愛情に包まれたBMWスタジアム。遠藤航と岡本拓也が語った、古巣への感謝の言葉

3月22日(火)11時12分 フットボールチャンネル

遠藤航、初の湘南戦。古巣への“少し遅れた挨拶”

 その日のBMWスタジアムでは激しい試合が行われたが、試合終了のホイッスルが鳴ると、一転して愛情に包まれていた。浦和レッズはアウェイで湘南ベルマーレに勝利した試合で、2人の選手が古巣対決に臨んでいる。遠藤航と岡本拓也は、それぞれ古巣への感謝の言葉を語った。(取材、文:今関飛駒)

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「ワタル! ワタル!」

 試合終了後、遠藤航の名前がBMWスタジアムに響いた。彼の名前をコールしたのは、浦和サポーターではなく、湘南サポーターだった。

 浦和は敵地で湘南に2-0で勝利した。拮抗した展開が90分続いたが、両チームともに激しくぶつかり合い、そしてともに全力で走った。

 地元・戸塚出身で、ユースから湘南でプレーしてきた遠藤は、この冬に浦和移籍という決断を下した。この試合が、彼にとって初めて古巣との対戦である。

「やりにくさは感じなかった。むしろ特徴はみんな分かってるので、DFとしては『こういうプレーしてくるのかな』という予想はつきやすかったと思います。もちろん、気持ちが昂り過ぎて空回りしてしまうこともあると思いますけど、出来るだけ落ち着いて、欲を出さず、変なことは考えないで自分の出来ることを考えてプレーしていたので、今日はそれができたと思う」

 遠藤は試合後にそう話した。古巣対決、特にユースから過ごした思い入れのあるクラブとの対戦だったが、彼は良い意味で意識することなく試合に臨むことができたと語っている。

 しかし、決して遠藤が古巣への感謝を忘れたわけではない。自ら湘南のサポーターのもとへ向かい、少し遅れた別れの挨拶を告げた。

「移籍して挨拶できていなかったので、気持ちとして挨拶しておかなきゃというのはあった。サポーターのみなさんも拍手で迎え入れていて、やっぱり湘南サポーターのみなさんから改めて愛されてたんだなと感じました」と、感謝の言葉を口にした。

 その場から離れてみて、改めて感じる愛情もあるのである。

浦和から湘南へやってきた岡本拓也

 そして、この試合にはもうひとり古巣対決となった選手がいる。浦和から湘南に期限付き移籍している岡本拓也だ。

 彼が昨年、赤いユニフォームを来てプレーしたリーグ戦はわずか3試合。槙野智章、那須大亮、森脇良太からポジションを奪うことができず、出場できたのはいずれも森脇が欠場した試合のみだった。

 そんな岡本は今年、自身の成長の場を湘南へと移した。遠藤と同じく、初めての古巣対決である。

 キックオフ前、スタメン選手紹介で岡本の名前が読み上げられた。浦和サポーターからは拍手が送られた。「拍手でした? 嬉しいですね。良かったです。笑」。岡本は、はにかみながら喜んだ。

 試合後、浦和サポーターへと挨拶へ向かう際には、「岡本、戻ってこいよ! 待ってるからな!」と激励の言葉も受けた。「ああやって温かく迎えてくれて嬉しかったですし、こういう環境を与えてくれた浦和に感謝しながらプレーしたいと思います」と、23歳のDFは感謝の言葉を述べた。

 普段の彼は、物静かな性格だ。それは、「普段は無口だし、そんな人にガンガン喋りかける感じではないです」と自らも認めるところである。

 しかし、「ピッチに入ると人が変わるとは言われます。結構荒くなりますね」と言うように、試合が始まれば闘志を前面に押し出すプレーを見せる。この試合でも激しい守備を見せ、李忠成への厳しいタックルでイエローカードを受けるシーンもあった。

 昨年ともにDFラインを組んだ槙野は「前の強さは良さでもある」と語り、守護神の西川周作も「ボールの球際も強い選手だった。彼も負けたくない気持ちで戦ってたと思いますし、僕自身も見ていて相変わらず激しいなと思った」と話すように、岡本の持ち味は“前への強さ”にある。

 そして、2人の日本代表が語った岡本の特徴こそ、彼が湘南移籍を選んだ理由でもある。

「自分に合うと思って湘南に来たので。攻守に積極的にプレーするところですね。前からプレッシャーをかけることは、自分の前への強さが活きると思ったので」

初の古巣対決となった遠藤と岡本

 そんな話を岡本としていると、TVインタビューを終えた曹貴裁監督が彼のもとへやってきてポンと頭を叩いた。そんな曹監督の冗談交じりのコミュニケーションを、岡本も笑顔で受け止めた。「熱い方ですね。チームをひとつにまとめるのがうまいと思います。選手ひとりひとりを見ていると感じます」と印象を述べた。遠藤も、曹監督の人柄を「選手を第一に考えてくれる監督」と語っている。

 そんな岡本の今の目標は、再び浦和でプレーすることではない。

「今は湘南のためにプレーする、湘南のために勝利を目指すことしか考えてないです」。それまでは言葉を選びながらゆっくりとした口調で話していた岡本だが、それについて話が及ぶときっぱりと断言した。

 岡本が来年、赤か緑、どちらのユニフォームを着てプレーするかは分からない。だが、どのクラブでプレーすることになろうと、成長した姿を浦和サポーターに見せることが最大の恩返しになるはずだ。

 そして、浦和でのデビューから1ヶ月が経った23歳の遠藤も、「出場機会をもらって、ACLも何試合かプレーさせてもらっているので間違いなく良い経験はできていると思う。ただ、もう少し上手く活かせた試合、勝ち点を取れたという試合もあった。自分としても良いプレーもあったし課題だと思うプレーもあった」と、さらなる成長を誓った。

 初めて古巣との一戦を終えた遠藤と岡本。彼らが新天地で成長したいという思いは、強い。

(取材、文:今関飛駒)

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