日本代表、見せつけたいゴール前の即興ダンス。香川真司や乾貴士らの連動が勝利の鍵に

3月26日(火)12時38分 フットボールチャンネル

韓国はなぜ1点しか取れなかったのか

 日本代表は26日、キリンチャレンジカップでボリビア代表と対戦する。コロンビア戦から大きくメンバーを入れ替えることが濃厚な中、勝利を掴みとるための鍵となるものとは。アタッカー陣にとっては絶好のアピールの機会でもあり、ラストチャンスになってしまう可能性もある。(取材・文:舩木渉)

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 夏のコパ・アメリカに向けて残された数少ない実戦の機会。26日のボリビア戦は、森保一監督率いる日本代表のポテンシャルを推し測るための重要な一戦となりそうだ。

 0-1で敗れた22日のコロンビア戦から、先発メンバーも大きく入れ替わると見られる。有力な候補者が現チーム外にも多くいる状況で、このボリビア戦に出場する選手たちは生き残りをかけた猛アピールが必要だろう。

 ボリビア代表は直近22日の韓国戦を0-1で落とした。だが、スコアこそ1点差ながら、宇佐美貴史が「韓国がシンプルに決定機を外しているだけだったように思いました」と述べたように、「4、5点入ってもおかしくない内容」だったのは間違いない。

 先に対戦したコロンビアに比べれば実力でかなり劣る相手。日本も負けるわけにはいかない。特に人材豊富な前線の選手たちは、目に見える結果を残すために燃えているだろう。宇佐美も「何としても結果を残したいという危機感めいたものは一番あるんじゃないか」と気を引き締めていた。

 ボリビアは2月にエドゥアルド・ビジェガス監督が就任したばかりで、新体制では日本戦が3試合目。その指揮官が「我々は今、新しいプロセスをスタートさせようとしている段階」と語った通り、チームとしての明確なスタイルを完成させられていない状況に見える。

 ニカラグア戦は2-2のドローだったが、劣勢を強いられた韓国戦では前半から度々決定機を作られた。その原因として、組織守備の拙さと選手間の距離の遠さが挙げられる。4-4-2を基本布陣にしているものの、守備時はそれほど前からプレッシャーをかけるわけではなく、ある程度ブロックを敷いて後退しながらボールの出たところに最も近い選手が寄せていく。

 ところが選手間の距離が空いているため、1人目のプレスがかわされた後、2人目、3人目と連動していくことができない。韓国もそういった相手の弱みを利用し、強度の低いプレスをはがしてからのサイドチェンジを連発していた。

 ただ、韓国が苦しんだのはバイタルエリアの攻略だった。鋭い縦パスでスイッチを入れ、細かい連係で中央を崩す場面は少なく、時折ソン・フンミンが中盤まで降りてパスを引き出そうとするほど。日本の視点で見れば、このバイタルエリア中央の崩しが機能すれば、より容易にゴールを脅かすフィニッシュまで持ち込むことができそうだ。

鍵となるアタッカー陣の連動性

 ボリビアのビジェガス監督は「ボリビア代表の特徴として挙げられるのは、強固なゴールの守備」と、GKとセンターバックを中心にした守りの堅さをチームの強みに挙げた。日本戦で先発濃厚なGKカルロス・ランペは昨年、名門ボカ・ジュニオルスの控えGKとしてコパ・リベルタドーレス決勝1stレグにベンチ入りした実力の持ち主。

 彼とアメリカ生まれのアドリアン・フシーノ、メキシコ1部プエブラで活躍する俊英ルイス・アキンのセンターバックコンビとで形成される守りのトライアングルをいかに攻略するかが、日本にとって勝利の鍵になるだけでなく、前線の選手のアピールポイントにもなるだろう。

 日本の前線では鎌田大地を1トップに据え、2列目には乾貴士香川真司、宇佐美貴史と3人のロシアワールドカップ戦士が並ぶと予想される。乾は「(香川)真司とはずっとやっているし、セレッソ時代もそうですし、代表でも一緒にやったりしているので、まあ感覚的にも非常に合う選手ですし、楽しいので、それを明日も出していければいい」と、盟友とのコンビ再結成に並々ならぬ意欲を燃やしていた。

