まさかの同士討ちで開幕も“3車種目のLMDh”に馴染むジェンソン・バトン「僕のスタイルに合っている」

2025年4月2日(水)11時52分 AUTOSPORT web


 WEC世界耐久選手権にキャデラックVシリーズ.Rで参戦しているジェンソン・バトンは、「すでにとても自然に感じている」と語り、このダラーラシャシーをベースに持つLMDh車両は、彼が以前に運転した2台の最新のトップ・プロトタイプと比べて、「おそらく、少し僕のスタイルに合っている」と説明している。


■乗り換えの度に習得すべき「システム」の壁


 2009年のF1世界王者であるバトンは昨年、WECでカスタマーのポルシェ963をドライブしていたが、同車両からファクトリー支援されるキャデラックの2台体制へと切り替えたハーツ・チーム・JOTAに残留した。


 2月末に行われた2025シーズン開幕戦のカタール1812kmでJOTAの2台のキャデラックは一時ワン・ツーを形成していたが、セーフティカー中の同士討ちにより順位を失い、バトンがアール・バンバー、セバスチャン・ブルデーとシェアした38号車は16位となった。


 このカタール戦を終えたことで、バトンは3台の異なるLMDh車両でレースを経験したことになる。



 彼は2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権最終戦のプチ・ル・マンにおいて、JDCミラー・モータースポーツのプライベート・ポルシェ963でLMDhデビューを果たした後、2024年のデイトナ24時間レースではウェイン・テイラー・レーシングへと加入してアキュラARX-06をドライブし、総合3位に入っている。


 その後彼はフィル・ハンソン、オリバー・ラスムッセンとともにJOTAの38号車ポルシェに乗り、WECのフルシーズンを戦った。


 バトンは、LMDhマシンを比較する際に「どのマシンにもそれほど長い時間乗ったことはない」と前置きをしたものの、キャデラックについては肯定的に語った。


「このクルマは運転していてとても自然に感じられる」とバトンはSportscar365に語った。


「ポルシェからペースを引き出す方法という点では、少し違っている。でも、これは僕のスタイルに少し合っていると思う」


「チームメイトから得た経験が、マシンが何を好み、何を好まないかを把握するのに本当に役立った」


「セブとアールと組めているのは、本当に良いことだ。走行後に彼らと話をすると、彼らは『このマシンはこれを好まない。こことあそこで少しスタイルを変える必要があるかもしれない』と言ってくれた」


「だから、とても助けになっているんだ。すでにとても居心地がいい」



キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAから2025年のWECに参戦しているジェンソン・バトン

 バトンは、このLMDh車両で合計42回のレースに出場したふたりのコ・ドライバーの経験は、彼がこれからの「大きな学習曲線」を登ろうとする上で非常に貴重なツールだと語っている。


「このクルマで行っているセットアップ作業、そして僕らが進めている方向性に関して言えば、間違いなく気に入っている」とバトン。


「チームにとって、新しいクルマで作業するのは、まだ大きな学習曲線が必要だ。だが先ほど言ったように、チームメイトには多くの経験があり、それが間違いなく役立っている」


「彼らは過去に何がうまくいったか、何がうまくいかなかったかについて多くのフィードバックをくれている。しかし、明らかにチームは、このクルマが何を達成しようとしているのかをよく理解するために、自分たちでそれを経験したいんだ」


「僕にとって、LMDhで運転し始めたときに最も大きかったのはこのシステムだったと思う」


「とても複雑で、それに慣れるには、ステアリングホイール自体、スイッチの数、変更できるものの量、運転中にオン・ザ・フライで変更できるものなどが必要だった」


「クルマのセットアップ作業は別として、運転中に車内で変更できるものの量は極端で、慣れるのに長い時間がかかる」


「その後、メーカーが変わると、すべてが異なるため、すべてをもう一度学ばなければいけない。そのためしばらく時間がかかる。昨年はそれに慣れるのに数レースかかった」


■ワークスとプライベーターの違いを実感



キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの38号車キャデラックVシリーズ.R 2025WEC第1戦カタール

 バトンはさらに、昨年のポルシェのプログラムではカスタマーチームとして走ることに一定の制限があったのに対し、キャデラックのファクトリー支援プログラムに参加することで、可能性の変化に気づいたと付け加えた。


「常に、そんな感じになるだろう」と彼は言った。


「当然ながら、(ポルシェのワークスである)ペンスキーの場合、ステアリングホイールのレイアウトや、何に何の機能を割り当てるかなど、物事のあり方を決めるのはそのドライバーたちだ。だけど、今や僕らは(キャデラックのワークスとして)発言権を持っており、ドライバーとして(カスタマーチームとは)大きな違いがある」


「僕らはキャデラックのワークスチームなので、実際に変更できることに関して、はるかにオープンになっている」


「(昨年はポルシェの)プライベートチームだったから常に閉ざされていたが、今では好きなように変更することができる。これは素晴らしいことだし、実際変更も非常に迅速に行われているよ」

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