好投手が相次いで敗れた春の甲子園 攻略の裏にあった準備&戦略とは?

3月27日(日)20時46分 フルカウント

8強出揃った選抜、大会注目の投手たちが姿消す

 第88回選抜高校野球は大会8日目の2回戦を終えて、ベスト8が出揃った。26日、27日の両日では選抜大会注目の投手たちが揃って姿を消した。それだけ相手チームはマークを徹底していた。

 26日の第2試合では東邦(愛知)が明石商(兵庫)に0-3で敗れた。エースで4番の藤嶋健人は140キロ台後半の力強いストレートが武器。プロ注目の右腕だった。優勝候補の一角とされる東邦、完成度の高い藤嶋をどこが攻略できるのか。それが初出場の高校とは想像できただろうか。

 ただ明石商の狭間善徳監督は1993年から高知の強豪・明徳義塾高でコーチを務めた経験がある。名将・馬淵史郎監督のもと、帝王学を学んでいた。そして、東邦戦を前に指揮官は対策を練っていた。練習で5台ある打撃マシンの球速をいつもより5キロ上げた。体感スピードは145キロもあったという。バットは指1〜2本分、短く持つように指示。選手たちは目が慣れたおかげで藤嶋の球速に臆することなく向かっていけた。エースの吉高壮の好投も重なり、強豪撃破に成功した。

 同日の第3試合では大阪桐蔭の左腕エース・高山優希が散った。関東大会を優勝した木更津総合(千葉)に1-4。昨秋の明治神宮大会では大阪桐蔭が勝利したが、大会ナンバーワン左腕はやり返されてしまった。

左腕・高山の“高さ”を想定して練習した木更津総合

 強豪同士の対決であれば、注目投手がいてもどちらに転ぶかはわからない。木更津総合は明石商同様に打撃マシンで高山対策を練ってきた。

 マウンドよりも前の平坦な場所に打撃マシンを置くことが多いが、木更津総合は180センチと身長が高く、高い位置からリリースする、高山の角度のあるボールに対応するために、マウンドに設置。相手の高さを想定し、イメージを膨らませた。明治神宮大会でも対戦した経験があるため、よりイメージがしやすかった。高山のストレートに負けずに、中軸が3回に集中打で4得点。そのリードをエースの早川隆久が守り切った。打撃マシンの工夫が勝利の裏にあった。

 27日の第2試合では「松坂2世」こと高田萌生を要する創志学園(岡山)が明治神宮覇者の高松商(香川)の強力打線に攻略された。この背景には高松商・長尾健司監督の指示が光ったように見える。

 高田は直球のコントロールができていたが、序盤から得意とするスライダーが入らず、なかなか投手有利のカウントにならなかった。高松商打線は見極めを徹底し、変化球に手を出さなかった。3回に集中打を浴びせて5点を奪ったが、3点タイムリーの美濃晃成、2ランの植田理久都はともにストレートを思い切り、迷わずに振りにいっている。それだけ、はっきりと狙い球が絞れていたということだ。

選抜王者の敦賀気比を破った海星、徹底した戦略は

 序盤、高田はほとんどストレートを投げていた。球種が絞れていた分、相手に球数を投げさせることに成功。9回175球も投げさせた。それだけ投げながら4回以降、無失点に抑えた高田の投球術も光るが、高松商のエース・浦大輝の力投の方が上回った。

 第3試合では昨年のセンバツ王者の敦賀気比(福井)が1-2で海星(長崎)に惜敗。連覇の夢が途絶えた。

 プロ注目の山崎颯一郎は9回2失点だったが、9安打された。海星打線は練習で打撃投手を前に出して速球を対策したが、それ以上のことはしていない。長身から投げ下ろすストレートを打ち返すだけの自信と力がなかったため、狙いの目線を下げた。高めのストレートには一切、手を出さずに、真ん中から低めのコースと、打たせにきた変化球を逃さずに狙うことを徹底。初回、5回と少ないチャンスをものにした。

 限られたチャンスを生かすことは非常に難しい。それができたことが勝利につながった。この試合も打撃だけでなく、初回から5回を投げた海星先発の春田剛志、6回から最終回までを本塁打の1点でしのいだ土谷一志の必死のリレーも大きな要因になった。

 ベスト8に進出した明石商、木更津総合、高松商、海星は投手たちの力投も光ったが、大会屈指の好投手に勝つための準備と戦略を徹底していた。強豪チームに競り勝つには何が必要なのかを改めて実感させられる対決だった。

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