攻守に際立つ存在感…原口元気に芽生えた“絶対的主力”としての自覚

3月24日(金)15時8分 サッカーキング

UAE戦で先発出場した原口は攻守に渡り90分間走り続け敵地での勝利に貢献した [写真]=Getty Images

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「フィーリングが悪くて…」

 2−0で完勝したUAE戦のあと、原口元気は自身の前半の出来をそう振り返った。

 前半からボールが思うように足につかず、イージーなミスを連発。左サイドからドリブルで切れ込み、際どいミドルシュートを放った前半終了間際のシーンも、まったく納得していなかった。

「ファーを切られていたからニアに速いのっていうイメージ。でも、最低でも枠に飛ばさないといけない。(3月18日に行われたブンデスリーガ第25節の)ケルン戦でフィーリングがすごく悪くて、それを引きずってしまった部分がある」

 だが、調子が悪いままで終わらせない。最低限の仕事をしたうえで、試合の中で調子を取り戻してしまうのは、今の原口の凄みだ。

「後半になったら絶対に(スペースが)空いてきて、自分のやりたいプレーができるようになるから、前半は守備をしようと思って。そういう意味では頭もクリアになってきたかな。それで実際、後半になって持ち直せたのは自分が強くなってきている証だと思う。これまでだったら引きずることが多かったので」

 実際、後半になって原口は決定的なチャンスに絡むシーンが増えていく。後半2分には香川真司の右からのクロスに対してゴール前に飛び込むと、後半終了間際にはドリブルで持ち込んで岡崎慎司にスルーパス。ワールドカップ最終予選5試合連続ゴールこそ逃したものの、ホームで前がかりになるUAEに対してカウンターの急先鋒として脅威になると、久保裕也や酒井宏樹らが足をつらせたなか、最後まで走り続けた。

 複数のポジションでプレーできる控え選手という位置づけで、ボランチとしてもプレーしたことがあったのは、昔の話だ。攻撃ではペナルティーエリア内にスプリントしてフィニッシュを狙い、守備ではプレスバックして相手選手をサイドバックと挟み込むことを怠らない。UAE戦で示したように、たとえ調子が悪くても、次第に持ち直すことができる。

 最も計算の立つプレーヤー——そんな印象が、今の原口にはある。仮に4試合連続ゴール中でなかったとしても、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は原口の名を真っ先にスターティングラインナップに書き記すに違いない。

 原口の特性を知るには、浦和レッズユースの後輩である関根貴大の言葉が分かりやすい。この冬にも原口を訊ねてヘルタ・ベルリンの試合を観戦した関根は、敬愛する先輩について、こんな風に語っている。

「元気くんって自己分析がすごくしっかりしているんです。目標に向かって逆算して、自分が今、どの位置にいるのか、何が足りないのか、どうすれば成長できるのかを考えている。そういう姿は勉強になります」

 2014年からは個人トレーナーと契約し、肉体改造に取り組んできた。最初の2年はケガをしないための身体作りに励み、昨夏からスピードを上げる作業に入ったという。その成果が、ヘルタでの「スーパー・ゲンキ」と称されるまでの活躍、日本代表でのレギュラー奪取と4試合連続ゴールに繋がっている。

 これで9月のタイ戦から6試合連続スタメン出場となった。結果が自信につながり、自信がさらなる結果を呼び込む好サイクルの中で、メディアに対する発言にも、中心選手としての自覚も備わってきた。

「(10月の)オーストラリア戦のあたりから守備の連動がよくなって、取るべきところで取れるようになった。コレクティブに守れれば、ヨーロッパの強い相手にもそう簡単にはやられないなっていう感覚がある。そういう意味ではいい方向に進んでいると思う。悪くない」

 チームの現状についてそう分析した原口は「あとは、カウンターのクオリティをもっと上げていければ」と付け加えた。それは俺の役目だと言わんばかりに——。

 UAE戦の2日前、連続ゴールについて訊ねられた原口は「勝たなければ『連続で取ってるから何だ』となる。誰が取ってもいいから勝点3がほしい」と語っていた。だが、UAE戦のあとには思わず本音がこぼれた。

「ヘルタと違って日本代表では裏に走ればボールが出てくるから、走りがいがある。だから…次は決めたいよね」

 メディアの笑いを誘ったいたずらっ子のような表情が、やけに頼もしく見えた。

文=飯尾篤史

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