レッドソックス澤村拓一「気持ちが空回りしていた」。オープン戦序盤は不調も昇り調子へ

4月1日(木)16時50分 Sportiva

 2021年も球春到来——。過去に松坂大輔上原浩治田澤純一岡島秀樹など、多くの日本人投手が成功を収めてきたレッドソックスの一員として、今年もひとりのピッチャーがデビューする。日本通算48勝、75セーブの実績をひっさげて海を渡った澤村拓一だ。

オープン戦で調子を上げてMLB開幕を迎えるレッドソックスの澤村
 オープン戦での成績は、リリーフとして5試合に登板し、防御率は3.86。最初の2度の登板では制球が定まらず、2戦連続で押し出し四球を献上して不安視されることもあった。それでも徐々に適応していき、以降の3登板では合計3回1/3で1安打無失点3奪三振と結果を出した。
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「完璧ではないですけど、しっかりとしたボールが投げられていますし、バッターと勝負できていると感じてはいます」
 オープン戦最後の登板となった現地時間3月27日のパイレーツ戦で、1イニングをきっちり抑えたあとの澤村の表情からも手応えは感じられた。
 3月24日のオリオールズ戦ではイニングをまたいでの登板で好投。26日(試合形式のシート打撃)、27日はメジャーでは初めての連投もこなし、4月1日(日本時間4月2日の朝)の開幕を迎える準備が整ったと言えるだろう。
「ボールや環境にも自然と慣れていけばいいんですが、ずっと『慣れなきゃいけない、こうしなきゃいけない』という気持ちが空回りしていました」
 オープン戦当初の不調について、澤村はそう振り返った。新型コロナウイルス感染防止策などでチーム合流が3月2日まで遅れ、「早く馴染まなければいけない。結果を出さなければ」という焦りがあったのだろう。しかし、そんな自分を見つめ直し、立て直してみせた澤村にはアメリカでの成功に必要な"たくましさ"を感じる。
 2018年は圧倒的な強さでワールドシリーズを制したレッドソックスだが、直近2年はプレーオフ進出を逃すなど苦戦している。特に多くの主力が移籍、故障した昨季は、24勝36敗というどん底を味わった。

 今季の指揮を執るのは、3年前にチームを世界一に導いたアレックス・コーラ監督。昨年1月に、アストロズコーチ時代のサイン盗み事件の責任を取る形で解任され、そこから復帰した指揮官は次のように自信を述べる。
「間違いなく昨年よりいいチーム。自信を持っている。地区のレベルが高いことはわかっているけど、いいキャンプを過ごせたし、準備はできているよ」
 野手ではマーウィン・ゴンザレス、エンリケ・ヘルナンデス、投手陣にはギャレット・リチャーズ、アダム・オッタビーノといったベテランが加わり、層の厚いチームになったのは確かだ。
 
 ただ、コーラ監督が言及しているとおり、レッドソックスが所属するのはハイレベルのア・リーグ東地区。昨季のリーグ王者レイズ、スター揃いのヤンキース、今オフに大補強を成し遂げたブルージェイズとしのぎを削る地区で、高勝率をマークするのは並大抵のことではない。
 アメリカのスポーツ専門誌『スポーツ・イラストレイテッド』の電子版は、2021年のレッドソックスについて「80勝82敗で地区4位」と予想。大黒柱クリス・セールがトミー・ジョン手術から復帰途上ということもあり、今季は勝率5割前後に終わると見る関係者が圧倒的に多いようだ。
 このように、チーム作りの途中に思える状況だからこそ、澤村にも1年目から重要な役割を任される可能性はありそうだ。
 澤村の90マイル台後半の速球、90マイル台前半のスプリットのコンビネーションは質が高く、球威はメジャーでも通用するレベルにあると見えた。オープン戦で、スライダーがカウント球として機能していたのも大きい。あとは課題の制球が落ち着けば、ブルペンの一角として貴重な戦力になるだろう。
 開幕後、まずは勝機があるゲームの6〜8回に投げることになるのではないか。クローザー候補のオッタビーノ、マット・バーンズも絶対的な存在ではないため、澤村が新天地で好スタートを切れば面白くなる。昨季の救援防御率が5.79でリーグ27位だったブルペン陣の貴重な新戦力として、シーズンの早い時期から8、9回を任されることもあり得る。

「自分のやることを、しっかりやるということだけ。チームで戦っていく」
 そう語る澤村は、メジャーリーグでどんな物語を紡いでいくのか。かつて"赤靴下軍団"のユニフォームを着た先輩たち同様、熱狂的なファンが多いフェンウェイ・パークでその実力を認めさせることができるのか。
 振り返れば、2013年——。澤村が尊敬する上原がワールドシリーズ制覇の立役者になったこの年の快進撃は劇的だったが、実はその前年のレッドソックスもア・リーグ東地区最下位と低迷していた。2013シーズンも開幕前の下馬評は低かったが、だからこそこの年の優勝はドラマチックであり、上原の活躍も伝説となったのだ。
 時は流れ、2021年。上原から背番号19を受け継いだ日本人投手が、同じように前年最下位のチームをブルペンから助けられたら、チームにもチャンスが生まれる。もちろん簡単なことではないが、澤村が大先輩を彷彿とさせるような活躍を見せれば、熱狂的なボストニアンは大いに湧き上がるはずである。


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