英国人が見たウクライナ戦「ハリルの考えわからない」「いまセルフィーを撮ったら…」

3月28日(水)10時37分 フットボールチャンネル

「ディフェンスは本当に心配。距離感が良くない」

 日本代表は27日、キリンチャレンジカップinヨーロッパでウクライナ代表と対戦し、1-2で敗れた。この試合中、日本代表やJリーグなどを幅広く取材し、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

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ーーいよいよウクライナ戦です。柴崎岳本田圭佑がスタメンですね。

「いいね! 彼ら2人には期待している」

ーーマリ戦は課題の多く残る試合でした。今日はどんな展開を期待しますか?

「立ち上がりからフルタイムまで試合の流れをコントロールしないといけない。そして主導権を握っている時間帯に絶対点を取らなきゃ!」

ーーまずは立ち上がりが重要ですね。ここまでの日本はいかがですか?

「まだ5分だけど、ポジティブな姿勢を見せていると思う。本田も柴崎も守備の意識は良いと思うので、そこはあまり心配していない」

ーー確かに守備はマリ戦よりも良くなっている気がします。

「そうですね。前からしっかりプレッシングにいけていると思う。マリ戦よりもインテンシティは高そう。ただ、マリ戦も立ち上がりは良かったのにゴールを奪えなかったよね…」

ーー酒井高徳のところをだいぶ狙われています。彼は浮き足立っているようですね。

「今、ナイスシュートもあったね(笑)。宇賀神(友弥)に続いて(酒井)高徳も悪いスタート。(酒井)宏樹がいない時の右サイドバックは少し心配だね。ウッチー(内田篤人)や西(大伍)にもまだ可能性があるかな…?」

ーーまた先にゴールを奪われてしまいました。シュートを打ったウクライナの選手には誰も寄せていなかったですね。

「その通り。これはハリルホジッチ監督、絶対怒るね。ただ選手たちも誰の責任か少しわからなそうな感じでした。それでも相手にシュートを蹴る余裕を与えすぎたと思う」

ーー25分を過ぎて少し試合のペースが落ち着いてきました。

「ウクライナは先制点を奪った後、試合のリズムをうまくコントロールしているね」

ーーまた日本の右サイドからビッグチャンスを作られました。

「ディフェンスは本当に心配だね。距離感が良くない。柴崎の役割はたぶん前の選手にプレッシャーを掛けることだと思うけど、その後ろの長谷部(誠)と山口(蛍)の2人のベースがセットできていない。ウクライナはボールを持ったら本当にうまく動かしてくる。逆に日本はボールを持った時になにをやりたいのか少しわからない」

「ミスしてイライラして、またミスをする…」「本田は残念」

ーー日本はミスが増えてきましたね。

「また(酒井)高徳が…。チーム全体がどんどんイライラしてきているみたい。ミスしてイライラして、イライラしているからまたミスをする…」

ーー槙野智章が同点ゴール! きれいなヘディングシュートでした。

「あら! ブラジル戦と同じ槙野のヘディング!」

ーーベルギー遠征で連続ゴール…新たな「持ってる男」の誕生でしょうか…

「そうかもしれないね。チームのパフォーマンスが良くない時に点を取れる力があるのは素晴らしい」

ーーただ、ヨーロッパはウクライナでもワールドカップに出られないんですね。前半だけでも力の差を見せつけられています。

「間違いない。ヨーロッパの予選はアジアの予選よりもずっと大変! ウクライナだけでなく、イタリアやオランダもロシアワールドカップには出られないからね」

ーー前半は1-1で終了しました。45分間をどうご覧になりましたか?

「楽観的に見れば『良かった』ね。立ち上がりのいい時間帯に先制点を奪われて、少しバラバラになりかけたけど、我慢してセットプレーから同点に追いつくことができた。一方、悲観的に見ると『良くなかった』。序盤に先制点を奪えずに失点。ビハインドを背負っている時間帯は落ち着いてプレーできなかった」

ーー後半はどんなポイントに注目しますか?

「この試合の方がマリ戦よりも全体的に良い準備になっていると思う。ワールドカップでの試合の流れに似ているかもしれない。だからこそ、特にボールを持った時は落ち着いてプレーしなければいけないね」

ーー後半も始まってみると、前半と同じように日本の右サイドを狙われますね…。

「そうだね。僕は何回も言ってきたけど、本田はワイドではなく中盤の方が良いと思う。右サイドは(酒井)宏樹と久保(裕也)だったらもっと安定するだろうね」

ーー本田が右サイドのレギュラーポジションを奪うのは厳しいでしょうか。

「正直に言えばどのポジションでも難しいと思う」

ーーこの試合のセットプレー以外で最もウクライナのゴールに近づいたのに…。

「原口(元気)はなんでシュートを打たなかった!? ファーストチャンスは中途半端、セカンドチャンスもタイミングはあったのにもったいなかった。そしてあのシミュレーションはちょっと恥ずかしいね。目の前で主審に見られていたし、ダイブもうまくできなかったね(笑)」

ーー本田が久保と交代します。半年ぶりに先発出場のチャンスを得ましたが、彼のプレーはいかがでしたか?

