【西部の目】ハリルJは個性の薄いチームに。失われた特徴、“素の状態”のレベル低下

3月28日(水)10時40分 フットボールチャンネル

表れた地力の差

 27日、日本代表はキリンチャレンジカップでウクライナ代表と対戦し1-2で敗れた。追いかける展開の中でセットプレーから同点としたものの、後半に突き放された。中島翔哉という収穫はあったが、地力の差が結果に表れた試合だ。また、ある弊害によって、以前は備えていた日本の良さの一つがなくなっている。(取材・文:西部謙司)

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【日本 1-2 ウクライナ】

 日本とウクライナはよく似た戦い方を志向していた。堅固な守備からの速攻が狙いだ。ベースと個々のクオリティで上回ったウクライナの順当勝ちとはいえ、前回のマリ戦よりも日本は良いプレーをした。

 この時期の強化試合で手の内をすべてさらすことはない。とくに日本のような立場のチームは相手を分析しての対策が重要になってくるので、例えばウクライナを相手にポーランド用の戦術を試したわけではない。もちろん手の内を隠すためにデタラメをやるわけではなく、想定されるいくつかの戦い方の1つはやっているわけだが、従来のベースから外れない範囲だった。つまり主に選手のテストである。

 とはいえ、軸になる7人はほぼ決まっていて、先発のポジションでいえば2枠ほどの競争だろう。具体的には川島永嗣、酒井宏樹、吉田麻也槙野智章長友佑都、長谷部誠の6人は確定的。山口蛍もメンバーには入るだろう。FWの左も原口元気か乾貴士、CFは大迫勇也か杉本健勇かの選択なので、決まっていないのはMFのポジションが1つか2つ、あとはFWの右サイドになる。

 右サイドバックのバックアップは不安材料しか出てこなかった。マリ戦の宇賀神友弥に続いてウクライナ戦の酒井高徳も不安定だった。トップ下のポジションを争った森岡亮太と柴崎岳はどちらも大きなインパクトは残せず、今回招集外の香川真司、清武弘嗣にチャンスが残された格好だ。右ウイングの久保裕也と本田圭佑も同様の状態といえる。

 最大の収穫は中島翔哉。限られた時間内で確実に爪痕を残した。スーパーサブとしての資質は十分。ウクライナ戦ではセカンドトップ的に中央で起用された。このポジションで起用された候補がすべて保留状態なので、ここに中島が食い込んでくる可能性もありそうだ。

ファーストパス、サイドチェンジ、ビルドアップ

 日本とウクライナは、どちらもミドルゾーンのプレスを軸にした守備ブロックを敷いてコンパクトに守り、奪ってからの速い攻め込みを狙っていた。守備の規律と寄せの早さ、高いところで奪っての攻め込みには日本の特徴は出ていたものの、全体的にはウクライナのほうが格上。スタイルが似ているだけに余計に実力差が目立っていた。

 ハリルホジッチ監督が指摘したとおり、「奪ってからのファーストパス」「サイドチェンジ」には明確に違いが表れていた。速攻ができない場合のビルドアップにも差があった。ボールの動かし方に意外性がなく、テンポも変わらないので縦へのスイッチが入らない。4年前は少なくとも問題なくボールを運べていたのに、その長所はすっかり消えている。どうやって得点するかの答えを持っていない、カウンターに弱いのは同じだが、日本の特徴の1つは失われた。ただ、かつてはできていたことなので、大会直前に作り込めば形にはなるかもしれない。

 いわば素の状態でプレーしたときのレベルが4年前と比べても低下しているのは厳しい。メンバー決定後にシェイプアップして、監督が得意とする分析と対策による上積みがあるとしても、ベースが低ければ相手を上回るほど高くはならない。ベースの構築にあたって制限をかけすぎた弊害が出ている。得意を捨ててしまった結果、個性の薄いチームになってしまった。

 とはいえ、ワールドカップという特異な大会で結果を出すには何が必要かはよく知っている監督ではあるので、ラストスパートでの巻き返しに期待するしかないのだろう。

(取材・文:西部謙司)

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