サントスFC、セビージャら4クラブが制裁対象に。FIFAが排除を進める、投資ファンドの影響力

4月2日(土)10時30分 フットボールチャンネル

FIFAが問題視する「第三者」の介入

 3月29日、規約違反によりブラジルのサントス、スペインのセビージャなど4クラブがFIFAから罰金を科されることになった。問題となったのは、選手の契約などに関して第三者の介入を禁止する条項の違反であるが、これは一体どのようなものなのだろうか。(文:中山佑輔)

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 3月29日、FIFAは「第三者による選手の経済権保有」等に関する違反があったとして、サントス(ブラジル)、セビージャ(スペイン)、Kシント=トロイデン(ベルギー)、トゥエンテ(オランダ)の4クラブに対して制裁を課すと発表した。具体的にどの選手に関して問題があったのかは公表されていない。

 いずれのクラブも罰金処分を課されており、その金額は以下の通りとなっている。

【サントス】
75,000スイスフラン(約877万円)

【セビージャ】
55,000スイスフラン(約643万円)

【Kシント=トロイデン】
60,000スイスフラン(約702万円)

【トゥエンテ】
185,000スイスフラン(約2163万円)

 これら4クラブが違反したとされるのは、「選手の地位ならびに移籍に関する規則(Regulations on the Status and Transfer of Players)」第18条の第2項、第3項である。

 第2項は「クラブに対する第三者の影響」についての内容であり、ここでは“第三者”が「移籍関連の事柄および雇用について影響力を持つこと」を禁じている。そしてこの条文に違反する場合は、FIFAの規律委員会が懲罰を与える可能性があるとされる。

 また第3項には「第三者による選手の経済権保有」についての規則が書かれており、クラブ、選手以外の第三者が選手の経済権(economic rights)を保有することが禁じられている。

 この「経済権」とは、ある選手が移籍した際に発生する移籍金(正確には契約解除に伴う違約金)を得る権利と考えてしまえばわかりやすい。

 第2項と同様に、第3項についても、この規定に違反したクラブや選手に対して、FIFAの規律委員会は懲罰を与える可能性があると記載されている。

 ではこの「第三者」に該当するのはいったい誰なのだろうか、またなぜFIFAは「第三者」の介入を禁止しているのだろうか。

投資ファンド等が想定される「第三者」

 まず「第三者」に該当するのは誰かについて触れたい。FIFAは「第三者によるオーナーシップ」は以下の状況だと定義している。

「フットボールクラブではない自然人(physical person)および法人が、ある選手が将来移籍する際に生じる額の分け前を受け取るべく、プロ選手の経済権に投資している状況」

 昨今のサッカー界が置かれた状況を鑑みると、これに妥当するケースで最も多いのは、投資ファンドや投資家が選手の経済権に投資する状況だと考えられる。

 投資ファンドが経済権に投資するモデルは、選手Aの獲得を狙うも資金不足の状態にあるクラブが、選手Aの経済権を一部譲与することと引き換えに、投資ファンドに費用補填をしてもらう、というものだ。

 このような状況をFIFAでは「第三者による経済権の保有(TPO:Third-party ownership of players' economic rights)」と呼び、先述の条項でこれを禁止している。

 投資サイドとしては、TPOによって選手の獲得資金を支援し経済権を獲得することで、その選手が将来他クラブに移籍した際に、移籍金の一定割合を得て投資のリターンを得ることができる。

 クラブは不足分の資金が補填でき、投資ファンド等は経済権に投資する。一見すると両者はWIN-WINの関係を築いているように思える。

 だがFIFAは、このTPOをサッカーにとって有害なものと見なし、2014年にこれを禁止するという決定を下した。FIFAがこのような判断に到ったのはなぜだろうか。

4クラブの違反は氷山の一角か

 TPOに関して、FIFAはFAQ(よくある質問)の書面をホームページ上にアップし、TPOがゲームにどう影響するかについて以下のように記述している。

「FIFAはTPOがフットボールとその根源的な価値に有害な影響を与えており、全体的にゲームの清廉さを損ねていると考えている。TPOの実践に関するこうしたネガティブな面は、国際的なフットボールコミュニティのメンバーにとって、深刻な問題として取り上げられてきた。したがって、FIFAはあらゆるステークホルダーの参加と関与を参照するプロセスを通じて、このトピックに取り組む責任を有する」

 このネガティブな面の一例をあげれば、クラブや選手以外の第三者、つまりは投資ファンドなどが選手の移籍に際して影響を及ぼすケースがあるだろう。

 投資ファンド等は選手が移籍した際に発生する移籍金によって投資の見返りを得ることができる。そうである以上、彼らが選手の移籍を促すことがあるのではないか、と考えるのは不自然なことではない。

 このような事情を踏まえ、FIFAはこのような立場を取るFIFAは「選手とゲームの清廉さ、および選手の移籍と雇用に関する決断を下すにあたってのクラブ独立性を守る」という理由から、移行期間を設けたうえで2015年5月1日よりTPOを禁止した。

 だが、昨年来サッカー界をにぎわせている“暴露サイト”「フットボール・リークス(FL)」が、現在もTPOによる取引が行われるとし、本来表に出るはずのない情報を暴露し続けている(彼らの主たる活動理由はTPOの告発だ)。そして今回のFIFAによる制裁によって、選手の具体名などは明かされていないものの、事実そうした取引が行われていることが認められた。

 今回制裁を受けた4クラブの違反は、氷山の一角なのだろうか。今後の展開が注目される。

(文:中山佑輔)

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