【コラム】代表戦よりもクラブへの関心が強いスペイン…メディアは話題作りに必死

3月25日(土)19時29分 サッカーキング

W杯欧州予選を戦うスペイン代表だが、ファンの関心はクラブへ向いているようだ [写真]=Getty Images

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 リーグ戦がクライマックスに向けて盛り上がる中、その熱気に冷や水をかけるようにインターナショナルマッチウイークが組まれ、リーガ・エスパニョーラは2週間中断している。その期間のマドリディスタ(レアルファン)とクレ(バルセロナファン)の唯一の心配事は、“FIFAウイルス”だ。このフレーズは近年すっかり定着した。

 “FIFAウイルス”とは代表戦で選手が負傷してチームに戻ってくることであり、クラブにとっては文字どおりある種の病気となっている。特にレアル・マドリードとバルセロナは各国の主軸を抱えており、今回のインターナショナルマッチでは、レアル・マドリードは16人、バルセロナは15人が各国代表に招集されている。メンバーの半分以上だ。ゆえに大半のスペイン人は、ワールドカップ予選で母国が本大会行きを前進させたのかどうかではなく、代表に招集された全員がケガなく無事に帰って来られるかどうかを気にしている。

 レアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードなど、クラブが代表チームよりも人気であるスペインでは、マドリード寄りの新聞や、バルセロナ寄りの新聞もインターナショナルマッチウイークであろうが、話題の中心はクラブだ。とはいえ、クラブはリーグ戦がなく、主力選手もトレーニング場におらずニュースがない。そこで各メディアはスペースと時間を埋めようと話題づくりに必死だ。

 バルセロナ寄りのメディアは、MFイスコ(レアル・マドリード)のバルセロナへの移籍の可能性を連日あおっている。イスコはジネディーヌ・ジダン監督にレギュラーの座を与えてもらえず、常時出場できないため、満足していない。バルセロナはMFアンドレス・イニエスタの後釜を探している。選手とクラブの思惑は一致しており、2018年にレアル・マドリードとの契約が切れるイスコがバルセロナに加わるというのだ。バルセロナ寄りのメディアは大げさに報道し、そして人々はだいぶ誇張されているなと思いながらも耳を傾ける。なぜならインターナショナルマッチウイークなので、他に目にするニュースがないからだ。

 スペイン代表の話題にしても、聞こえてくるのは、クラブ絡みのニュースばかりだ。代表の予選の見通しなどお構いなし。ミランで常時出場機会を得て招集されたFWジェラール・デウロフェウのバルセロナ復帰の可能性、もしくはFWジエゴ・コスタ(チェルシー)のアトレティコ・マドリード帰還の可能性、SNSやメディアを通じて互いに意見をぶつけていたDFジェラール・ピケ(バルセロナ)とDFセルヒオ・ラモス(レアル・マドリード)の関係など、メディアが大きく扱うニュースはクラブに関する出来事ばかり。ワールドカップやユーロなどメジャー大会では国内も盛り上がるが、シーズンまっただ中での代表活動に対して世間の関心は低い。そのことを逆手にとって、「スペインの次のワールドカップ予選の対戦相手は?」という街頭インタビューを行うメディアもあった。よほど時間を埋めるのに苦労しているのだろう。

 インターナショナルマッチウイークはニュースがない。イスコの次に地元メディアが無理矢理にでも大きな喧騒にする話題は何か。バルセロナの次期監督というテーマは、時間とスペースを埋めるにはまさにうってつけではないだろうか。

文=座間健司

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