【コラム】競争がもたらす成長…“湘南スタイル”を体現する山根視来の長所

3月28日(火)17時35分 サッカーキング

最終ラインの一角に抜擢され、出場を続ける山根 [写真]=Jリーグフォト

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「3人」の中に山根視来はいる。

 2017明治安田生命J2リーグ戦第5節を終えて、湘南ベルマーレはすでに21人の選手がピッチに立っている。それだけチーム内で日々繰り広げられているポジション争いは激しい。その中で、経験値で分がある秋元陽太、アンドレ・バイアに並んで、今シーズンの開幕戦でJリーグデビューを飾ったばかりの山根が5試合連続フル出場を果たしている。

 曹貴裁(チョウ・キジェ)監督は第5節のジェフユナイテッド千葉戦後、前節から先発メンバーを4人変更した理由について、次のように述べた。

「そもそも自分の中では『メンバーを替えた』という意識はなくて、ジェフさんに対してどういう選手を使えばいいかを最後まで考えて出した。僕は単なる勝ち負けで選手を評価する立場にいないですし、勝とうが悪いことは悪いし、負けようが良いことは良い。そういう意味では、自信を持って送り出した11人が今日のピッチに立ったということです」

 曹貴裁監督が毎試合、「自信を持って送り出した11人」の中に、山根は選ばれ続けている。

「僕より守備ができる人はたくさんいる」と山根は言う。公式戦の出場数が少ないことに加え、今シーズンからDFにコンバートされたばかりで、経験不足は否めない。だが、曹貴裁監督の言葉を借りるならば、「悪いところを消して余りある良さ」が山根にはある。同監督は千葉戦でチャンスを決め切れなかった場面のあった奈良輪雄太と齊藤未月を例に挙げて口にしたのだが、これは山根にも当てはまる言葉だろう。

 千葉戦では公式戦で初めて3バックの左に入り、対峙した千葉MF北爪健吾のスピードにも屈さず食らいついた。そして、途中から左サイドハーフにポジションを移すと、2点リードで迎えた終盤にも積極果敢な攻撃参加で二度の決定機を演出。惜しくもシュートは外れたが、スタンドを大いに沸かせた。



「たくさんのお客さんがいろいろ期待してくれていると思うし、自分自身もあそこで結果を残す、残さないで今後の評価が変わってくる。やっぱり思い切りの良さや前への推進力を期待して使ってくれていると思うので、そこは絶対になくさないようにしないといけない」(山根)

 曹貴裁監督は、「リスクを冒していかないと、サッカーそのものの魅力、フットボールそのもののテンポは生まれない」と言う。それは湘南が掲げる攻撃的でアグレッシブなサッカーであり、山根が持つ「前への推進力」という長所は、この“湘南スタイル”とリンクしている。

 チームとしてもまた、山根のような若手の成長を促す環境がある。山根は「ミスを恐れることなくプレーできる理由」について明かした。

「誰かがミスをしても、周りがカバーしてくれる。それをお互いに繰り返してできているので、仲間がミスをしてもマイナスの声を出さずに、常にプラスの声掛けでチームにいい影響を与えることができている」。ピッチに立つ全員の矢印が同じ方向を向いているからこそ、互いの長所を生かし、短所を補い合う好循環が生まれているのだ。

 ホーム開幕戦となった第2節のザスパクサツ群馬戦後、山根は言った。「連勝したからと言って自分が何かできたわけではないので、もっとアピールしてまた出られるようにしたい。ここで勘違いしたら絶対ダメだと思うので」

 第5節の千葉戦を終えた後も、謙虚な姿勢は変わらなかった。

「今日、前(サイドハーフ)をやったことによって、後ろの人にどう動いてほしいか、改めて分かりました。また厳しい競争が待っているので、たかが5試合出ただけで満足しないで、毎試合出られるように日々努力していくだけです」

 全力で挑戦し続けた先に、新たな発見と収穫がある。自身の成長とサッカーそのものを純粋に楽しむ山根の表情は充実している。「周りの人に何も言わせないくらい真摯に、ひたむきにやっていきたい。それができなければ、絶対にメンバーには選ばれないので」。仲間との競争を勝ち抜き、ピッチに立って勝利に貢献する。そのために、山根は毎日をひた走る。
 
文=平柳麻衣

※『サッカーキング』では2016シーズンより湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督の表記方法につきまして、クラブ側と相談の結果、「曹貴裁(チョウ・キジェ)」とすることにいたしました。

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