本田圭佑、復活までの道のり。先発落ち、監督からの冷遇も乗り越え…ミランで残した“実直性”という爪痕

3月27日(日)12時51分 フットボールチャンネル

開幕時はトップ下でプレーもスタメン落ち

 現在の本田圭佑は、ミランにおいて欠かせない選手となっている。しかし、シーズン開幕時はトップ下で先発落ちし、右サイドでも出場機会が得られない時期もあった。それでも本田は守備のハードワークや正確なクロス、パス配給によって攻守に渡ってミランを支え、定位置の座を掴むことに成功した。本田が復活に至るまでには、ミランに残した“実直性”という爪痕があった。(文:神尾光臣)

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「本田は招集されたのか?」

 3月20日、ミランvsラツィオ戦後。記者会見の席でミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督は、同席した広報担当者に本田圭佑の代表招集の有無を2度確認していた。この様子に記者会見場では笑いが起こっていたものの、指揮官にとっては内心気が気ではなかったはずである。選手の疲労について語った直後のことだった。

 12月20日のフロジノーネ戦以来、本田はカップ戦も含めてすべての試合に先発出場を果たしている。4-4-2の右サイドハーフとして替えの利かない存在となっている。代表から疲れて帰ってくることを心配される立場。これは、前回の代表ウィークだった昨年11月の時点では考えられないことだった。

 当時本田は、定位置の座を追われていた。ミランは開幕から4-3-1-2のシステムで戦い、本田は本来のポジションであるトップ下でプレーしていたのだが、ゴール前で得点に結びつく活躍が出来ずにスタメン落ちを喫した。

 その後ミハイロビッチ監督はジャコモ・ボナベントゥーラをトップ下に据えるものの、それでもチームは機能せず第7節のナポリ戦で大敗。そこからシステムをウイングを使った4-3-3、もしくは4-4-2に修正し、チームをなんとか機能させようと努めていた。

監督からの冷遇乗り越え。アシストや正確なパスで攻撃の起点に

 それにより、本田の出場機会は大きく減少した。それが昨年11月の時点での状況であった。スタメンはウインガータイプのアレッシオ・チェルチやエムバイエ・ニアンが試され、本田は試合終了間際に長くて15分程度、短ければ5分程度使われるだけに終わる。

 10月にはクラブが低迷する現状と自らの境遇にフラストレーションをためた本田がクラブ批判を行っていたこともあり、「ミハイロビッチの冷遇」と見る向きもあった。

 しかし本田は、そこから復活を遂げた。右サイドハーフのポジション争いに参入ができたからだ。チェルチやニアンは突破力こそアピールしたものの、守備の貢献がままならずチームを前後で分断させてしまう。ニアンは2トップの一角として定位置を確保したが、右サイドで決定的な信頼を確保したものはいなかった。

 そこに本田が割り込めたのである。プレスに走り、守勢に回ればスペースを埋めてバランスを取り、ハイボールでも体を張るなど、他の選手にない利点をアピールした。そうして12月17日のコッパ・イタリア5回戦サンプドリア戦で、途中出場からカルロス・バッカのゴールをアシスト。サイドの競り合いに勝ち、マーカーを抜いた上でクロスを出したプレーからだった。

 その3日後、リーグ戦のフロジノーネ戦で先発のチャンスを得た本田は勝利に貢献した。カウンターからの正確なパスでイニャツィオ・アバーテのゴールをアシストするのみならず、的確なパス出しで4点目の展開の起点にもなった。

本田がミランに残した爪痕とは

 そこからは不動のスタメンとして活躍する。継続して献身的なプレーを行うことで、チームメイトの信頼も得てパスを多くつけられるようになる。そうして、プレー内容は試合を追うごとに向上していった。

 フロジノーネ戦を含めたリーグ戦14試合で1得点4アシスト。その他の試合でも本田はゴールの展開に絡み、1試合に必ずひとつは決定的なチャンスを演出していた。チェルチやスソの移籍により、右サイドが事実上一人となったためカップ戦にも温存されることなく出場したが、そこでも得点に絡み続けた。

 その間の下支えになったものが、繰り返しになるがやはり戦術に沿ったハードワークだ。攻め上がる右SBアバーテをフォローして、後方のカバーリングに入る。絞って中盤のフォローにも入り、攻撃が入れ替われば積極的に縦へ走った。スタッツを見ると、ほぼ毎試合で本田のスプリント合計距離は1kmを超えた。

 今振り返れば、こういったハードワークを本田は、出場時間が短かった試合でも心掛けていた。その姿勢がミハイロビッチ監督の目に適ったのだろう。「ミランのために自分が何とか爪痕を残そうとした時に、自分の特徴を活かすプレーに戻っているだけ」と彼は語っていたが、この実直性がミランにおける自身のストロングポイント。そしてチームを勝たせるために心掛けているプレーだ。

 その流れをミランで掴んでから、今回が初めての代表招集。29日のシリア戦に出ることがあれば、ミランでの実直なプレーをどこまで代表に還元できるか
にも注目したい。

(文:神尾光臣)

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