人選ズバリのハリル采配。明暗分けた決定力の差。大迫、原口、久保が攻撃の軸に【西部の目】

3月24日(金)12時6分 フットボールチャンネル

驚きの川島先発。長谷部の穴を見事に埋めた今野

 現地時間3月23日、ロシアワールドカップアジア最終予選UAE対日本の一戦が行われ、アウェイに乗り込んだ日本代表が2-0で勝利を収めた。ハリルホジッチ監督はこれまでの試合から布陣を入れ替えてこの決戦に臨んだが、それが見事に的中。真骨頂ともいえる人選の冴えを見せつけた。(文:西部謙司)

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 難敵UAEに2-0。久々に招集した今野泰幸が攻守に活躍し、負傷離脱した長谷部誠の穴を見事に埋めた。所属クラブで1試合しかプレーしていない川島永嗣の先発起用は驚きだったが、こちらも前半にあった最大のピンチを救う働き。ハリルホジッチ監督の人選が当たった。

 UAEの攻撃のキーマンであるオマル・アブドゥルラフマンに対しては、対面のSBとMF3人で連係にして監視を怠らず、この試合への綿密な準備がうかがえた。一方、日本の4-3-3はあまり機能していないところもあり、後半立ち上がりにも2つの決定機を与えた。全体にチャンスの数はほぼ同じなので、決定力の差が明暗を分けたといえる。

 今回の予選はこれまでよりも各国の力の差がなくなっている。日本は相手を分析したうえで丁寧に戦っていくのが基本線であり、その意味では良いプレーができた。

 日本の先制点は14分、酒井宏樹から斜めに走り出た久保裕也への縦パスが通り、久保がGKのニアサイドを抜いた。DFの死角から絶妙のタイミングで動いた久保、そこへ酒井が注文どおりのボールを出した。

 酒井はマルセイユでフロリアン・トーバンと右サイドを組んでいる。トーバンがキープして酒井がオーバーラップする形が多いが、酒井のパスでトーバンを使うのも上手くなった。柏レイソルでのレアンドロ・ドミンゲスとのコンビと似ている。代表でも久保とのコンビネーションが確立されてくると面白い。

たびたび穴を空けた守備。中盤が空きすぎた場面も

 抜群のポストプレーをみせた大迫勇也、冷静な先制ゴールを決めた久保も、酒井同様に所属クラブでコンスタントな活躍をしている。それがそのまま代表戦でも表れていた。ガンバ大阪でインサイドハーフとして新境地を示している今野も同様。G大阪でのプレーがなければ、対UAEのアイデアも違ったものになったかもしれない。

 一方、所属クラブで出場機会が少ない川島、長友佑都も全く不安のない出来だった。このあたりの人選の冴えはアルジェリア代表監督のときも示していて、ハリルホジッチ監督の真骨頂だろう。

 前半20分に最大のピンチがあった。川島がマフブートとの1対1を防いで同点にされずにすんだが、守備組織は完全に崩壊している。

 森重真人が前進して潰しにいって潰せず、その穴をつかれた。山口蛍、長友佑都は傍観していてカバーに入れておらず、そもそもインサイドハーフがその前に前方へ釣り出されていてMFとDFの間にスペースがありすぎた。

相手のビルドアップに対して、インサイドハーフが前へ出て守備をするのは4-3-3の基本だが、香川真司と今野の両方が前へ出てしまって中盤が空きすぎる場面が何度かあった。

 後半の3分と4分には、サイドを破られる。シュートミスがなければどちらも失点していただろう。

 最初の左SBサンクールからのクロスのケースでは、香川の戻りが遅れていて、オマルを起点にサイドチェンジされて右サイドを破られた。ディフェンスラインは深く、中盤の防御ラインも形成できていない。

無失点だったが万全ではなかった守備。世代交代は進展見せる

 全体に人への意識が高い守備だったが、ポジションバランスが悪く、かえってスペースを与えすぎていた。直後の左サイドを破られたときは、オマルに対して長友と今野が2人で行ってしまい、オーバーラップしたハイカルを完全にフリーにしてしまっている。無失点に抑えたとはいえ、守備が万全だったわけではない。

 UAEはオマル、マタルを中心に構成力があり、日本が押し込まれる時間帯もあった。しかし後半に2つの決定機を作られた後、今野が価値ある2点目を決める。

 吉田麻也のロングボールを大迫が競り勝って落とし、右サイドで拾った久保が左足でピンポイントのクロスボールを今野へ渡してゴール。すーっとファーポストへ流れた今野の動きでUAEのDFは今野を見失っていた。クロスボールからの得点力が高い今野らしいゴールだった。

 2-0となってから、日本は焦らずにパスをつないでゲームをコントロール。その際も今野が良い判断で起点になっていた。長友のクロスからの大迫のヘディングは3点目かと思われたがGKエイサがセーブ。日本は倉田秋、本田圭佑、岡崎慎司と交代カードを投入してそのまま試合を終わらせる。選手層の厚さは日本のアドバンテージだった。

 前回のサウジアラビア戦で固まってきたプレーを継続。香川、本田、岡崎の代わりに大迫、原口、久保が新たな攻撃の軸になった。対戦相手を分析して戦術とメンバーを微修正する丁寧な戦い方を続けながら、懸案だった世代交代も成功しつつある。

(文:西部謙司)

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