香川、突然の出番激減は2つの理由から。またも訪れた試練と指揮官トゥヘルの思惑

3月23日(水)10時10分 フットボールチャンネル

前半戦とは一変した「状況」

 今季、トーマス・トゥヘル新監督のもとで新たなスタートを切ったボルシア・ドルトムント。その前半戦、香川真司は不可欠な存在としてチームの勝利に貢献した。しかし、後半戦に入るとその出番が激減。その理由には充実する選手層とチームの成長を目指す指揮官の思惑があった。(取材・文:本田千尋)

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 突然の出来事だった。2016年2月6日のブンデスリーガ第20節、アウェイのヘルタ・ベルリン戦で、香川真司がベンチ外となった。

 8日付の『キッカー』誌が、ヘルタ戦のレビュー記事を、試合内容ではなく香川がベンチ外となったことを中心に取り扱ったように、この監督トゥヘルの措置はちょっとしたインパクトを残した。

 前半戦を振り返ると、リーグ戦に限っても17試合の全てに出場し主力級の活躍を見せていただけに、香川のベンチ外は、誰にとっても驚きを隠せないものだったのだ。

 もっとも、ウインターブレイクの終わりに胃腸炎にかかり、初戦のボルシアMG戦は90分間をベンチで過ごしている。続くインゴルシュタット戦は55分で途中交代となる。直近の香川の状態も、芳しいものではなかった。

 ヘルタ戦の翌週、8日の会見でトゥヘルは「毎週新しい競争があること」について言及している。後半戦に入るにつれて、カストロ、ライトナー、シャヒンも状態を上げてきた。プリシッチやパスラックといった若手の台頭もある。中盤の争いが激しくなる中で、トゥヘルは「毎週」評価を下す。そのような状況で、トゥヘルと対話を交わした上で、香川はベンチ外となった。

 13日のハノーファー戦の後に、香川は「個人的にもこういう状況にまた打ち勝つために、どうしたらいいのかっていうのもまた戦い」と口にした。香川が「こういう状況」と言うように、「状況」は、前半戦とは一変した。

 ヘルタ戦のベンチ外は、つまり、安泰はどこにもないということだった。いくら前半戦に活躍しようとも、過去のものとして忘れる必要があった。気付けば周囲の状況は、昨年とはまるで違うものとなっている。

戸惑いを隠せない新たな役割

 そして、中盤の人員が豊富になり、競争が激しくなる一方で、トゥヘルは新しい布陣にも積極的に取り組んでいく。左SBが高い位置を取って、DFラインは3バックを形成する。ウイングのロイスが2列目に降りて、香川とツー・シャドウを組む。2月18日のヨーロッパリーグ、ポルト戦から取り組みが始まったこの布陣は、表記にすると3-1-4-2といったところだ。

 この布陣でトゥヘルは、香川に対して「CBとボランチの間でボールを受けて欲しい」と要求する。左サイドを上下に大きく移動し、味方のSBとCBの間でボールを受けることもあったインサイドハーフとは、求められるものが違う。

 2月25日のポルト戦の後で、香川は「ここのトップ下はなかなか難しいですね。正直」と言う。四方からのプレッシャーが激しいバイタルエリアで、ボールを受けることは簡単ではない。香川自身、後半戦に入ってからの新しい役割に少なからず戸惑いがあるようだ。2月28日のホッフェンハイム戦の後では、次のように述べた。

「バイタルで受けたら、ボールを受けた後の展開だったり、何か違いを求められるポジションなので、そういうのを意識しすぎている部分はあるし、ボールを受ける前であったり、受けた後に、どうしても、うーん…迷いがあるというか、そういうのを持って試合に入っているところが少なからずある」

 それでは試合を重ねるごとに、新しい役割について整理をして技術を成熟させていけるかというと、メンバー選考に「毎週」評価を下すトゥヘルは、前半戦に比べて積極的にローテーションを組み、対戦相手ごとにメンバーは変わった。

香川に訪れた新たな試練

 3月5日のバイエルン戦では、「戦術的な理由で」香川は後半戦に入ってから2度目のベンチ外となる。またリーグ戦では、アウェイゲームで香川に出番が回ってきたのは、3月20日のアウクスブルク戦になってようやくのことだった。香川がツー・シャドウを務める3-1-4-2は、今のところオプションの1つに過ぎない。新しい役割に対応するだけの時間は、まだ十分ではない。

 つまり、前半戦に比べると、後半戦に入ってから香川の出番が激減した理由は、主に2つある。1つは、新戦力の台頭によって中盤の争いが激しくなったこと。またそれに伴い、トゥヘルがローテーションを組むようになったこと。2つは、前半戦とは違うトップ下というポジションに、香川が対応できていないことだ。

 もちろんこのままで良いはずがなく、香川もなんとか現状を打開しようとしている。20日のアウクスブルク戦では、オフ・ザ・ボールの動きに工夫を凝らし、低い位置に下がって受けようとするなど、ボールの受け方に変化を加えようとした。それでも抜本的な状況は好転せず、62分にライトナーと交代でピッチを退いた。

 香川は、また1つ試練の時を迎えている、と言えるだろう。

「今年に入ってからなかなかうまくいっていないですけど、ここはひとつ、乗り越えどこかなあと思っています」

 バイエルン戦でベンチ外になった際には、トゥヘルが「10番タイプ」と言及したように、他のメンバーとは違う可能性が香川にはある。今季も残りわずかとなったが、リーグ戦だけでなく、DFBポカールやELも佳境に入っていく中で、次に繋がるような何かを示していきたいところだ。

(取材・文:本田千尋)

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