レアルはどのようにバルサに勝ったのか。明暗分けた中盤。ジダンが知る“マケレレ問題”

4月3日(日)13時9分 フットボールチャンネル

理想だけを求めて散ったベニテス体制下のクラシコ

 リーガエスパニョーラ第31節、バルセロナのホーム、カンプ・ノウではレアル・マドリーとのクラシコが行われた。世界が注目する一戦で繰り広げられたのは、アウェイチームであるレアル・マドリーの逆転劇。サンチャゴ・ベルナベウでおこなわれた今季の第1戦からは予想できなかった展開となった理由とは。(文:海老沢純一)

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 2015年11月21日、サンチャゴ・ベルナベウで行われた今季のクラシコ第1戦で、レアル・マドリーはバルセロナに0-4という大敗を喫した。

 当時チームを率いていたラファエル・ベニテス監督はシーズン当初、ベイルをトップ下に起用する4-2-3-1をメインとしたが、そのベイルやハメス・ロドリゲスが負傷離脱。そのため、その後はカゼミーロをアンカーに起用する4-3-2-1を採用し結果を残していた。

 しかし、このクラシコに合わせて負傷者が復帰。ベニテス監督は負傷明けのベイルとハメスを先発起用し、カゼミーロをベンチスタートとした。その結果、バルサの中盤に十分すぎるスペースと時間を与え、ほぼ一方的な展開で惨敗を喫した。

 一方、解任されたベニテス監督に代わってマドリーを指揮するジネディーヌ・ジダン監督は、対照的なプランを準備した。ジダン監督は、攻撃的な中盤の選手をモドリッチとクロースに限定。ハメスもイスコもベンチに置き、カゼミーロをアンカーに据えて中盤の守備力を高めた。

 また、この布陣はクラシコ限定のものではなく、カゼミーロは3月2日の第27節レバンテ戦から5試合連続の先発起用となっている。ジダン監督は、現役時代に“マケレレ問題”を経験しているだけに、中盤の守備力を重要視しているのかもしれない。

 そして、カンプ・ノウでのクラシコでは、この中盤の守備がキーポイントとなった。

 カゼミーロは、両チームトップとなる8回のタックルを繰り出してバルサの中盤から自由を奪った。さらにカゼミーロだけではなく、モドリッチもクロースも、そしてベイルもロナウドも高い守備意識と集中力を維持した。

ブスケツを潰し、バルサを抑えた中盤の守備力

 マドリーは、バルサの中盤に対してスペースを埋めてパスコースを消すポジショニングで対応。各選手は自身のマークする選手にボールが渡ると一気にプレスをかけ、ボールを奪えば周囲の選手も即座にカウンターへの態勢に切り替えた。

 ジダン監督は、就任当初から敵陣でボールを持ち主導権を握る戦いをメインとしている傾向にあったが、このクラシコを取るためにある意味では自らの理想を捨て、現実を選んだと言える。

 マドリーの中盤は、特にバルサのアンカー、ブスケツに対して強い意識を持っていた。バルサはどのエリアを使い、どの攻撃パターンで点を狙うのか、その選択権はブスケツが握っている。つまり、ブスケツを潰せばバルサの攻撃はスタートを切ることができない。

 ブスケツがマドリーの徹底マークによって自由を封じられたことで、バルサの攻撃はスムーズにいかず、右ウイングのメッシがほぼトップ下といえる位置まで絞り、ボールを受けるために下がる展開を強いられた。

 本来バルサのサッカーはメッシとネイマールの両ウイングがサイドに張り、そこから中へと切り込んでいくことで相手の守備網を切り裂いている。メッシのプレーエリアを見ると、ピッチ中央が86.69%と圧倒的。本来の持ち場である右サイドが7.22%となっていた。

 その結果、支配率ではバルサの66.5%に対してマドリーは33.5%と大きく下回りながらも作り出したチャンス数はともに10回。シュート数もともに14回で、枠内シュートに限ればバルサの3回に対して6回と上回っていた。

大舞台で自らの能力を示したジダン

 それでも先制したのはバルサ。56分にCKからピケが決めて1-0。しかし、この日のマドリーは先制点を許しても気持ちが切れることはなかった。直後の61分にはベンゼマが巧く決めて1-1。その後、セルヒオ・ラモスが退場を喫して数的不利に陥りながらも85分にはクリスティアーノ・ロナウドが決めて2-1。

 バルサが普段通りのサッカーを狙って試合に入ったのに対して、マドリーは理想を捨てて結果のみを求めたゲームプランを立てた。そして、バルサは90分間全くといっていいほど“自らのサッカー”ができず、逆にレアルはビハインドを背負っても数的不利でも狙い通りのサッカーを遂行して敵地での勝ち点3を手に入れた。

 ただ、バルサにとってボールを支配するスタイルは現在のメンバーで勝利を得るために最も適したゲームプランであることは事実。この一戦に関しては、プランを完璧に遂行できたのがマドリーだった。

 サッカーで何よりも重要なのは、理想を体現することではなく指揮官の立てたゲームプランを体現できるか否かということ。そして、監督の能力評価はそのゲームプランが的確なものか、そのゲームプランを選手たちに実行させる指導力はあるのか、という点で下される。

 ジネディーヌ・ジダン監督は、このクラシコという舞台でその両方を備えていることを証明してみせた。

(文:海老沢純一)

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