英国人が見たマリ戦「本当に決定力がないね、日本!」「一番目立っていたのはハト」

3月24日(土)10時3分 フットボールチャンネル

「W杯で吉田と酒井宏樹がいなかったら…」

 日本代表は23日、国際親善試合でマリ代表と対戦し、1-1で引き分けた。この試合中、日本代表やJリーグなどを幅広く取材し、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

——

ーー日本代表のスタメンが発表されました。ご覧になっていかがですか?

「ついに中村航輔がきた! ワールドカップまで3ヶ月しかないタイミングで先発起用された。彼にはロシアへ行ける本当のチャンスがあると思う。宇賀神(友弥)は代表デビュー。彼は今日が30歳の誕生日だから、いいプレゼントだね」

ーー宇賀神は右サイドバックでしょうか。

「いや、左かもしれないよ。彼が右サイドバックをやっているイメージってある? むしろ長友(佑都)はインテルで右サイドバックをやっていたこともあるし、代表でもその可能性はあるんじゃないかな」

ーー今日のマリ戦で注目している選手はいますか?

「大迫(勇也)ですね。ワールドカップではゴールが本当に重要になるけど、大迫が本番でゴールを決められるかどうか、まだ少しわからないところがある。ケルンではゴールが少ない。相変わらずクラブでたくさんゴールを決めている選手が少ないのも気がかりだね」

ーー選手たちが入場してきました。

「マリのユニフォームはかっこいいね! ただ、スタジアムの雰囲気はちょっと問題になるんじゃないかな。この試合はワールドカップの準備だけど、昼間のキックオフでは本番と雰囲気が全く違ってしまう。選手のモチベーションに影響が出るかどうか注目したい」

ーー試合が始まりました。日本代表の立ち上がりはいかがですか?

「マリのディフェンスの背後を破るのは少し簡単そうに見える。少し芝の上たが悪いから守備陣や中村は気をつけなければいけないね。ただ、それは攻撃陣を助けるかもしれない。相手のミスも起こるだろうし、ミドルシュートを打ってみたらどうだろう」

ーー中村、相手との1対1をよく止めました!

「いい仕事をしたね! センターバックのコンビは少し気になる。いつも頼れる吉田(麻也)がいない。間違いなく吉田と酒井宏樹は本当に大事な選手で、ワールドカップ本大会で2人がいなかったら心配になるね」

ーー日本は少しずつシュートを打てる場面が増えてきました。

「それはそうだけど、マリの速いカウンターは要注意だね。日本はこういう時間帯にできるだけ早く先制点を奪わなければ…」

「主導権を握っているのにゴールを奪えない、このパターンは何十回と見てきた」

ーー宇賀神にイエローカードが提示されました。危ないタックルでしたね…。

「あれは痛そうだね。ハリルホジッチ監督のあのタックルにはあまり嬉しそうな顔をしていない。守備陣の距離感が悪いのは、ファーストチョイスの4バックのうち半分がいないことを考えれば仕方ない部分もある。だけど、ワールドカップでもそういうことがあるかもしれないし、監督にとって心配事の1つだと思う」

ーーGKの素晴らしいセーブに阻まれてしまいましたが、大島がいいシュートを放ちました。

「大島、もっとやれ! まだ決定的な仕事はできていないけど、彼はきれいなパスを通しているし、動きもいいね」

ーーピッチにハトがたくさんいますね。

「そうだね。ハトが一番目立っていて、積極的なプレーをしている(笑)」

ーー日本は序盤ほど前に出て行けなくなってしまいました。

「マリは少し引いて守るようになってきた。日本がディフェンスの裏ばかり狙ってくるからだと思う。そうなる前にゴールを決めておくべきだった」

ーー大島がまた代表戦で怪我してしまいました…。

「かわいそうだね…。でも、歩いているからそんなに大きな問題ではなさそう」

ーーまた惜しいチャンスが! 徐々に近づいている気はしますが、なかなかゴールが決まりませんね…。

「本当に決定力がないね、日本! ここまでのアプローチは悪くないけど、ラストが足りていない。これは今シュートを打った宇佐美(貴史)だけじゃなく、チーム全体の問題だよ」

ーーもう少し攻撃のテンポを変えるなどの工夫があれば崩せそうな感じがします。

「その通りだと思う。今もまた相手ディフェンスの裏を取ったけど決めきれなかった」

ーー宇賀神がPKを与えてしまいました。

「Oh…No….これは完全なPKだね。公式戦だったら2枚目のイエローカードが出て絶対に退場になっていたと思う。宇賀神はデビュー戦だし、慣れない右サイドをやっていることもあって少し緊張したり、モチベーションが空回りしすぎたりしているのかもしれない」

ーー日本がゴールを決められない間にマリに先制点を奪われてしまいました。

「主導権を握っているのにゴールを奪えない、工夫のない攻撃をしていて決めきれない、このパターンは何十回と見てきたよね」

「宇賀神を試せて良かった」「日本はあまりにも落ち着きがない」

ーー前半は0-1でマリにリードされて終わりました。どんな45分間でしたか?

「日本の立ち上がりは良かったけど、相変わらずチャンスを生かせなかった。そして相手が日本の攻撃スタイルに慣れてきて、ちょっとしたミスで先制点を許してしまった。ハリルホジッチ監督はよく思わないだろうし、ロッカールームでかなり怒るんじゃないかな」

ーーこの試合が日本代表デビューだった宇賀神をいきなり慣れないポジションで起用したのは驚きでした。右サイドバックが本職の酒井高徳も呼んでいるわけですし。

「まあ、経験不足の影響も少しあるかもしれないけど、ピッチに立ったら言い訳はできない。左サイドでも右サイドでも、あのようなタックルをしてはいけない。この試合はレギュラークラスではない選手を試すためのものでもあるから、宇賀神を試せて良かったと思う。ワールドカップよりも今日ミスをしてくれた方がいい」

ーー後半、見てみたい選手はいますか?