 アジアカップに追加招集されて、大会途中にベティスからアラベスへ移籍。2月以降は新天地で輝きを取り戻して再びチャンスをもらった30歳は、「もしかしたら、アピールできなかったら明日が最後になる可能性もありますし」と危機感も抱くが、「あまりそういうところを考えずに、楽しくやっていきたい」と、あくまで自然体で試合に臨むつもりだ。

 大迫勇也や、コロビア戦で存在感を発揮した鈴木武蔵のような前線で体を張れる選手がいない分、テクニックに優れた4人で前線の連係をいかに構築していくか。初めて試される組み合わせなだけに即興性の高いプレーも見られそうだが、もしそこで細かなコンビネーションが機能すれば、組織的な連動に乏しいボリビアの守備陣にとっては大変な脅威になる。

 鎌田は「海外の選手ができないような日本らしい距離感でチョンチョンパスを回しながらできる選手がすごくいるし。距離感が近いので、そこらへんはやりやすい」と、初めての日本代表合宿の中でも手応えを感じている様子。

 途中出場したコロンビア戦ではあまり効果的に周囲と絡むことができなかったが、「(中盤に)あんまり降りないようにしてるし、真司くんがしっかりキープする。2列目の選手はそういう選手が多いので、そこは十分足りてると思うし。できるだけ前で僕が回して頑張りたい」と、ボリビア戦に向けてプレーのイメージを膨らませていた。

バイタルエリアの攻防を制して

 ゴール前での細かな動き出しやシュートの感覚は2トップの一角を任されることの多いシント=トロイデンVVで磨いてきたところ。「少し外してやったりとか、あとは足もとで強いパスもらってそのまま良いトラップで入れ替われるようにしていければ。めちゃくちゃスペースがあるわけじゃないし、足がめちゃくちゃ速いわけじゃないので、そういう動きの方が僕的には合っていると思う。(パスを)出せる選手もいっぱいいますし、引き出しが良ければチャンスができる」と、自らの得意とするマークを翻弄する駆け引きでゴールに迫っていく心算だ。

 センターバックとして先発濃厚な畠中槙之輔のように、相手の意表を突く縦パスを通せる能力を持った選手もいる。本人も「狙えれば狙いたい」と意欲十分で、最終ラインから一気に2列目の香川や乾、宇佐美、さらにその前にいて相手DFと駆け引きする鎌田に直線的に地を這う縦パスが通れば、それだけで一気にチャンスが生まれる可能性もある。

 ボリビアの守備の要・フシーノは「南米の国との戦いとは全く異なるものになる」と述べ、22日に敗れた韓国とこれから対戦する日本の印象について「技術の高さ」「スピード」を共通項に挙げていた。そして日本は「ほとんどの選手がトップレベルでプレーしている。難しい試合になるだろう」と警戒している。

 今年2月から代表チームを率いているビジェガス監督は、国内リーグで6度の優勝経験を持つボリビア屈指の名将。彼の経歴について尋ねると、関係者の口からはスラスラと国内の名門クラブの名前が出てきて、取材に訪れていた現地メディアの記者によれば「ボリビアサッカー史上最高の監督」とのことだった。

 そのビジェガス監督の弟オスカルはA代表のアシスタントコーチとして兄を支えるだけでなく、世代別代表の監督も兼任しているという。オスカル・ビジェガスはボリビア国内でも有名なユース年代の指導者で、U-20世代を積極的に登用する新生A代表の強力なサポート役にもなっているそうだ。

 平均年齢24歳と若く吸収力の高いチームに、ビジェガス監督は韓国戦で出た課題解決のために何を落とし込んでくるか。そして、日本代表は彼らの勢いを上回り、武器としている前線の細かい連係・連動でゴールを奪えるだろうか。バイタルエリアの攻防が勝敗を分けるキーポイントとなりそうだ。

(取材・文:舩木渉)

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