ハリルJで本田と香川が両立する道。ミランとドルトのシンクロから見える“いい距離感”

3月27日(日)10時7分 フットボールチャンネル

練習で主力組に入った本田と香川


本田圭佑【写真:ダン・オロウィッツ】

 2018年ロシアW杯アジア2次予選最終戦となる29日のシリア戦(埼玉)を待たずして、最終予選進出を決めた日本代表。現時点ではFIFAランキング・アジア2位に入っているが、同日の親善試合で韓国がタイに引き分け以下の結果を残さない限り、この地位を保つのは難しい。

 つまり、4月12日の最終予選抽選会(マレーシア)での第1シード入りは微妙な情勢ではあるが、とにかくシリアにスッキリと勝ってE組1位通過を果たし、少しでもいい状態で最終予選に近づきたいものだ。「最終予選はもっと厳しくなる。いろんなディテールを修正していかないといけない」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督も気を引き締めていた。

 そのシリア戦だが、指揮官が「2つのオーガナイズを用意する」と語った通り、24日のアフガニスタン戦(埼玉)から大幅にメンバーが入れ替わりそうだ。

 26日夕方、埼玉県内で行われた練習中にトライした10対10のゲーム形式では、基本布陣が4-2-3-1に戻り、1トップに岡崎慎司(レスター)、2列目右に本田圭佑(ミラン)、2列目左に宇佐美貴史(G大阪)、トップ下に香川真司(ドルトムント)という顔ぶれが主力組と見られる方に入っていた。ハリルホジッチ監督は彼らに大量得点勝利を託す意向のようだ。

 この練習では3列目(ボランチ)に長谷部誠(フランクフルト)と山口蛍(ハノーファー)が入っていた。となると、ボランチの構成がやや守備的になる分、前線4枚がゴール前へ行きすぎるとゲームを作る人間がいなくなってしまう。誰が前回の清武弘嗣(ハノーファー)のような仕事をするかというのは、重要なポイントになってきそうだ。

 そこで、考えなければならないのが、本田の役割。彼はご存じの通り、ACミランでは右サイドに入っているが、ゲームを作りながら得点機をお膳立てする司令塔的な役割をメインに担っている。


ゴールとアシストの両立にこだわる香川だが……


香川真司【写真:Getty Images】

 本田が今季セリエA初ゴールを挙げた2月14日のジェノア戦を例に挙げると、ボランチのリッカルド・モントリーヴォやアンドレア・ベルトラッチ、右サイドバックのマティア・デシーリオは要所要所で本田にボールを預けて、攻めの起点を作らせていた。カルロス・バッカの先制点も彼の右クロスから生まれている。

 本人が挙げた2点目も約30mの遠めからのミドル弾。本田がゴール前に上がるのは高い位置でボールを奪ってからのカウンターなど限られた場面のみで、やはり「MF」という印象が強かった。

 けれども、代表を率いるハリルホジッチ監督は「FWとしてもっと前でプレーしてほしい。ミランより高いポジションで、相手の背後を使って存在感出してほしい」と強調。「完全な点取屋」と捉えている。つまり、誰かがパスを出す仕事を担わない限り、本田がストライカーになることはできないのだ。

 シリア戦に先発すると見られる攻撃陣の中で、こうした役割を臨機応変にこなせるのは、やはり香川だろう。今季ボルシア・ドルトムントでの彼は、時にトップ下に入ることもあるものの、4-3-3のインサイドハーフでプレーする機会が圧倒的に多い。

 絶好調だった前半戦のパフォーマンスを見たトーマス・トゥヘル監督も「シンジは毎試合のようにアシストをしてくれているし、数多くの得点機会に絡んでいる。それは非常にハッピーなことだ」と大絶賛していた。
 
 本人は「僕はゴールとゲームメークの両方を備えたい。アタッカーにあるスピードが自分にはない。ゲームメークを8〜9割、アタッカーも8割9割とどっちも高いアベレージを出さないと生き残っていけない。代表でもそういうところでもっと存在感を出していかないといけないと思っています」と点も取れてアシストもできる存在に強くこだわっている。


本田をムヒタリヤンのように活かせるか

 だが、その意欲が強すぎるあまり、代表ではどっちつかずになりがちだった。こうした問題を解消する意味でも、今回はいい意味で割り切って、本田らに点を取らせるためのアシスト役としての比重を高めてみたらどうだろうか。

 本田をドルトムントの同僚ヘンリク・ムヒタリヤンと想定すると、香川も動きやすいかもしれない。ムヒタリヤンもゲームメークと得点の両方をこなせる選手だが、絶好調の今季はブンデスリーガ10点をマーク。

 トゥヘル監督もその決定力を押し出そうと躍起になっている。香川がムヒタリヤンと息の合った連携から決定機を生み出すこともあるだけに、そんなイメージでプレーすれば、本田も活きるだろう。

 「(ミランと代表で同じ右サイドに入っていても)大きく違うのは、分かりやすく言うと『距離感』。それが明らかに違う。見ている方もそれを意識して見てもらえれば、なんでこんな連動しているのかというのが分かると思う」と本田も語っていたが、彼ら2人を中心に攻撃陣がいい距離感で動かなければ、連動した攻撃は難しい。

 もちろん、柏木陽介(浦和)がボランチで出てくれば、香川の攻守のバランスは大きく変わる。原口元気(ヘルタ)が中盤に入った場合もそうだろう。このように周囲のメンバー構成次第のところもあるが、いずれにしても本田・香川の2人がスムーズに連動してこそ、シリア戦の日本代表がスッキリ勝てる。それは確かな事実と言っていい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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