「ホ・ン・ダ! そして柴崎(岳)だね。チャンスメイクできて、チャンスを決められる選手が必要だから。あれ、宇賀神を下げてしまうんだね。仕方ないけど…かわいそう…」

ーー後半、1点ビハインドから勝利するために必要なことは何でしょうか?

「まず攻撃のスピードを上げなければいけないと思う。少し変化をつけたい」

ーー槙野智章の素晴らしいスライディングタックルでピンチの芽を摘みました。

「槙野はこの1、2年で本当に成長したね。特にポジショニングや試合の流れを読む力は大きくレベルアップしている」

ーーA代表初招集の中島翔哉が準備しています。彼にはどんな働きを期待しますか?

「ゴールだね。自分で決めてもいいし、味方をアシストしてもいい。これはベンチから出場する攻撃的な選手が果たすべき役割だと思う」

ーー最後の交代枠は本田になりそうですね。

「これは彼にとって大きなチャンスだね。今までできていたことが、今もできるのかどうか示さなければいけない」

ーー終盤になってうまく攻められなくなってきました。

「日本はボールを持つ時にあまりにも落ち着きがないね。少しパニックを起こしている。マリはしっかりと試合を締めにきている」

「チャンスを全く決められなかった。引き分けが妥当」

ーー中島翔哉が最後の最後にゴールを奪ってなんとか1-1。いいところを見つけるのがなかなか難しい試合でした。

「その通りだね。良かったところをひとつ挙げるとすれば、前半でチャンスを作れていたこと。でも、全く決められなかった。引き分けが妥当だと思うけど、課題がたくさん残った。決定力、攻撃のスピード、判断力、攻撃のバラエティ…」

ーーやはり攻撃面に多くの課題が残ったということでしょうか。

「その通り。今日のディフェンスはある程度安定していたと思う」

ーーハリルホジッチ監督からチャンスをもらった選手たちの出来はいかがでしたか?

「宇賀神はいつもと違うポジションだったけど、今から定着するのは少し難しいと思う。大島も怪我をしてしまったけど、元気な時間帯でもそれほどインパクトを残せたわけではない。一方、中島は常に前向きで積極的だったし、最後に大事な1点を奪った。アシストをした三竿健斗も落ち着いてプレーできていた」

ーー昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権から継続してチャンスを与えられた国内組の選手たちもいました

「スタメンになれるかどうかはわからないけど、中村はロシアに行けると思う。三竿も可能性がある。彼は落ち着いてシンプルにプレーできるので、長谷部のバックアップができそう。鹿島アントラーズでレギュラーに定着して自信をつけているかもしれない。それでもロシアへ行ける確率は50%くらいかな。逆に小林(悠)は少し厳しいかもしれない。ストライカーに最も必要なのはゴールだけど、『A代表』の試合でそんなに決められていないよね。ただ、小林のようなタイプの選手は他にいないので、まだチャンスは十分にあると思う」

ーー27日のウクライナ戦までに何が必要だと思いますか?

「攻撃にアクセントを入れられる選手が必要だと思う。今日の攻撃は少し読みやすすぎた。柴崎をトップ下で見たいね。彼は相手のディフェンスの裏に抜けて攻撃のテンポを変えたりすることもできるけど、今日はそのプレーがチームとして少なかった」

「個人のミスや精度の低さは、監督の采配のせいではない」

ーービルドアップが単調でロングボールと大迫勇也のポストプレーに頼る場面が多く見られました。

「立ち上がりの15分くらいは相手のディフェンスラインの背後を突破できたシーンが何度かあったけど、そのチャンスを決められなかった。大迫もゴールを奪える匂いがなかった点では、あまり良くなかったと言える。センターFWとしてそれは問題だよ。

個人的には絶対、岡崎(慎司)の方がいいんじゃないかと思っている。彼の前線からのプレッシングはトップレベルだし、相手のDFを自由にさせない力がある。そして、岡崎はワンチャンス・ワンゴールができる選手。ワールドカップで日本がたくさんのチャンスを作れることはないと思うし、彼のような決定力を持った選手が重要。僕が監督だったら岡崎をメンバーに選ぶ。でも、ハリルホジッチ監督がどうするかは少しわからないところがあるね」

ーー久しぶりの日本代表復帰だった本田のプレーはいかがでしたか?

「落ち着いてプレーできていたけど、大きな貢献はできなかった。でもロシアへ行く23人のメンバーに彼がいる価値は必ずある。この試合は親善試合で、主力に負傷者がいたことでチーム全体がスムーズでなかったとはいえ、個人のちょっとしたミスや精度の低さは、監督の采配のせいではない。もし前半のチャンスを決められていたら勝っていた試合だと思う。だからハリルホジッチ監督は試合後あんなにがっかりしていたんじゃないかな」

ーーウクライナ戦では日本代表にどんなプレーを期待しますか?

「もっと決定的な姿勢を見たい。チャンスがある時にしっかり決める。そしてリードを奪ったら、しっかり試合の流れをコントロールすること。今日は引き分けられたけど、全体的にパフォーマンスが良くなかった。もしマリ戦の課題がウクライナ戦で修正できれば、それはいいことだと思う。僕は個人的に、この2試合は結果よりも内容の方が大事だと思っているからね」

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパー!のJリーグ番組出演も。

【了】

フットボールチャンネル

「サッカー日本代表」をもっと詳しく

「サッカー日本代表」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