オリックスの「ぶれない軸」 斬新な取り組みが生まれ続ける理由とは

3月28日(月)14時26分 フルカウント

以前とは印象が変わった京セラドーム大阪、オリックスの取り組みとは

 久しぶりに訪れた京セラドーム大阪はだいぶ印象が変わっていた。

 リニューアルされたオフィシャルチームストア「Bs SHOP」は広大なスペースへと生まれ変わり、以前まではチームカラーの濃い青を基調としていた空間も、爽やかな印象を与えるライトブルーに変わっていた。女性ファンの「オリ姫」が増え、彼女たちが居心地良く過ごせる空間にするため新設された女性専用トイレ、そして赤ちゃん休憩所の「B’sルーム」と、全体的にフレンドリーで、爽やかな空間へと変貌していた。

 その京セラドーム大阪の社長を務め、斬新なアイデアでさまざまなイベントに取り組む、オリックス・バファローズをけん引する湊通夫専務取締役・事業本部長に話を伺った。

「お客さんが楽しんでもらうために何をするか」がオリックスのファンに対する「B to C」の軸である。

 イベントを開催するには、お客さんに「安全・安心を与える運営の部分」と「楽しんでもらう」という二つの側面がある。オリックスファンに楽しんでもらうためアイデアを出し続け、あえて運営とお金の部分はまず排除する。運営すること、そして楽しんでもらうことは共に重要であるが、安心・安全を真っ先に考えてしまうと、面白いものは生まれにくい。

 何十年も興行を続けていれば、ある程度のアイデアはすでに形となっている。だが時代に合わせた切り口で、過去に開催されたイベントでも違った光を当てることによって、今のトレンドに合わせた新しい形にすることができる。ファンに楽しんでもらうために、光のベクトルを変えていくことで、ソフトの見せ方に多様性をもたらすことができる。

 オリックスでは2、3年前から各部署の人間が集まるイベント会議を行い、具体的なアイデアを出すところから始めていたが、今ではそのイベントでお客さんを何人集めるのか、どれほどの収益が見込めるのか、そして広報活動の展開方法など、さまざまな切り口を細分化している。アイデアを出すだけではなく、出てきた案の使い方をそれぞれの目的にどうフィットさせるかを考えていく。イベントの軸にまずはアイデアを立て、それを形にするための努力を怠らないからこそ、オリックスでは斬新な取り組みが多く生まれている。

 その象徴とも言えるのが、「オリ達デー」と「オリ姫デー」で選手たちが着用する球界初のチェック柄ユニフォームだ。

選手たちの協力も得て実現

 すでに昨年から計画されていたこの取り組みは、ユニフォームを「服」としてファンが普段の生活に取り入れてくれることを目指す。爽やかな「オリ達」と「オリ姫」、そして可愛らしい「オリっ子」(今年からオリックスファンのキッズへの愛称)にはチェック柄の帽子を配布することでそれぞれを具現化する。球場に到着してからユニフォームに着替えるのではなく、恥ずかしさのない「服」としてオリックスを生活の一部に取り入れることを目標とする。

 プロ野球選手にとってユニフォームは仕事着であり、正装だ。このアイデアは選手たちの協力無くしては実現できなかった。スポーツ界ではよく現場とビジネス側で意見が分かれてしまうことが多いと言われるが、このアイデアは双方が他ではやっていない斬新な取り組みを共有できたからこそ実現に至った。

 それでも最初から全てがうまくいっていたわけではなく、球団の努力無くしてはここまで実現することは難しかった。過去には、現場と意見共有をせずに反感を買ったこともあったという。失敗経験から学び、今は企画段階からサンプリングを共有することで、選手たちを巻き込んでいる。企画の過程段階から選手と共にデザインの話し合いを行っている。おしゃれな選手たちも多く、意外にもそこからアイデアが生まれてくることもある。

 そしてオリックスのもう1つのファンへの楽しませ方は、ハードの特性を生かしたイベントだ。毎年、もしくは毎試合変えることのできるソフトの面とは違って、減価償却の割に合わず通常3年で飽きられてしまうのが、ハードの部分だ。新球場が完成直後に人を惹きつけることを米国でも「ハネムーン・エフェクト」と言われている。このハードの改修をし続ける難しさはあるものの、室内・屋外の両方をホームと呼べる利点をオリックスは球界で唯一持ち合わせ、それぞれの特性を生かしてファンを楽しませる取り組みを企画している。

 日本プロ野球界初のペット専用ファンクラブ「Bsわんにゃんクラブ」もその取り組みのうちの1つだ。

ペットを連れて観戦も可能に?

 京セラドーム社長も務める湊専務は、毎年米国へ球場視察に訪れている。その時に目の当たりにしたアリゾナ・ダイヤモンドバックスが2011年から開催している「バーク・アット・ザ・パーク」からヒントを得たという。試合前には飼い主がペットの犬と共にウォーニングゾーンを一緒に歩くなど、米国では多くの球団が取り入れるようになったペットと一体となったイベントだ。ファンが楽しむために開催することはもちろんだが、安全面を徹底するために、当日はペット関係の専門学校の学生の方にもボランティアとして参加してもらう。

 ほっともっとフィールド神戸という屋外の空間でも、米国で見たペットを連れての観戦を自然な光景へとしていく。

 その青空球場の特徴を生かしたイベントが花火だ。5月28日には埼玉西武戦の終了後に3000発を打ち上げる「Bs大花火大会」を開催することを数日前に発表したところだ。野球観戦を楽しんだあとに約1時間の大花火ショーをさまざまな演出とともに楽しむことができ来るイベントとなる。

 施設の特性を生かして、アイデアを形にしていくことでさまざまな取り組みを続けるオリックス。そのためには常にファンの声に耳を傾け、コミュニケーションを大切に考えている。コミュニケーションの形はCRM(顧客管理データベースのシステム)であったり、要所での来場者アンケート調査であったり、オリックスは常にファンの考えを大切にしている。全てのファンの声は聞けないかもしれないが、コアファン、そして球場に訪れてくれるファンの声をできるだけ多く取り入れ、それを実行に移していく。

 オリックスのファームは、4月10日に奈良で試合を開催する。これもファンとのコミュニケーションから知った。奈良に存在するファンにもオリックス野球を提供する試みだ。もちろん、最終的には彼らにも京セラドーム大阪へ足を運んでもらうことを望んでいる。だがまずはオリックスを応援してくれるファンへリーチし、野球教室などを開催して、実際にチームを身近に感じてもらいコミュニケーションを図っていく。

 コミュニケーションを大切にし、ファンを楽しませるための「ぶれない軸」を持つことで、さまざまな斬新なアイディアを形にし続けるオリックス・バファローズ。誰もがやったことのない斬新な取り組みを続けるオリックスのグラウンド外の挑戦にも注目していきたい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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