吉田麻也が抱く主将像。「僕は長谷部誠にはなれない」。ハリルJを束ねるDFリーダーの存在感

3月28日(火)11時5分 フットボールチャンネル

ハリルジャパンで守備を統率する吉田麻也。タイ戦にも気を引き締める

 日本代表DF吉田麻也は、23日に行われたワールドカップアジア最終予選のUAE戦で負傷離脱している長谷部誠に代わってキャプテンマークを巻いた。長く日本代表のキャプテンに君臨してきた長谷部の代役を務めることになったが、吉田は「僕は長谷部誠にはなれない」と自身の主将像を掲げる。後方から喉を枯らし、叫び続けるDFリーダーの存在感は、いまやハリルジャパンにおいて不可欠な存在である。(取材・文:元川悦子)

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 6大会連続ワールドカップ出場により大きく近づくため、28日の2018年ロシアワールドカップ最終予選第6戦・タイ戦(埼玉)は是が非でも勝ち点3がほしい一戦だ。23日のUAEとの死闘(アルアイン)の直後に帰国し、4日がかりで準備を重ねてきた日本代表は今野泰幸(G大阪)、大迫勇也(ケルン)、高萩洋次郎(FC東京)の負傷を乗り越えて重要なゲームに向かうことになる。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がUAE戦と同じ4-3-3を採るのか、それとも本来の4-2-3-1に戻すのかはまだハッキリしないものの、絶大な信頼を寄せている守備陣を変えることはないだろう。

 UAE戦で決定的シュートを止めたGK川島永嗣(メス)を筆頭に、酒井宏樹(マルセイユ)、吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル)の最終ライン4枚は、タイの仕掛けてくるであろうカウンターを確実に封じ、無失点で試合を乗り切る必要がある。

 統率役の吉田は「タイはかなり守備的に入ってきて、カウンターを狙ってくる。アウェーの時(2016年9月=バンコク)には1対1のシュート場面もあったし、そういう状況をなくすことが大事。UAE戦でも前半に川島選手が止めたシーンだったり、後半の立ち上がりにも2回くらいピンチがあった。1試合に2〜3回あるかないかのところを突き詰めて、向上していかなきゃいけないかなと思ってます」と気を引き締める。

喉を枯らし、後方からチームを束ねる吉田。「僕には僕ができるリードの仕方がある」

 吉田は、タイ戦でも長谷部に代わってキャプテンマークを巻くことが有力視される。「麻也君は試合中、ずっと声を出して前に指示を与えていた」と昌子源(鹿島)も話していたが、UAE戦の吉田は主将として、守備陣のリーダーとして喉が枯れるまで叫び続け、力強くチーム全体をけん引していた。今回も同等かそれ以上の存在感を示してくれれば理想的。今の彼ならそれができるはずだ。

「僕は長谷部誠にはなれないし、僕には僕ができるリードの仕方があると思う。別にハセさんみたいにムリして振る舞う必要はないと思いますし、自分が信じる道、正しいと思うリーダーシップを出していければいい。今回は(UAEでいい試合をしたことで)集中力を欠きがちな試合になる可能性があるんで、コーチングでしっかりチームをリードしていきたい」と本人は長谷部との比較を一蹴。

 まずは声を出し、後方からチーム全体をスムーズに動かすという自分ならではの方法で、日本代表をまとめていくつもりだ。

 所属のサウサンプトンではズラタン・イブラヒモビッチ(マンチェスター・ユナイテッド)やロメル・ルカク(エバートン)といった世界最高クラスのアタッカーと常日頃から対峙しているだけに、アジアレベルのFW陣を向こうに回しても決して動じない。UAE戦での圧巻なパフォーマンスは、イングランド5シーズンの高度な経験値が凝縮されたものだった。

 本人は「準備をすること自体は(試合に出られなかった)去年も一昨年もやってたんですけど、チャンスをつかめなかった。今は試合に出ていますけど、パフォーマンスが落ちればすぐにポジションを奪われる可能性もある。今もこの先も『ポジションを奪った』っていう感覚は持つことはないと思います」と強い危機感を募らせる。

 今の吉田が「この男がいれば日本の守備は大丈夫」というオーラを漂わせているのも、ギリギリの緊張感の中で日々を過ごしていることが大きい。

アジアでの戦いにおけるハリルジャパンの理想と現実

 そんな吉田がタイ戦で目指すのは、「アジアでの現実的な戦い」と「ハリルジャパンが目指す理想の戦い」を少しでも近づけること。ボスニア人指揮官は世界基準を見据えて、前線からアグレッシブにプレスに行き、相手をはめてボールを奪い、素早い攻めからゴールを狙うスタイルを志向している。

 しかし、アジアでは相手が守りを固めてくることが多いため、日本はボールを支配しながら攻めきれないという苦境に直面することが多い。屈辱的ドローを余儀なくされた2015年6月のシンガポール戦(埼玉)などはまさにその象徴だった。果たしてそのギャップをいかに埋めていくのか。吉田はヒントがUAE戦にあったと見ている。

「前回の試合は特に後半、ラインをあえて高く上げすぎずにスペースを消していた。暑さや移動の疲れ、アウェイ、選手の特徴だったりを考えてそう判断したんですけど、それは本来の僕らの形ではない。次はホームなんで、もう少し理想に近づけるようにしたいですね。現実問題、ワールドカップに行くためにはアジアで勝たなきゃいけない。UAE戦では理想と現実のバランスがうまく重なったかなと思うんで、タイ戦ではそういう中で高いパフォーマンスを見せたいですね」と守備のリーダーは野心をのぞかせた。

 タイはなかなかスペースを与えてくれないかもしれないが、そこで焦ったら相手の罠にはまってしまう。多少リズムがかみ合わなかったとしても、常に冷静に相手を見ながら戦い方を臨機応変に変化させていけるようになれば、日本のロシア行き、世界での躍進も見えてくる。

 2014年ブラジルワールドカップでの挫折を知る吉田は真っ先のその道筋を見出さなければならない存在だ。今回のタイ戦で当時とは全く違うチームになった日本を示すべく、彼にはピッチ上の司令官として奮闘してほしいものだ。

(取材・文:元川悦子)

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