打てる手はあまり多くない? ラミレス新監督が直面するセンターライン問題

3月28日(月)19時43分 フルカウント

DeNA、「中堅・梶谷」の実現で外野の攻撃力アップへ

 11年ぶりのAクラス復帰へ、アレックス・ラミレス新監督を迎えたDeNA。今シーズンの開幕戦では広島のクリス・ジョンソンからもぎとった2点を守りきり、見事初白星を飾った。ラミレス監督は、春季キャンプではベンチから捕手に配球のサインを送るなど、大胆な戦略家としての一面も注目されているが、現状のチームの弱点もロジカルに把握しているように映る。

 昨シーズン、DeNAの失点はリーグワーストの598点。毎年、失点の多さから槍玉に挙げられることが多い投手陣だが、昨シーズンの投球内容は悪くなかった。失点の原因はNPBで最も得点の入りやすい横浜スタジアムを本拠地にしていることと、野手陣の守備難によるところが大きいと考えられる。

 打撃成績、守備成績を得点換算し、リーグの平均的レベルと比較した数字を使って、昨シーズンのDeNAのポジション別攻守成績を見てみよう。

 多くのポジションが攻守ともにマイナスで、プラスなのはホセ・ロペスが守った一塁、筒香嘉智が守った左翼、梶谷が守った右翼だけ。捕手、二遊間、中堅などがマイナスになっている。打撃成績は本拠地球場の得点の入りやすさによる有利不利がなくなるように調整したものだが、この数字だと、一見得点力に長けたチームに見えるDeNAが、実際はそうでもないことがわかる。

 ラミレス監督もセンターラインをはじめとした野手陣に問題意識を持っているのか、右翼手としてまずまずの守備能力を見せていた梶谷を中堅に回すコンバートを行った。現在のところはケガで出遅れているが、チーム内では守備能力に秀でている梶谷に中堅に担わせることができれば、右翼のポジションが空き、他の選手を起用する選択肢の幅が広がるだろう。

 新外国人のジェイミー・ロマックが右翼で先発出場しているが、梶谷のコンバートがなければ三塁手としてしか起用できなかった。「中堅・梶谷+右翼・ロマック」で、昨シーズンの「主に4選手で回した中堅+右翼・梶谷」を上回る得点力と守備力を目指すのは、攻撃力の補てんという目標に向けて、妥当な策といえそうだ。

効率改善につながりそうな「2番・梶谷」

 構想として伝えられている梶谷を2番に置く策についても、ロジカルな判断に見える。打順を考えるとき、優秀な打者に多くの打席を回すことは、得点を増やすための基本となる。いい場面でいい打者に回るか、回らないか、という噛み合わせの問題はもちろんあるが、前提として考えるべきなのは優れた打者に多くの打席を回し、劣った打者の打席を少なくすることだ。DeNAでいうと筒香やロペス、梶谷に多くの打席を回さなければならない。

 次のイラストは2015年のDeNAのポジション別打席数と、出塁・長打の両面から推定した総合的な得点創出力を示すwOBA(Weighted On-base Average)の数字でつくったグラフだ。

 これを見ると筒香の左翼、梶谷の右翼など強打者に多く打席を与えている一方、打力に欠ける二塁や中堅の選手にも、必要以上に打席を多く与えてしまっているのがわかる。これらのポジションの選手が1、2番を務めることが多かったことが原因だろう。「2番・梶谷」構想では、昨シーズンクリーンアップを務めた梶谷、ロペス、筒香、3人のセットを2、3、4番に配置することとなり、彼らに多くの打席を与え、劣った打者の打席を減らすことにつながる。2番に強打者を置くというと、バントをしない志向の表れとして取り上げられがちだが、持てる戦力を効率的に発揮させようという、シンプルな志向である場合もある。

現有戦力のやりくりが続きそうな中堅以外のポジション

 梶谷で埋まった中堅以外の、弱みとなっているセンターラインのポジションは、絶対的なレギュラーが出現するまで、コンディションや相性などに目を向けながら現有戦力を働かせ、少しでもよい成績を残せるようにやりくりしていくしかない。

 昨シーズン、捕手は嶺井博希、黒羽根利規、髙城俊人の3人が出場した。出塁、長打の量などから推定した創出得点をリーグの平均値に対する割合で示した指数、wRC+(Weighted Runs Created Plus)で見ると、嶺井は左投手に対して205(%)という素晴らしい数字を残している。現在、嶺井は二軍で調整中だが、左投手に対しては起用をすすめたい成績だ。

 この3人の争いに割って入っているのが新人の戸柱恭孝である。ラミレス監督は開幕から戸柱をスタメンで起用しており、信頼を勝ち取っているようだ。ここでポイントなのは戸柱が一般的には右投手に強い左打者であること。3人の捕手は右打者で対右投手のwRC+は低い。仮に戸柱がレギュラーに定着できなかったとしても、投手の左右で使い分ける選択肢が生まれる。うまく起用すれば、捕手で記録していたマイナスが多少改善される可能性はある。

 二塁、三塁、遊撃の3ポジションは非常に難しい状況にある。対戦投手の左右別の成績からいえそうなのは、左投手相手に倉本寿彦を起用するのは避けたほうがいいかもしれないということくらいか。しかし、ラミレス監督は開幕戦で左腕のジョンソンに対し倉本を起用しており、あまりとらわれている様子はない。

 二塁の石川雄洋は投手の左右で成績の差はあまりないようだが、攻守ともに上積みが期待しにくい。石川が開幕に出遅れている間に出場機会を得た柴田竜拓がスターティングメンバーとして出場、決勝打を放つなど活躍を見せており、今後起用のバランスをどのようにとっていくか。

 三塁は白崎が開幕からスタメンで出場しているが、昨シーズンは遊撃でも平均レベルの守備力を見せており、遊撃手の成績が振るわなければ再びコンバートを考えてもよいかもしれない。その場合、ロマックを三塁で使い、空いた外野の一枠を荒波翔、関根大気、桑原将志らで回すこともできる。

 しかしこれらのポジションでラミレス監督ができることは、やりくりでマイナスを削り取る起用をしながら選手の成長を待つことぐらいで、状況を大きく動かすための選択肢はあまり多くないと言えるだろう。

DELTA●文 text by DELTA

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1〜3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を2015年3月27日に発売。集計・算出したスタッツなどを公開する『1.02 – DELTA Inc.』(http://1point02.jp/)も2016年にオープン。

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