「残念でした。攻撃面であまり貢献できず、守備面でも少し足りなかったと思う」

「W杯に近づいていないのではないかと思ってしまう」

ーーウクライナに完全に崩されて2点目を奪われてしまいました…。

「日本は1人少ないように見えたね。2人かわされて日本はチーム全体が下がらなくてはいけなくなった。そうしたら2列目から飛び出してくる選手はフリーになる。日本はチームとしての形をキープできていない」

ーー逆にウクライナの守備を流れの中で崩すのは本当に難しそうですね。

「ウクライナは確かに堅いけど、日本の連動性も良くない。中盤でのミスも多すぎる。ボールを持っている選手が周りを使うための選択肢がなくなってしまっている」

ーー中島翔哉と三竿健斗が出てくるようです。

「また中島と三竿のコンビが日本を助けてくれるかな!? 中島はトップ下に入ったけど、そのポジションでも絶対にインパクトを残せると思う。ただ、本田はいつまでもトップ下で使われないのに、中島は2試合目でトップ下に入った。ハリルホジッチ監督の考えは少しわかりにくいね…」

ーー選手交代もあまり機能しないですね…。

「ウクライナとは本当に差があるね…日本は全然機能していない…。そしてもしワールドカップで吉田と(酒井)宏樹がいなかったら、ディフェンスは本当に心配。中島は積極的なプレーを見せていて良いと思う。ただ、ハリルホジッチ監督は最近、前線の4人を入れ替えすぎだね。誰がファーストチョイスなのか全くわからない」

ーー残念ながら1-2で敗戦となりました。試合全体を振り返ってください。

「少し心配だね。この欧州遠征の2試合はワールドカップの準備のために行われたのに、ハリルホジッチ監督のベストイレブンが全くわからない。ワールドカップに近づいていないのではないかと思ってしまう。もちろん本大会でこんなに悪いパフォーマンスになるとは思わないけど、今はあまり楽観的ではない」

ーー特に問題が多いのは守備でしょうか。

「守備も目立っていたけど、それよりも心配なのは攻撃だね。吉田と(酒井)宏樹が戻ってくれば守備は少し堅くなりそう。でも、攻撃では誰がチャンスメイクするのか、誰が点を取るのか全くわからない。今回はセットプレーで、マリ戦は本当に最後のプレーだった。今の時点で、このチームにプラスαはない」

「試してみた選手は皆ほぼ同じ」「いまセルフィーを撮ったら…」

ーー今後ハリルジャパンにどんなことが必要だと思いますか?

「いや…いろいろあるね。まずはハリルホジッチ監督のベストイレブンを決めなくてはいけない。ワールドカップまであまり時間がないので、選手を試すのはもう終わり。中盤と前線のポジションは入れ替えすぎていると思う。結局、試してみた選手は皆ほぼ同じレベルだった」

ーー現時点でレギュラーにふさわしのは誰でしょうか?

「長谷部と山口しか定着していなさそう。トップ下、ストライカーは誰がやる? だからこそ攻撃が機能していない。まだ香川(真司)や清武(弘嗣)、乾(貴士)、岡崎(慎司)にも可能性があると思う。本当に、今の時点で30人以上…いや35人以上の選手に23人の最終メンバー入りの可能性があるんじゃないかな」

ーー今の時点で試合に出ている選手たちが満足できるレベルではないということでしょうか。

「間違いなくその通り。ワールドカップまで残り3試合しかない。これからハリルホジッチ監督が自分のベストイレブンを決めなくてはいけないし、本大会までの3試合はできるだけ同じメンバーで戦うべきだと思う。僕が監督だったら、岡崎はそのうちの1人に絶対入る。正直なところ、香川と乾は微妙かな…」

ーー最後に、マリ戦とウクライナ戦の総括をお願いします。

「セットプレーから点が取れるチームになってきたのは良い傾向だと思う。ワールドカップではその武器が大きな意味を持つかもしれない。それ以外は少し心配。ワールドカップがすごく楽しみになってきたよ(渋い顔で)。あ、この顔はいまセルフィーを撮ったらこうなるよ…ということね(笑)」

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパー!のJリーグ番組出演も。

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