柴崎岳のポジション確保を確信できる理由。同タイプの不在。カギは“2部特有”の激しさ【現地記者の目】

3月30日(木)10時39分 フットボールチャンネル

練習合流後、柴崎獲得の理由を理解したチームメイトたち

 今冬スペイン2部のテネリフェに移籍した柴崎岳。加入当初は新天地への適応に苦しんだが、3月に入り試合のメンバーに組み入れられるようになってきた。柴崎は今後、レギュラーの座を獲得できるだろうか。テネリフェを追うスペイン・マルカ氏の記者は、新加入の日本人MFがポジションを確保すると確信している。(取材・文:ラモン・エルナンデス【テネリフェ/マルカ】、翻訳:フットボールチャンネル編集部、協力:江間慎一郎)

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 柴崎岳は、テネリフェで満足な前進を遂げることができつつある。島でのスタートは適応に様々な問題を抱える困難なものとなり、試合のメンバーに初招集されるまで加入から1ヶ月半を待たなければならなかったが、3月の1ヶ月間は柴崎がホセ・ルイス・マルティ監督のチームに割って入る上で鍵を握る時期になったと言うことができそうだ。

 2月末に認められたバルセロナ訪問から帰還したあと、柴崎はホテルを替え、そこからは新たなチームメイトたちと順調に馴染み始めた。チーム内でそれまで以上に守られる存在となり、クラブ首脳陣にも助けられていることを柴崎は感じている。

 それはホテルを移った際にも反映された。クラブは食事面にも気を遣い始め、彼の滞在する部屋に十分な注意を払う様子を見せている。

 そうして柴崎は、徐々にテネリフェでの生活を快適に感じ始めることができた。次の一歩は、自分の車を使う生活を楽しみ始めることだった。自由に移動するとともに、大西洋に浮かぶ宝石のひとつであるテネリフェ島の天国のような風景を知るためにも欠かせないものだ。

 そしてついに、彼がここへ移籍してきた理由を示す時がやってきた。ピッチ上では接触プレーに強さを見せるようなフィジカルを誇る選手ではないが、技術の高さでその不足分を補うことができる。チーム全体と同じリズムで練習ができるようになると、チームメイトたちもクラブが彼を獲得した理由を理解することができた。

 多くの選手たちが、柴崎のサッカーのレベルに対する驚きをお互いに話題にしたり、近しい者に伝えたりしていた。練習でのそういった素晴らしいパフォーマンスや努力こそが、マルティ監督が彼の初招集を早めることへと繋がった。

サポーターから大喝采が送られたデビュー戦

 テネリフェにとって重要な一戦だった。1部リーグから今季降格してきたチームであり、昇格争いの直接のライバルとなるヘタフェがテネリフェをホームに迎えた試合だ。柴崎にとってはスペインのサッカーを経験する初の機会となったが、試合の展開や対戦相手の要求するプレーはデビューに適したものとはならず、1分間もプレーすることはなかった。

 元々デビューが見込まれていたのは3月19日、レウスが本拠地エリオドロ・ロドリゲス・ロペスを訪れる試合であり、実際にそうなった。スコアが0-1の状態で、前線の攻撃的な選手と中盤を繋げるため、テネリフェはボールの流動性を高める必要に迫られていた。

 指揮官の切ったカードは柴崎だ。スペインのセグンダ・ディビシオン(2部)は、クオリティーや技術よりもフィジカルが何倍もの優位性を持つことが特徴的なリーグだとよく言われる。だが優れた技術を備える選手が、その長所で肉体的ハンデをカバーするような例ももちろんないわけではない。

 デビューの日を迎えた柴崎がピッチに出ると、テネリフェのサポーターからは耳をつんざくような大喝采が送られた。最初のボールタッチに対しても大きな歓声が上がった。ついに公式戦のピッチ上で彼の姿を目にすることができてファンは喜んでいた。

 柴崎は個性を発揮し、常にボールを受けようと顔を出していたし、チームメイトたちに動きを指示する場面もあった。ボールを相手にとって危険な位置へ運ぶことを常に試みようとしていた。だが試合の行方を変えることはできず、結果はテネリフェの敗戦に終わった。

適応には時間が必要だが、中盤でチームに貢献できる

 その1週間後、こちらも昇格に向けた直接のライバルとなるカディスとのアウェイゲームでも柴崎は招集メンバーに含まれたものの、プレーすることはなかった。非常にフィジカル重視の試合であり、技術を武器とする選手にとってはチャンスに乏しかった。テネリフェはこのきわめて重要な一戦で勝利を手にすることができた。

 柴崎がすでに、自分に何が提示できるかの片鱗を垣間見せたことは間違いない。だがセグンダ・ディビシオンの持つインテンシティーの強さにより、スペインサッカーへの適応にはおそらく時間が必要にはなるだろう。このリーグの実際のリズムに慣れる必要がある、とマルティ監督が口にしていた意図もまさにそこにある。

 試合のインテンシティーやフィジカルの強さだけではなく、柴崎がデビューを果たしたこの時期は、リーグの全てのチームのコンディションが万全の状態にある時期でもあったためだ。シーズンのラストスパートを迎え、どのチームも一つひとつの試合に大きなものを懸けて戦っている。

 それでも、柴崎はそう遠くないうちにレギュラーチーム内にポジションを確保できるという確信を抱くことができる。彼のパス出しのスムーズさや明確さ、サイドでもトップ下でも中盤でもプレーできるユーティリティー性は、100%の状態でありさえすれば、非常に貴重な貢献をチームにもたらし得るものだ。そういうタイプの選手はマルティ監督のチームに存在しないためでもある。

(取材・文:ラモン・エルナンデス【テネリフェ/マルカ】、協力:江間慎一郎)

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