長友の契約延長はなぜ遅れているか。発表に踏み切れないインテルの不透明な未来と補強方針

4月1日(金)15時13分 フットボールチャンネル

長友の契約延長はなぜ遅れているのか?

 日本代表DF長友佑都は、以前から所属のインテルとの契約延長は目前といわれている。しかし、いまだ正式発表には至っていない。なぜ長友の契約延長は遅れているのだろうか。そこには、インテルの不透明な未来と補強方針が影響していた。(取材・文:神尾光臣)

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「今話し合いの途中だし、もうすこしすると良い報告ができると思う。選手やスタッフとの関係といい、インテルはもはや自分の家だ」

 代表ウィーク前の3月12日、セリエAのインテルvsボローニャ戦の前、インテルの長友佑都は地元のTV局のインタビューに対しそう語っていた。

 夏の時点での戦力外扱いから一転して評価を取り戻し、今はクラブとの契約延長交渉に臨んでいる。地元メディアも選手とクラブ側は大筋で合意したと専らの報道。契約期間が1年延長+オプションになるか、あるいは3年間になるかという見方は分かれているが、合意は既定路線と勢いで報じられている。

 ただ、「契約延長」と報じられて始めてから1ヶ月以上が経っている。なぜ遅れているのだろうか。両者の間で何かがこじれているということなのだろうか。「今話し合いの途中」という言葉を受け止め、決まってから報じるのが正しいのかもしれないが、現状が気になるというのも正直なところだ。

 まず取材をしている限りにおいては、選手サイドに迷いがあるという印象は受けなかった。「僕の血はネラッズーロ(青と黒)に染まっている」と彼は昨年12月に語ったが、そこから「僕自身はここに残りたいと思っていて、その気持ちは変わることなく話は続けている」と一貫して話している。ミックスゾーンで談話を聞く限りにおいては、その表情やトーンの変化などは感じられなかった。

CLかELか。順位の見極めに迫られるインテル

 ただその一方で、クラブは来季についての回答を即座に出せない立場にいる。強化方針の見定めを始められていないのだ。インテルは現在、3位のローマを勝ち点5差で追っている。チャンピオンズリーグ(CL)に出場できるか否か、それによって補強戦略の可能性は大きく違ってくるのである。

 CLに参加するクラブは欧州サッカー連盟(UEFA)から、それぞれ成績に基づくボーナスとテレビ市場の規模に応じた分配金が貰えることになる。グループリーグに参戦し、突破をすれば2500〜3000万ユーロと相当まとまった収入となる。昨夏、インテルが補強に使った移籍金総額は推定で7950万ユーロであり、その3分の1以上が賄えるというのはやはり大きい。

 ただ、3位に食い込めずヨーロッパリーグ(EL)参戦となると、成績ボーナスと分配金の規模は1/3にとどまる。インテルは2015年に7440万ユーロの赤字を計上しており、CLに出場できなかった場合は補強はおろか、コスト削減のための戦力整理さえ考えなければならなくなるのだ。

 この場合、3200万ユーロの“市場価格”が付いているというFWマウロ・イカルディや、GKサミル・ハンダノビッチ、DFジェイソン・ムリージョらが他クラブから引き抜きの対象になると見られている。つまり彼らは、3位に入れるか5位で終わるかの見通しをつけなければならないということだ。

「実際のところ、一つ負ければ3位入賞は絶望的な状態。それによってロベルト・マンチーニ監督の去就も左右されるはずなので、2、3週後に事態は動くことになるだろう」と、ラ・レプッブリカ紙のインテル番アンドレア・ソレンティーノ記者は語る。

発表のタイミングはいつになるか

 したがって、長友の契約延長の公式発表もそのタイミングとなると考えられる。報道されている通り3年の契約期間、という形で出れば、それは取りも直さず主要戦力として考えられているということを示す。来季に向けた戦力整備の皮切りが彼の契約延長ということならば、なおさらだ。

 一方、競争相手もCLか否かによって変わってきそうである。さしあたってインテルは、フェネルバフチェで契約切れを迎える左SBカネル・エルキンを抑えたといわれている。現在インテルの左SBは長友の他にアレックス・テレスがいるが、現在ガラタサライからレンタルしているこのブラジル人の買取には850万ユーロ掛かると見られており、インテルは難色を示しているという。この状態でCL出場を逃すということなれば、買取などは余計になされないということになるだろう。

 とりあえずファンとしては、契約延長を待ちつつインテル帰還後のパフォーマンスに注目したい。このところ長友は再び定位置を得ており、攻撃を前方のMFイバン・ペリシッチに任せながら守備に集中するというクレバーさも見せていた。

 先日のロシアW杯2次予選シリア戦で、宇佐美貴史にスペースを与えて攻めさせていた様子にも同じものを感じた。戦力外の状態からここまでこぎつけたこの円熟ぶりが、来季の戦いぶりにどうつながるか。契約延長は期待の指標となる。

(取材・文:神尾光臣)

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