選抜からプロの強打者へ 大谷、中田、森… 春の聖地から飛躍した男たち

3月27日(月)7時40分 フルカウント

清宮&安田と打者に有望ズラリ…大谷は選抜アーチで「二刀流」評価高める

 3月19日、甲子園球場で第89回センバツ高校野球が開幕した。今大会は早稲田実・清宮幸太郎内野手、履正社・安田尚憲内野手を筆頭に、打者に有望選手が多いのが特徴だ。それは試合展開にも反映され連日、打撃戦を中心に熱戦が繰り広げられている。

 現在、パ・リーグで活躍する打者にも高校時代、センバツで躍動した選手たちがいる。昨年パ・リーグMVPに輝いた「二刀流」こと北海道日本ハム・大谷翔平投手も、打者として存在感を見せたのがセンバツだった。花巻東3年春の2012年、大谷選手は大会屈指の好投手として注目を集める。その初戦で対戦したのが、好投手・藤浪晋太郎投手擁する大阪桐蔭だった。大会を代表する注目選手同士の対決とあって、試合前から盛り上がりを見せる。

「4番・投手」で登場した大谷は2回裏、打席が回ってくる。藤浪はカウント2-2から真ん中低めに緩い変化球を投じた。そのボールを、大谷は軸が崩れることなくうまくすくい上げる。打球はそのまま大きな放物線を描き、右翼席に吸い込まれていった。大谷の先制ソロで花巻東が先制。その後、4回の第2打席は四球。6回の第3打席は外角のボールをうまくはじき返すも、サードの正面を突くライナーに。9回の第4打席は遊飛。3打数1安打1打点の結果だった。

 試合は花巻東が2-0と試合中盤までリードするが、6回に大谷選手が大阪桐蔭打線につかまり、2-3と逆転される展開に。終盤にも追加点を奪われ、2-9で大阪桐蔭が勝利した。大谷は試合に敗れたが、2回の本塁打で「打者・大谷」として評価を高め、その後のプロ野球での「二刀流」につながっていく。

 その大谷と同じ北海道日本ハムの先輩である中田翔内野手も大阪桐蔭時代、センバツでその才能の片鱗を見せつけた。高校1年夏に夏の甲子園で活躍し、注目を集めた中田は、2年秋には秋季近畿大会で推定170メートルともいわれる一発を放つなど、高校球界屈指の長距離バッターとして評価を高めていった。

大阪桐蔭の中田、森…センバツから次代のスター候補探しが楽しみに?

 そして2007年のセンバツ、中田は2回戦の佐野日大戦でその打棒を発揮する。1点を追いかける3回表、1死一、二塁の場面で打席に入った中田。カウント2-2からやや内角寄りのストレートを振り抜くと、打球はそのまま左翼席へ。中田の3ランで3-1と大阪桐蔭が逆転する。

 さらに6-3で迎えた4回表、中田は甘く入った変化球を逃さずにフルスイング。3回と同じく左翼席に吸い込まれる2ランとなり、2打席連続の本塁打となった。試合は11-8で大阪桐蔭が勝利し、中田の1試合2本塁打は1992年センバツの星稜・松井秀喜以来15年ぶりの記録となった。大阪桐蔭は続く準決勝で、この年のセンバツを制する静岡・常葉学園菊川に敗れるが、中田は評判通りのバッティングを甲子園で見せつけた。

 その中田の大阪桐蔭の後輩で、大谷の花巻東対大阪桐蔭の試合で藤浪とバッテリーを組んでいたのが、埼玉西武の森友哉捕手だった。当時2年生だった森は「1番・捕手」として、その強打をセンバツの舞台でも発揮した。花巻東との試合では3回にチーム初安打となる左前打、7回には二塁打を記録して3打数2安打と活躍。さらに3番に打順が変わった準々決勝の浦和学院戦は4打数3安打、準決勝の健大高崎戦では8回に勝ち越し弾を放っている。光星学院(現・八戸学院光星)との決勝は無安打に終わるが、藤浪をうまくリードしセンバツ優勝。さらに夏の甲子園も制し、大阪桐蔭は春夏連覇を達成した。

 大阪桐蔭は翌2013年のセンバツに出場し、3年生となった森は大会屈指の強打者として甲子園に戻ってくる。初戦となった遠軽戦では5打数4安打3打点と大活躍。試合も11-1と大勝する。しかし、大会中の練習で右ふくらはぎを負傷し、続く県岐阜商戦は出場できず、ベンチから試合を見守った。試合は4-5で大阪桐蔭が敗れ、3季連続甲子園制覇はならなかった。

 将来、パ・リーグの球団に入り、活躍する選手が今年のセンバツから出てくるかもしれない。ペナントレース開幕までの間、センバツを見て次代のスター候補に想いを馳せるのも一つの楽しみだろう。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」武山智史●文

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