【西部の目】ハリルが挑むザック時代からの“宿題”。進化の鍵は代表が不得手な守備ブロックの構築

3月30日(水)10時30分 フットボールチャンネル

まだ「基礎工事」の段階。気になる山口の不振

 5-0と大勝したシリア戦。ハリルホジッチ監督は守備ブロックの構築について言及した。ポゼッションではなくブロックを基礎としようとしているのだ。これはもともと日本代表が苦手としてきたことである。だが、改善しなければ最終予選では危険である。(文:西部謙司)

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 ハリルホジッチ監督就任以来、おそらく最高のプレーぶりだったのではないか。これでようやくブラジルW杯の水準に戻った。あるいは、アギーレ前監督のアジアカップ時のレベルに。

 引かれると点がとれない、カウンターに弱い。この2点は変わらない日本の弱点である。ここが改善されないかぎり大きな進歩とは言えない。シリアからは5得点したが、2点は相手のミスで3点はカウンターアタックだった。相手のカウンターに弱いのも変わらず、後半には5回も決定機を作られている。

 では、ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチの代表がすべて同じかと言えばそうではない。現在のチームは、監督の言葉を借りれば「家を建てる前に基礎を作る」段階にある。

「とくに守備の基礎だ。それがしっかりしていれば(家を)高く建てられる」(ハリルホジッチ監督)

 守備を土台にしようとしているのは2人の前任者と違っていて、現時点ではレベルアップしたとは言えないが、監督はのびしろに自信を持っているようだ。

 前半は引いているシリアに対してサイドアタックからチャンスを作った。相手のカウンターも散発に抑え、得点はオウンゴールによる1点のみだったが良いリズムだった。後半は一時攻め合いの様相になったが、相手のミスから香川が決めて2-0。その後はシリアが息切れしてしまい、日本のカウンターアタックが炸裂して3ゴールを追加した。

 日本のカウンターは正確でスピードがあった。シリアが帰陣できずに人数不足になるほど疲れていたとはいえ、日本のカウンターはW杯レベルでも武器になるだろう。ただ、カウンターを軸にするには強固な守備が必要だが、「守備の基礎」の耐性がどの程度かは2次予選では判断できない。

 その点で懸念されたのが山口蛍の不振だ。守備能力の高さには定評があるが、シリア戦ではパスミスが多かった。本来なら、あんなミスをする選手ではないので一時的な不調だと思うが、守備ブロックの耐性を左右する存在だけに心配ではある。

ザック時代苦手だった自陣での攻守をいかに向上させるか

 ザッケローニ監督のときは敵陣でのプレー水準が高かった。引かれてもそこそこ点をとる力があり、プレッシングも良かった。ボールポゼッションを生かした戦い方はその点では理にかなっていたのだが、ポゼッション型としてはプレスをくぐられたときのカウンターに弱いのが致命的で、さらに押し込まれたときのボール奪取力も低かった。

 ハリルホジッチ監督は、ポゼッションよりも強固な守備ブロックを基礎にしようとしている。日本のカウンターアタックは鋭く、ザッケローニ時代にアウェイでフランスを倒したときの1点もカウンターだった。攻撃面での大きな問題はない。ポイントは守備のほうだ。

 守備ブロックの強度。それが怪しければ、このプランはまさしく土台から崩れることになる。シリア戦の後半は、ブロックの強度どころか構築すら怪しかった。それでシリアと打ち合った結果、攻撃力と機動力に勝る日本が圧倒したわけだが、最終予選のライバルに同じやり方をするのはかなりリスキーである。

 今後、少ない強化日程の中で、ザッケローニ時代に不得手としていた自陣での攻守をどれだけレベルアップできるか。上手くいけば、引かれると点がとれなくて人数をかけすぎる、さらにカウンターに弱いという欠点をさほど露呈せずに乗り切れるかもしれない。

 失敗すれば、「ふりだし」に戻ることになるが。

(文:西部謙司)

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