岡崎がレスターで導き出した一つの答え。個々が共鳴する「本能的なサッカー」で日本を変える

3月22日(火)15時49分 フットボールチャンネル

「誰にも負けたくない」思いが答えを導く

 プレミアリーグという競争の激しい舞台で今季、サプライズを起こしているレスター。そこで岡崎慎司は確固たる地位を築いた。日本代表合宿に合流後、本人の口から現状にたどり着いた要因が語られた。そして、それは日本代表が勝利をつかむための答えともなる。(取材・文:船木渉)

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「単純に結果勝負だと思っているので、自分の存在を結果で見せなきゃいけないし、誰にも負けたくない」

 日本代表に合流した岡崎慎司は21日の練習後にメディアの前で慎重に言葉を選びながら今の思いを語った。この一言はプレミアリーグで厳しい競争を駆け抜けてきた“サムライ”だからこそ出たものだ。

 岡崎が所属するレスターは快進撃を続けている。シーズン開幕当初は降格候補筆頭で、所属選手も優勝争いができるクオリティを備えているとは言えなかった。それがいまや世界中の話題をさらっている。

 エースのジェイミー・ヴァーディーやリヤド・マハレズが味方のサポートを受けてゴールを決めまくれば、ダニー・ドリンクウォーターとエンゴロ・カンテが献身的に走り回って相手の攻撃の芽を摘み、ロベルト・フートとウェズ・モーガンが壁となってゴール前に立ちはだかる…あらゆる要素がうまく噛み合ってレスターは勝利を積み重ねている。

 その中の1人として居場所を確立した岡崎だが、もがき苦しんでやっと今の境地までたどり着いた。ブラジルW杯での惨敗から悶々と「なぜ勝てないのか」「どうすれば勝てるのか」と考える日々。自分自身のことよりもチームや日本代表のことに頭がいってしまい、疲弊していたという。

「言われていることだけをやっていたら今この順位にはいない」

 だが今はもう違う。「自分がもっとうまくなりたい」という思いを貪欲に追求している。岡崎は「(プロとして)10年やってきてある程度どこへ行ってもやれる自信がついてきたので、そうなってきたら俺はもっとやれるし、結果を出したらもっと上にいけるという思いの方が強くなってきた」と自信を言葉にして表現した。

 この思いは怒涛の勢いで勝ち続ける仲間たちとともに過ごし、必死に食らいつこうとする中で芽生えた。イングランドに来て、ゼロから自分のポジションを確保しなければいけない現実にぶち当たり、現状を打破するために何が必要か考え抜いた末の結論だ。

 そしてもう一つ、岡崎は改めてチーム力の偉大さに気づいた。個人能力だけではビッグクラブに劣る中、勝ち続けるレスターの中にいて「チームは1人じゃなくて全員の力が噛み合って勝てるんだ」ということを実感している。

 プレミアリーグで優勝争いができるほどのチーム力はいかにして養われたのか。岡崎は「型にはまるようなプレーをしていたら勝てない」と断言する。もちろん規律を守ることも重要だが、「言われていることだけをやっていたら今この順位にはいない。結局は持っている力を全員が出しているから、それがすべてが噛み合って今みたいなありえない状態になっている」のだ。

「本能的なサッカー」で日本を強くする

 岡崎の言う「型にはまらない」サッカーを実践するのは非常に難しい。それはクラウディオ・ラニエリ監督が指導しようが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指導しようが同じことで、単に監督が何かを言って生まれるものではない。

 チーム全員が全力でプレーし、それが自然に連動すること。岡崎曰く「共鳴する」ことがレスターだけでなく日本代表を強くするためのひとつの方法だ。「みんな遠慮している場合ではないし、監督に要求されてもそれに気を取られすぎて自分の全力のプレーができていなかったら、それはたぶん自分たちは強くなれない。全員が本能的にサッカーできた時に勝手にそれが連動して、それが結果的に日本代表の本当の力だと思う」と将来の理想像もすでにイメージできている。

 香川真司、本田圭佑、長谷部誠、西川周作、ハーフナー・マイク…様々なタイプの選手がいる中、短期間で連係を構築しなければならない日本で岡崎は何を目指すのか。それは明確に「ゴール」しかない。

 そして「どれだけゴールに近づけるかどうか」をひとつの基準にしている。岡崎は少ないチャンスを確実に仕留めるタイプのストライカーではない。貪欲に愚直にゴールにチャレンジし続け、味方が作ってくれたたくさんのチャンスの一つを歓喜に変える力を持った存在だ。故にチャンスの数やゴールにチャレンジした数なども強く意識している。日本代表を「何か探しながらじゃなくて、思い切ってチャレンジし続けられる場にしたい」。つまり「本能」でサッカーをする場にしたいと考えている。

 もちろん今回の代表戦はW杯予選のため、確実に2勝が求められる。その目標を追い求める中で、日本代表はどれだけ「本能的なサッカー」を見せられるか。プレミアリーグで揉まれた岡崎が長い時間をかけて導き出した答えをピッチ上で全員が表現できれば勝利は自ずと見えてくる。

(取材・文:船木渉)

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