ロシアW杯メンバー23人、現時点の当確者は? ハリルJ選考レース全ポジション分析

3月29日(木)7時35分 フットボールチャンネル

GKは無風状態。DF控えは人材難、実力不足の選手多く

 3月の欧州遠征が終わった。いよいよここからはロシアワールドカップへ向けた23人への絞り込みが本格的に始まる。現時点で選考レースをリードしている選手は誰なのか。ポジションごとに見ていく。(取材・文:植田路生【リエージュ】)

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 日本代表の3月欧州遠征はマリ代表に1-1、ウクライナ代表に1-2と1分1敗で終わった。残りの試合は5月30日の壮行試合ガーナ戦のみとなり、ここからはいよいよロシアワールドカップへ向けた23人への絞り込みが本格的に始まる。

 5月中旬には予備メンバー35人が発表されるが、本大会23人を軸として、当落線上の選手たちを最後に見定めるはずだ。果たして23人はどのような陣容になるのか。基本線は2つある。

 1つ目は23人のバランス。23人という枠は決して多くはない。大会中に負傷など不測の事態に対応するために、11のポジションのレギュラークラス11人と、そのサブを11人。残り1人はGKが3人の選出を義務づけられているため、GKとするのが一般的だ。

 2つ目はフォーメーション。ハリルホジッチ監督体制では【4-3-3】が基本フォーメーションとなっていた。GK:1人、DF:4人、MF:3人、FW:3人だ。

 2つの基本線から考えると、23人の内訳はGK:3人、DF:8人、MF:6人、FW:6人となる。ここから23人を考えていきたい。

<GK:3枠>

【確実】川島永嗣
【濃厚】東口順昭、中村航輔
【可能性あり】西川周作、林彰洋、権田修一

 最も波乱の起きないポジション。確実なのは川島。実力的に頭一つ抜けている。控えは東口と中村が濃厚だ。他の選手も可能性はあるが、2人を上回るパフォーマンスをクラブで発揮できているわけではない。彼ら3人に負傷などがない限り厳しいだろう。

<DF:8枠が基本>

【確実】吉田麻也槙野智章昌子源長友佑都、酒井宏樹
【当落線上】植田直通、酒井高徳、遠藤航
【可能性あり】三浦弦太、森重真人、車屋紳太郎

 DFは人材難だ。センターバックは控え含め4人必要。吉田、槙野、昌子は確実だが、控え1人が不確定。3月合宿の起用から見ると植田だが、現段階では実力不足。

 サイドバックは4人「程度」必要。右は酒井宏、左は長友で確定。サブには左右どちらもできる酒井高がいれば安心だったが、欧州遠征のパフォーマンスを見ると大いに不安。頭数として入れてもいいが、その程度。他にいい選手が台頭すればとって代えられるだろう。

 残り1人。左の車屋か、右の遠藤か。遠藤とした場合、他のポジションにも影響が出る。遠藤は守備的MFとしても起用できるため、右サイドバックとMF両方の控えとして遠藤を呼ぶことも可能。

 そうなると、MFに遠藤とは異なるタイプを呼ぶという裏技が使える。逆もしかりで、遠藤をMF登録して左のスペシャリストである車屋を入れることもできる。とはいえ遠藤はまだ指揮官を納得させるパフォーマンスを見せていないのだが。

柴崎が急浮上。香川にも可能性、今野もないわけではない

<MF:6枠が基本>

【確実】長谷部誠、山口蛍
【濃厚】柴崎岳
【当落線上】井手口陽介、大島僚太、森岡亮太、香川真司、遠藤航
【可能性あり】今野泰幸、三竿健斗、長澤和輝、倉田秋、清武弘嗣

 MFは戦い方によって人選が異なるのでやや複雑だ。3パターンある。

1:ワールドカップ行きを決めたオーストラリア戦のように守備的に戦う場合→守備的MFが3人
2:1よりは攻撃の比重を大きくしたバランス型の場合→守備的MF2人+攻撃的MF1人
3:3月合宿で30分だけ見られた攻撃偏重の場合→守備的MF1人+(大島のような)バランス型1人+攻撃的MF

 あらゆるパターンを想定すると、守備力の高い選手は最低でも3人必要。長谷部と山口は確実。あと1人はこれまでの実績だと井手口だが、スペイン移籍後に出場機会に恵まれず指揮官の評価を落とした。UAE戦で活躍した今野にもまだ可能性はある。

 攻撃的MFは控え含め2人必要。トップ下は柴崎と森岡がレギュラー争いをしているが、柴崎が一歩前に出た。逆に森岡は評価をやや落とし、実績のある香川にチャンスが巡ってきた。ただし香川の場合は、まず負傷から復帰し、ドルトムントでこれまでにない活躍をする必要がある。

 あと1人。ハリルホジッチ監督は何を重視するのか。マリ戦で30分程度の出場だったが大島への評価は高い。攻撃時への展開力があり、守備も疎かにしていない。得点は欲しいが、捨て身になる時間帯ではない場合、大島のような選手は必要だ。

