合に出場させる責任を負う」となっている。このレギュレーションへの認識の甘さがあったこと。
②オーストラリアサッカー協会の出場停止に関する通知義務は、国内の懲罰未消化に限定されること=「国際大会については、懲罰未消化の通知が届くとは限らない」という認識がJリーグを含め、なかったこと。
③当該選手から出場資格停止の可能性について報告を受けた際、AFCへの直接確認ができるタイミングがあったにも関わらず、詳細なヒアリングを怠たり事案の特異性に気づかず、出場停止の公式記録の確認に終始し、出場可能と判断したこと。
④競技会以外(試合終了後など)での事象で出場資格停止処分を受けた場合、公式記録に記載されないという、レアな事例に遭遇してしまったこと。
◼︎再発防止策
①AFC等国際大会における業務手順の見直しを行うとともに、レギュレーションや参加資格、海外大会ならではの注意点や問題点等を専門家にアドバイスをいただきながら再確認を徹底します。さらに、海外(AFC)とのコミュニケーションをとれる体制を構築していきます。
②移籍選手の出場停止処分等のクリティカルな情報については、調査を徹底します。
③海外案件に関してのJリーグ/JFAとの連携について再確認します。日本のクラブが海外大会において失敗を繰り返さないよう、Jリーグ/JFAの相談機能の強化及び相談ルートの確立を働きかけていきます。
今回の事案を厳粛に受け止め、クラブをあげて信頼回復に努めてまいります。