【F1チーム代表の現場事情:レッドブル】ドライバー管理の失敗が続く。中国でローソン問題への対応に追われたホーナー
2025年3月30日(日)7時30分 AUTOSPORT web

大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、日本GPを前に、リアム・ローソンを降ろし、角田裕毅を起用することを決めたレッドブルのクリスチャン・ホーナーの、中国GPでの言動に焦点を当てた。
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冬の間にF1のパドックでは多くの変化があり、2024年と同じドライバーラインアップを維持したチームはわずか2チームだけだった。その2チームにも変化はあり、アストンマーティンは新しいチーム代表を迎え、マクラーレンは、チャンピオン有力候補という、これまでとは異なる肩書とともに、新シーズンに突入した。
残り8チームは、新たなスタートを切るべく、ドライバーラインアップを変更した。そのうちのひとつレッドブルは、2024年に期待外れな成績に終わったセルジオ・ペレスを放出し、昨年末までにわずか11戦のF1出走経験しかないリアム・ローソンを起用した。
当時、この決定に眉をひそめる者も少なくなかった。角田裕毅の方がローソンよりも経験豊富で、良い成績を収めてもいたが、レッドブルには、マックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてのチャンスを角田に与えるつもりが全くなかったのだ。角田は結局レーシングブルズに残り、ルーキーの新チームメイト、アイザック・ハジャーとともに2025年シーズンをスタートした。
クリスチャン・ホーナー代表は、ローソンを選んだ理由として、フェルスタッペンのチームメイトを務めるのに必要な精神的な強さがあり、シニアチームで成長する大きな可能性を持っていると信じているからであると、説明した。ホーナーはまた、ローソンには現実的な目標を設定するようにし、すぐさまフェルスタッペンに近い成績を求めるようなプレッシャーはかけないとも、述べていた。
ところがローソンは、チームが予想していた以上に苦戦した。開幕戦オーストラリアGP予選Q1では、最後のアタックラップでミスを犯して、そのまま脱落。決勝でも苦戦を強いられ、最終的には、レッドブルが雨のなかでスリックタイヤのまま走らせるというギャンブルを選んだ結果、ローソンはスピンを喫し、バリアでレースを終えることになった。
フェルスタッペンが扱いにくいマシンで2位を獲得したことは、ホーナーにとって前向きにとらえられる要素だった。連戦の2戦目である中国GPでローソンのパフォーマンスが改善することを期待していたホーナーだが、状況はさらに悪化した。
スプリント制の中国で、2回の予選において最下位で脱落、週末を通して、ポイントを狙える位置には全く近づけなかった。そうしてホーナーは再び、2024年シーズン終盤と同じ立場に置かれ、デジャヴのような感覚を味わうことになった。
当時ホーナーは、ペレスの将来について、絶え間なく質問を受け続け、それに対して、レッドブルは実はペレスを降ろすことを望んでいながら、その事実を明かさないようにして、メディア対応をしなければならなかった。上海でのホーナーは、その時と全く同じ状況に置かれていた。
フェルスタッペンは再び非常に印象的なパフォーマンスを見せ、スプリント予選でフロントロウを確保し、スプリントレースでは3位、グランプリでは安定した走りで堅実に4位を獲得した。しかしホーナーに投げかけられた質問は、フェルスタッペンのことよりも、わずか2戦でローソンを外すのかどうかという内容の方が圧倒的に多かった。
ホーナーは、自分はメディア対応がうまい人間だと考えている。だが、ドライバーに関して厳しい質問が来るたびに、決まり文句のような回答を繰り返していたため、舞台裏で何かが進行していることはすでに明らかだった。
日曜日の上海で、角田がローソンと交代する可能性について聞かれ、「今のところ、すべては純粋な憶測にすぎない」とホーナーは答えた。
「まだレースを終えたばかりだ。情報を持ち帰り、これからじっくりと精査する」
「2戦連続でレースが行われ、今週のレースが今終わったばかりであり、集めた情報をこれから持ち帰るところだ」
ホーナーは、ローソンが大きなプレッシャー下にいるという話もしたものの、ローソンの続投を明言することはなかった。彼がそうしていれば、ローソンのプレッシャーがいくぶんかは和らいだはずなのだが。
近年レッドブルはドライバーの管理に失敗していることは明らかだ。日本GPの週末、ホーナーは再び注目を集め、多数の質問に対応しなければならないだろう。