 一方、守備的MFが3人だけでは負傷あるいは累積警告の際に心もとない。長谷部、山口、井手口、今野という体制でいく可能性もある。今野は大島のような動きも期待できる。

 忘れてならないのが遠藤航の存在だ。右サイドバックと守備的MFどちらもこなす遠藤をDF登録とすれば、MFの枠に余裕が生まれる。遠藤はDFとMFそれぞれに0.5人分として存在させるのだ。

 そうなると、守備的MFは「3人で十分」となり、攻撃的MFを2人入れても枠は1つ余る。大島のようなバランス型を入れるか、攻撃力強化のため香川や清武を入れるか。

 いずれにせよ、MFの枠は埋まりつつあり、0.5〜1枠を複数人で争う。当落線上の選手たちは個人のパフォーマンスをどんなに上げても他の選手との兼ね合いで落選する可能性がある。厳しい戦いだ。

決まらない右。本田か、久保か、浅野か。あるいは…

<FW:6人が基本>

【確実】大迫勇也
【濃厚】乾貴士、原口元気、中島翔哉
【当落線上】杉本健勇、岡崎慎司、本田圭佑、久保裕也、浅野拓磨
【可能性あり】小林悠、宇佐美貴史、武藤嘉紀、齋藤学

 確実と言えるのは大迫しかいない。センターFWの控えは1人必要で、そこを杉本と岡崎が争うが、ここ最近呼ばれている杉本はまったく結果を残せていない。小林も同様。岡崎復活の可能性は大いにある。

 左は3月合宿には呼ばれなかったが乾が濃厚だ。これまでのハリルホジッチ監督の評価からすると、他の選手を試したいために招集を見送ったのだろう。その控えは原口が筆頭。原口は右もできるため計算しやすい。

 また、彗星のごとくあらわれた中島も濃厚だ。欧州遠征ではゴールも奪い、独力で突破できる可能性を見せた。短い時間であれだけのパフォーマンスは評価が高い。指揮官も個別に言及するほどで、本大会のジョーカー筆頭だ。

 残り1つは右の選手だ。これまでは久保が濃厚だったが、3月でまたもノーゴール。評価を落とした。逆に評価を上げたのが本田。最後のチャンスだったウクライナ戦ではシュート0だったが、守備で奮闘。指揮官の期待に応えた。

 もちろん本田も当落線上に過ぎず、最後まで激しい争いとなるだろう。最終予選で重用された浅野にも十分にチャンスがある。もちろんドイツで活躍する武藤も候補の1人だ。

 経験豊富なハリルホジッチ監督はここで1つプランBを仕込む可能性がある。それが本田の1トップだ。コロンビア、セネガル、ポーランドという難敵相手では様々なオプションが必要になってくる。展開次第では正攻法では通じないからだ。

 本田1トップの腹案があるとするなら、大迫の控えである杉本や岡崎が落選し、違うタイプの選手にチャンスが転がり込む可能性がある。

あまりに薄い選手層。どんな選手も今から滑り込み合格できる可能性も

 では、現段階での23人はどのような人選になるだろうか。

【GK:3人】川島永嗣、中村航輔、東口順昭
【DF:8人】吉田麻也、槙野智章、長友佑都、酒井宏樹、昌子源、植田直通、遠藤航、酒井高徳
【MF:6人】長谷部誠、山口蛍、柴崎岳、井手口陽介、大島僚太、森岡亮太
【FW:6人】大迫勇也、乾貴士、原口元気、中島翔哉、本田圭佑、浅野拓磨

 両サイドバックの控えには遠藤航と酒井高徳をおいた。2人が満足のいくパフォーマンスを発揮したわけではないが、他の候補がいるわけでもない。消極的な選択となった。

 MFも同様。攻撃的MFの控えは現時点で森岡がリードしているが、十分な結果を残していない。香川を入れても良かったが、負傷中で復帰が4月中旬にずれ込むと見られているため今の段階では見送った。試合復帰し、万全な状態でプレーできるかどうかが鍵を握る。

 また、30分程度のプレーだったが、ぜひとも大島は入れたいところ。彼がいるのといないのでは戦い方の幅が変わってくる。日本がボールを保持する展開では必要な人材だ。

 FWには守備力を考慮して浅野を入れた。最終予選・豪州戦のような相手を「ハメる」試合では久保よりも浅野の方が適している。

 本田はフリーキックのキッカーとしての重要な駒となる。格上相手の試合では一発で勝負を決められる飛び道具が必要になる。また、1トップ起用の線も残しておいた方がいい。

 23人を選んだが、どうしても決め手に欠ける。人数合わせに「埋めた」選手もいる。それだけアピール不足であり実力不足の選手が多いということ。残念ながらこれが現実。本大会のレベルに耐えうる選手は23人いない。選手層はあまりに薄い。

 裏を返せば、あと2ヶ月でどんな選手にも逆転可能ということ。特に何か1つに秀でたスペシャリストは、ハリルホジッチ監督が「使える」と判断すれば滑り込み合格も可能だ。23人を穴埋めするのでなく、指揮官が頭を悩ませるくらい激しい競争になることを期待したい。

(取材・文:植田路生【リエージュ】)

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