野村克也氏 「巨人戦は相手が10人」を痛感した開幕戦回顧

3月26日(日)16時0分 NEWSポストセブン

名監督が痛恨の開幕戦を振り返る

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 どんな大打者、大エースでも開幕戦は特別な緊張感があるというが、それは指揮官も同じだ。名将・野村克也氏がヤクルト監督1年目の1990年の開幕戦、巨人対ヤクルト戦(東京ドーム)の思い出を振り返る──。


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 現役時代を南海、ロッテ、西武で27年間、監督としてヤクルト、阪神、楽天で16年間(兼任監督を除く)過ごしたが、やっぱり開幕戦は正月気分だな。開幕戦はあくまで「143分の1」という監督もいるが、最初の1勝は早い方がいい。


 相手がエースを出してくる開幕戦は捨てゲームと考え、2戦目にこちらのエースを起用して五分に戻そうというやり方だと、開幕戦に投げたかったエースがヘソを曲げる。だから長いペナントレースを考えるとやりづらい。特に弱いチームが開幕戦に負けると、ずっと負け続けるような気持ちになる。弱いチームにいたことしかないから、勝ちたい気持ちは強かったよ。


 ただ、V9時代の巨人は開幕戦に弱かった。それは巨人戦になると燃える選手がいたから。開幕戦が巨人相手だと監督も必ずエースをぶつけ、エースも名誉に感じて投げる。江夏豊が典型だが、昔はそんな選手が多かった。


 現役時代は日本シリーズでしか巨人と当たれなかったから、ヤクルトや阪神の監督時代の巨人戦は、とにかく一泡吹かせてやりたかった。監督として記憶に残る開幕戦も巨人戦が多い。


 1990年の開幕戦のことは今でも鮮明に覚えている。ヤクルトの監督としてセ・リーグ1年目で、開幕前に「巨人戦は相手が10人いると思った方がいい」と何人もの監督経験者から聞いていた。要は、審判が巨人贔屓という意味。それを痛感した試合だった。


 2点リードの8回裏、1死二塁で篠塚和典の打球がライトポール際に飛んだ。このシーズンから審判が6人制から4人制になったが、一塁の塁審が右手を回すんだよ。


 ビジター三塁側ベンチの俺の座る場所からは、ライトポールがよく見えた。フェンスギリギリでポールの外側に飛び込む、明らかなファウルだった。それを審判は「ポールを巻いた」と言い張るわけ。本当に相手は10人いると確信したね。


 これで同点となり、延長14回裏に押し出しサヨナラで負け。開幕で躓いたこのシーズンは5位だったよ。


【試合データ】

1990年4月7日(東京ドーム)

巨人4×−3ヤクルト(14回サヨナラ)


■取材・文/鵜飼克郎


※週刊ポスト2017年4月7日号

NEWSポストセブン

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