サバイバルな決勝でダブル入賞。レース前の転倒は「かなり奇妙」とクアルタラロ/第3戦アメリカズGP
2025年3月31日(月)17時33分 AUTOSPORT web

3月30日、2025年MotoGP第3戦アメリカズGP MotoGPクラスの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われ、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロは10位、アレックス・リンスは11位に続き、ダブル入賞を果たした。
大会2日目の予選は、クアルタラロがQ1からQ2へ進出して11番手、リンスは14番手を獲得し、決勝の入賞圏内からスタートとなる。その後のスプリントでは、クアルタラロが5台を抜く抜群のスタートから、終始ドゥカティ勢とバトルを繰り広げ、6位フィニッシュでポイントを持ち帰った。
そんな土曜日から一夜明け、決勝日を迎えた。朝の時点では曇りで、夜間に降った雨の影響かコース上は、少し湿っている状態だ。10分間のウォームアップ走行では、全ライダーが前後ともミディアムのスリックタイヤでコースインし、決勝レースに向けての確認走行を行った。このセッションではクアルタラロが4番手、リンスが14番手となった。
Moto2の決勝レースから弱い雨が断続的に降り、MotoGPクラスの時間になるとウエットレース宣言が出された。クアルタラロは、グリッドへ向かうサイティングラップ中の4コーナーで転倒してしまったものの、運良くジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)の助けを得て、グリッドに着くことができた。
クアルタラロとリンスは、多くのライダーと同じく前後ともミディアムのウエットタイヤを選択。しかし、路面がドライ寄りだと察した複数のライダーがウォームアップラップの直前にピットに走り、スリックタイヤを装着したマシンへ乗り換えた。この騒動で混乱が生じて赤旗となり、スタートが遅れることに。この影響で決勝レースは、1周減算されて19周で争われることとなった。
ヤマハファクトリーチームのふたりは、ミディアム/ソフトのスリックタイヤに履き替えて再びグリッドに着き、ウォームアップラップののち、ようやく決勝レースがスタート。クアルタラロは、またも好発進で一気に3人を抜き、オープニングラップ中にも1台抜いて7番手に浮上した。しかし、思うようにレースペースが上がらず、3周目以降に相次いでオーバーテイクされ、5周目には13番手に後退してしまう。一方スタートで14番手を維持したリンスは、1周目に接触があり一時21番手までポジションを失ったものの、8周目までに4台抜いて17番手まで取り戻した。
レース後半、クアルタラロは12周目に後方から追い上げていた小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)に先行を許し、差が徐々に広がっていったものの、それ以外ではポジションを譲ることなかった。終盤まで上位ライダーがリタイアや転倒が続いたこともあり、クアルタラロは10位でチェッカーを受けた。
リンスも同様に、上位ライダーのリタイアにより順位を上げていき、残り3周でラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)をオーバーテイクして11番手に浮上した。前方のクアルタラロからは4秒以上離れていたため、クリーンエアを受けてポジションを守り切り、11位フィニッシュで2戦連続でのポイント獲得を果たした。
また、サテライトチームのプリマ・プラマック・ヤマハMotoGPはミラーが5位でフィニッシュ。欠場となったミゲール・オリベイラの代役で参戦したアウグスト・フェルナンデスも13位と、ヤマハ陣営の4台全員が入賞を果たした。
モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームの両ライダーは、マシンの乗り換えなどの影響もあり、決勝レースで本来の競争力を発揮できていない様子がうかがえた。スプリントのクアルタラロと決勝でのミラーの結果は十分に戦えるポテンシャルがあることを示しており、コンセッション(優遇措置)をうまく利用してシーズン中にどこまで競争力を上げられるか、次戦となる第4戦カタールGP以降もヤマハの走りに期待したいところだ。
ファビオ・クアルタラロ(決勝:10位)
「なぜサイティングラップでクラッシュしたのか理解できていない。ほぼ直立していて路面もかなり乾いていて、しかもプッシュしていたわけでもないのにフロントが失われてしまった、かなり奇妙なクラッシュだったよ。今年初めてのクラッシュで、かなり久しぶりのことだった。その後、グリッドに向かったけど、最初のスタート進行ではウエットタイヤを履いていて、混乱があったからスタートが遅れた」
「最初のバイクはすでにダメージを受けていたから、セカンドバイクを使うことになったけれど、それには異なるシャシーとスイングアームが装備されていんだ。でも、全体としては素晴らしい週末で、特にスプリントは良かったし、次回はもっと運が良くなることを期待しているよ」
アレックス・リンス(決勝:11位)
「マシンとセットアップを理解することができた。昨日と比べてセットアップをかなり変更したんだ。ウォームアップでやってみて、ポジティブな結果を得られた。その後、決勝レースに向けてより前進した。でも、正直なところ、かなりミスを犯しやすいコンディションだったから、慎重にうまくコントロールできたことは満足しているよ」
「スタートは良かったけど、1周目で接触があって、最後尾に後退してしまった。そこから着実にポジションを取り戻して、最終的には11位でフィニッシュすることができた。僕たちはこれからも努力していくし、カタールで良い感触が得られるか確めたい」