山本尚貴、吉田広樹、中須賀克行、三浦愛らが参加した自民党MS振興議員連盟総会が開催。さまざまな意見が述べられる

2024年3月26日(火)17時37分 AUTOSPORT web

 3月26日、東京都千代田区永田町の自由民主党党本部にて『自由民主党モータースポーツ振興議員連盟』の定時総会が開催された。総会には同連盟の加盟議員に加え、GTアソシエイションの坂東正明代表、日本レースプロモーション(JRP)の上野禎久代表取締役社長、レーシングドライバーの山本尚貴、吉田広樹、三浦愛、ライダーの中須賀克行らが出席し、各シリーズの取り組みやカーボンニュートラルへの対応などを説明した。


  自由民主党モータースポーツ振興議員連盟は、2001年に国内モータースポーツのさらなる振興と発展を目的に発足した国会議員による連盟組織。同連盟は古屋圭司衆議院議員が会長、モータースポーツ参戦経験を持つ三原じゅん子参議院議員が幹事長、元F1ドライバーで2021年に初当選した山本左近衆議院議員が事務局長を務めている。


 総会は山本左近事務局長による進行のもと、まず古屋会長の挨拶から始まり、その後に各団体からの活動報告が行われた。昨年11月に愛知県と岐阜県で行われたWRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2023』の説明では、延べ53万6900人の観客を動員し、経済効果は約126億3200万円にのぼることが明らかにされた。


 その後はGTA坂東代表によるスーパーGTの説明に移ったが、まずは代表あいさつがGT300チャンピオンの吉田に振られた。吉田は少し戸惑いながらも「昨年はチャンピオンを獲得するとこができたので、すごく嬉しかったですし反響も大きかったです。それくらい認知あるレースを主催していただいているGTアソシエイションさんには本当に感謝しています」と議員たちを前に述べた。


「今年のスーパーGTは、環境面で予選方式や持ち込みタイヤ本数が変わることになります。その部分は僕たちも避けて通れない部分だと思っているので、そういったことを考えながらスーパーGTが魅力的なレースになるよう頑張り、手伝っていければと思っています」

自民党モータースポーツ振興議員連盟の総会に出席した吉田広樹


 2024年は前身のJGTC全日本GT選手権スタートから30周年という節目の年を迎えるスーパーGT。説明のなかで坂東代表は、カーボンニュートラル社会を見据えた新予選方式の採用や、今季GT300に導入される50%カーボンニュートラル燃料『GTA R50』を将来的には国内で精製することを目指したいと語った。


 続くJRP上野社長による全日本スーパーフォーミュラ選手権の説明では、シリーズの代表選手としてPONOS NAKAJIMA RACINGから参戦する山本の経歴に触れ、2023スーパーGT第6戦での大クラッシュから3月のスーパーフォーミュラ開幕戦で復帰したことが議員たちに説明された。


 上野社長からマイクを受け取った山本は「昨年大きな怪我をしてしまい、現役どころか命を落とす可能性もありました。そんななか、オフィシャルや医療従事者の方に助けていただき、命を助けていただきながら現役ドライバーとして復帰することが叶いました。本当に感謝しています」と述べ、安全面の重要性を続ける。


「もちろん環境面も大事ですが、マシンを操っている者としては“ドライバーの命”がもっと大事だと思っています。ですので、環境面への配慮と同時に、ドライバーやチーム、オフィシャルの安全を考慮していただき、来場されているファンの方に被害を加えることがないように配慮しながら、モータースポーツ業界は取り組んでいかないといけないと思っています」

自民党モータースポーツ振興議員連盟の総会に出席した山本尚貴


 また、2023年から全日本ロードレース選手権JSB1000クラスにカーボンニュートラル燃料を導入した日本モーターサイクルスポーツ協会では、総会に参加した中須賀がライダーとしてカーボンニュートラル燃料の印象を以下のように述べる。


「昨年から新燃料を使用してレースを行ったのですが、当初はカーボンニュートラル燃料の特性でエンジンパワーやエンジンブレーキの性能が変化した部分がありました。ですか、回数を重ねるにつれて問題点は解決され、ライディングにも慣れてきました」


「その結果、予選でコースレコードを更新するほどラップタイムが向上しました。レース時間を短縮した大会もありましたが、十二分にモータースポーツとしての感動を与えられたのかなと思っています。これからも環境に優しく、カーボンニュートラルなモーターサイクルレースの発展にライダーという立場で盛り上げていきたいです」

自民党モータースポーツ振興議員連盟の総会に出席した中須賀克行


 なお全日本ロードJSB1000では、4月に2025年を見据えた第2世代燃料のテスト開始が予定されているという。さらに総会は女性レーシングドライバーによるKYOJO CUPドライバーを代表して、三浦愛があいさつを行った。


