本田、ラストチャンスか。タイ戦で先発復帰案も浮上、強気で挑むサバイバルマッチ

3月26日(日)10時30分 フットボールチャンネル

右サイドは23歳の久保が好調。崖っぷちに追い込まれた本田

 本田圭佑が、代表キャリアにおける危機に立たされている。代表のエースに君臨し続けてきた本田だが、これまでプレーしてきた右サイドのポジションでは久保裕也がUAE戦で1ゴール1アシストの活躍を見せるなど、ポジションを奪われつつある。28日に行われるタイ戦では先発に復帰する可能性もあるが、もし十分な出場機会を与えられなければ、代表の立場も危うくなる。それでも、「試練がすごく楽しい」と強気な姿勢でサバイバルマッチに挑もうとしている。(取材・文:元川悦子)

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 敵地UAEでの勝ち点3を手にして、2018年ロシアワールドカップ・アジア最終予選グループBの2位を死守した日本代表。24日の帰国後、25日夕方から次戦・タイ戦(埼玉)に向け再スタートを切ったが、UAE戦の功労者である今野泰幸(G大阪)と大迫勇也(ケルン)の2人が負傷で離脱することが決まった。

 右足親指を痛めて別メニューを強いられていた高萩洋次郎(FC東京)もチーム離脱が決定し、遠藤航(浦和)と小林悠(川崎)を追加招集したものの、戦力的に厳しいのは確か。グループAの韓国が23日、グループ最下位の中国に敗れる波乱が起きた例もあるだけに、日本も万全の態勢で挑まないとグループB最下位のタイに足をすくわれる可能性もある。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は最終予選突入後、2連戦の時には必ずと言っていいほどスタメンを入れ替えてきた。UAE戦でフル出場した面々は、長距離移動と気候の変化も重なって疲労が蓄積しているだけに、今回も数人を入れ替えるはずだ。

 そこで気になるのが、久保裕也(ヘント)に右サイドのレギュラーの座を奪われつつある本田圭佑(ミラン)の動向だ。23歳の成長著しいアタッカーが2日前の大一番で1ゴール1アシストの大活躍を見せたことから、長年エースに君臨してきた男は崖っぷちに追い込まれている。

久保のレギュラー奪取は「何ら不思議なことはない」。タイ戦での起用法は?

 しかし、本田は動じることなく自身の立場を冷静に客観視している

「UAE戦での裕也の活躍? 嬉しいですよ。それは別に危機感がないと言うことではなくて、サッカーのスタンダード。何ら不思議なことはない。最近、僕がミランでもここでもレギュラーというポジションを取られているってだけの話なんで。これは起こり得る現実。むしろそれくらいのレベルに日本代表がなってきたっていうふうに捉えていい。逆に僕がここで競ることができて、もう1回、(ポジションを)取り返せるような状況を作れれば、もっと日本代表がいい感じになるんじゃないかなと思います」

 久保のコンディションに問題がなければ、タイ戦でも先発となるのが定石だろう。とはいえ、ボスニア人指揮官のこれまでの采配を見ると、本田の復調を期待して先発復帰させる可能性も少なからずある。久保は1トップもシャドウもサイドも全てこなせる万能型だから、大迫や原口元気(ヘルタ)の位置でプレーすることも十分できる。本田がスタメン復帰するとしたら、久保を別のポジションで使うケースも予想される。

 もし久保を右のまま動かさずに本田がスタメンに名を連ねるとしたら、昨年10月のオーストラリア戦(メルボルン)同様、1トップに入る形が考えられる。大迫の代役一番手にはレスターで一気に調子を上げてきた岡崎慎司がいるが、UAE戦の87分に原口の絶妙のスルーパスを外すなど、鋭い得点感覚が失われている印象が否めない。

「(原口からラストパスをもらった)ああいうところで自信を持って打ちきれなくなっている。ストライカーとしての自分をこの代表で取り戻したい」と背番号9も焦燥感を露わにしていた。その岡崎を信じて使うのか、9月に行われたアウェイのタイ戦(バンコク)で抜擢した浅野拓磨(シュトゥットガルト)に再びチャンスを与えるのか、それとも追加招集の小林悠か、あるいは本田か。ハリルホジッチ監督が4つの選択肢のうち何を重視するのか注目したい。

「UAE戦でも点を取りたかった。もう10分くらい長ければ…」

 一方、長谷部誠(フランクフルト)、今野、高萩が離脱したボランチも、本田がCSKAモスクワ時代に定位置だったポジション。彼なら屈強なフィジカルを活かしてボールを奪い、ゲームの組み立てもできる。ただ、タテに速いスタイルを志向するハリルホジッチ監督体制では一度もテストされておらず、指揮官も現時点では構想外の様子だ。

 となると、やはり本田が出場するとなった場合、可能性があるのは右サイドか1トップのいずれかだろう。タイ戦でどの程度の出場時間が与えられるか分からないが、ゴールに絡む明確な仕事を見せられれば、苦境打開への一歩になりそうだ。

「UAE戦でも点を取りたかった。相手もバテていたし、もう10分くらい長ければ、たぶんもう1〜2個ビッグチャンスがあったかなという感じがしましたけどね。今は『本田は一体、どういうプレーをするのか』ってみんなが分からない状況。それを普通に見せて、また点を取ることができれば、『やっぱりこのくらいはできるんだ』ってことになるし、またチャンスが増えてくる」

 本人もそう強調するように、本田ならではの「ここ一番の勝負強さ」や「得点に直結する決定的な仕事」を示せれば、この先も日の丸を背負ってプレーし続けられる。

 逆に出場機会を与えられながら全く機能しなければ、それこそ世代交代の波に飲み込まれてしまう。久保を筆頭に若い世代は今、猛烈な勢いで伸びているのだ。その現実を直視し、代表落選の覚悟を持って、背番号4は数少ないチャンスをつかまなければならない。

「4年後を目指す」と断言したブラジルW杯。その夢が断たれる可能性はゼロではない

 2010年南アフリカワールドカップの時に中村俊輔(磐田)からエースの座を奪い取ってから足掛け8年。日本代表をけん引し続けてきたエースにもプライドがあるはず。

 だからこそ彼は「試練がすごく楽しい。試練が起きれば起きるほど自分自身が試されている気がするから。でも(苦境脱出の)道筋は見えてます」と普段通りの負けん気の強さを押し出していた。

 とはいえ、中村俊輔も「集大成」と位置付けた南アで輝くことができないまま代表を去ったように、誰もがいつかはエースの座から降りることになる。本田も屈辱的な敗戦に打ちのめされた2014年のブラジル大会で「4年後を目指します」と断言したが、その夢が志半ばで断たれる可能性はゼロではない。

 果たして歴史は繰り返すのか…。今回のタイ戦は彼にとって最大の岐路と言っても過言ではないだろう。

(取材・文:元川悦子)

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