IMSA:マツダのティンクネル、ヨーストからマルチマチックへの体制移行は「とてもシームレス」
2020年3月27日(金)16時59分 AUTOSPORT web
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦しているマツダモータースポーツに所属しているハリー・ティンクネルは、同チームの運営がヨースト・レーシングからマルチマチック・モータースポーツへと引き継がれたことについて、移行は「とてもにシームレス」に行われたと述べた。
マツダは3月19日、2017年半ばからヨースト・レーシングが担当していた日本メーカーのDPiプログラム運営をマルチマチックが引き継ぐと正式発表した。
カナダのコンストラクターであるマルチマチックはこれまでもマツダのDPiマシン、マツダRT24-Pの開発を含む技術的な能力開発に携わっていたが、今後はチームの運営を全面的に担当することになる。
ジョナサン・ボマリートとコンビを組み55号車マツダで北米シリーズにフル参戦しているティンクネルは、ワークショップの移転を除けばチーム内の変更は最小限であり、エンジニアリングの面はまったく変わっていないと説明した。
「僕が知る限り運営変更によってワークショップが変更になったり、一部のスタッフが変わったくらいで大きな変更はない。エンジニアリングもこれまでと一緒だ」とSportscar365に語ったティンクネル。
「僕たちは今でもマルチマチックのシミュレーターを使っている」
「レースエンジニアとしてリーナ・ゲードと、ヴィンス・リベルトゥッチがいて、すべてのデータサポートエンジニアはすべてマルチマチックのスタッフだ。そして、エンジン側にはAERのスタッフがいる」
「トラックで目にするスタッフに大きな変化を感じることはないよ。ただし、新しいショップに移ったことで、その舞台裏では何人かの新しいスタッフが入っていると思う」
「体制の変更自体はとてもシームレスだった。マルチマチックは最初からコンストラクターとしてチームとの関与がとても強く、とくに過去18カ月の間はエンジニアリングの面で非常に大きな存在感をしめしてきた」
「もちろん、ヨーストには素晴らしい人たちがいて、そのうちの何人かはおそらくチームの残るだろう」
「ふたたびレースを戦えるようにいつでも前に進む準備はできていると思うし、レースに勝ってチャンピオンシップを獲得するために、これまでで一番良いポジションにいると思う」
■ヨーストとのジョイントで、確実に強くなったマツダ
ティクネルは昨年、マツダチームで陣営がシリーズ戦3連勝の“ハットトリック”を達成した画期的なシーズンを経験。ヨーストがもたらしたこの勝利の方程式がマルチマチックに渡っていると信じている。
「ヨースト・レーシングが僕たちのためにしてくれたすべてのことに、誰もがとても感謝している。僕らは2018年中盤から明らかに強さを増した」とティンクネル。
「ワトキンスグレンでの最初の総合優勝(55号車が優勝、僚友77号車が総合2位)は誰にとっても特別な瞬間だった。その後のビクトリーレーンで交わしたヨーストさん(創設者のラインホルト・ヨースト)との握手と、彼の笑顔は忘れないよ。それは僕の記憶に長く残り続けるだろう」
「彼らはこのプログラムを強力なポジションのまま、マルチマチックに引き渡した。だから僕たちは2020年以降もさらに強力になり、より多くの勝利を収めることができる立場にあるんだ」
■マルチマチックはWECのフォードGTチームを運営した経験を持つ
2020年シーズンの途中からマツダモータースポーツの運営を担うことになるマルチマチックは以前、WEC世界耐久選手権で4年間にわたってフォード・ファクトリーチームの運営を行っており、ティンクネルも所属していた同陣営でスポーツカーレースでの経験を重ねている。
スタッフの多くはWECとIMSA、両方のプロジェクトに取り組んできており、現在は新型コロナウイルスの影響でシーズンが実質的に中断されているIMSAの2020年シーズンが再開されれば、マツダDPiチームを大いに助けることになるとティンクネルは言う。
「僕は男女限らず全員を知っている。彼らは皆フォードGTを使用したトップレベルのプログラムから来ているが、その多くは長い間マツダのプログラムにも密接に関わってきた」
「彼らはすべての24時間テストを実施し、そのうちの何人かはデイトナやプチ・ル・マンなどの大きなレースで僕たちを手助けしてくれた」
「ピットストップなどに関しても、とてもハイレベルだ」
「僕たちはフォードGTプログラムがいかに成功したかを知っている。それを支えた彼らが今度はマツダモータースポーツのプログラムをより強力してくれるのだからエキサイティングだよね! 今まで以上に強い立場になったと言っても過言ではないと思うよ」