「私はカートから数えると20年以上モータースポーツの世界にいるのですが、女性ドライバーは“今”が一番輝いていると感じます。男性の方々が作り上げてきてくれたモータースポーツのなかに、私たち女性が活躍できる場作っていただいて本当に感謝しています」


「男性と女性の区別がもちろん必要なスポーツでもありますけど、私たち女性ドライバーはこの活躍の場、チャンスの場をいただけたことに甘えず、しっかりと実力をつけ、さらにモータースポーツを盛り上げていきたいです」

自民党モータースポーツ振興議員連盟の総会に出席した三浦愛


■KYOJO CUPは2025年に車両変更を予定。三原幹事長「女性が活躍できる場をつくることが大切」


 そう語った三浦が2023年のチャンピオンに輝いたKYOJO CUPでは、インタープロトモータースポーツの関谷正徳代表から、2025年シーズンに向けて車両変更を予定していることが明らかにされた。


 詳細についてはまだ詳しくは言えないとのことだが、新型車両はフォーミュラカーになる予定で、頭部保護デバイス『Halo(ヘイロー)』などで安全性の向上が図られるとのことだ。

KYOJI CUPの取り組みを説明するインタープロトモータースポーツの関谷正徳代表


 総会では、開催が間近に迫るフォーミュラE東京E-Prixの概要も説明され、観戦チケットが即完売したことや地上波でのテレビ放送が決定していると語られたときには、議員たちのあいだでも話題になっていた。


 最後には三原幹事長から、元女性レーシングドライバーという立場をあわせて「Juju選手のこともありますけど、時代がかなり変化してきているのかなと思います」と閉会の言葉が語られた。


「私が1996年に現役でJGTCに出場していたころは、当然女性ドライバーは私ひとりでしたし、更衣室などはありませんでした。今は女性が活躍できる場をしっかりと作っていくことも非常に大切なことだと思っています」


「また、各シリーズでどんどんと新たなことを進めていくことも大切です。私たちモータースポーツ振興議員連盟では、そういった部分をしっかりとサポートしていきますので、これからもともに頑張って参りたいと思います」

閉会の言葉を述べる三原じゅん子幹事長


 総会終了後、自身初のモータースポーツ振興議員連盟総会出席となった吉田に感想を聞くと「『こんな世界があるのか』と思って少しビビりながらでしたけど、僕が参戦しているスーパーGT以外のシリーズのお話を聞くことできたので、すごく良い勉強になりました」と笑顔をみせた。


「やはり僕たちドライバーは、普段は環境のことよりレース結果を優先して考えてしまいます。ですが現在では、どのカテゴリーでも環境のことを考えながらレースをしていく時代になったことを改めて認識しました」


 また山本は「今いちばん大きな話題になっていることは環境問題だということを改めて感じました」と語る一方で、総会途中で述べたように“安全面”も重視してほしいと続ける。


「僕は昨年大きいクラッシュをしてしまいました。そういった部分では、安全性を向上させるためにサーキット側で改善されてる部分もありますけど、まだ十分ではない部分もあります」


「時代の進化に合わせて、そういった安全性の向上も図っていかないといけないなと感じたので、総会で発言させていただきました。でも、頭の良い方たちがいろいろとアイデアを出し合い、環境を整えてくれていることは改めて感じたので、これからも自分の仕事を全うしたいなと思いましたね」


 そして、事務局長として総会の進行役を務めた山本議員は「各モータースポーツ団体から取り組みの発表がありましたが、カーボンニュートラルに対しては、非常にさまざまなかたちの取り組みを発表していただきました」と述べた。


「こういった取り組みはモータースポーツだけではなく、広い意味でのカーボンニュートラル社会の実現に向けて、非常に大きな成果であり、今後に繋がるものとして考えています。そういった意味では、非常に有意義な総会であったと理解しています」


 各シリーズでカーボンニュートラルへの取り組みが進められていることが説明された2024年の自民党モータースポーツ振興議員連盟の定時総会。フォーミュラEの開催や女性ドライバーの活躍でモータースポーツへの注目が高まっていることを感じる一方で、話題性を先行させて安全を軽視することはできない。モータースポーツは今後も、さまざまな議論が必要だなと感じ取れる総会だった。

自民党モータースポーツ振興議員連盟の山本左近事務局長(手前)と三原じゅん子幹事長(奥)
自民党モータースポーツ振興議員連盟の総会に出席したJRCA会長の新井敏弘、山本尚貴、吉田広樹、中須賀克行、三浦愛


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