「今後を左右する」香川の集中は極限に。その存在を再び証明へ、覚悟を込めた同点弾

4月3日(日)12時10分 フットボールチャンネル

「全然諦めていなかった。必ずいける」

 ブンデスリーガ第28節、ホームにブレーメンを迎えたドルトムントは3-2で逆転勝利。日本代表からの合流もあり先発を外れた香川真司だが、途中出場で同点となるゴールを決めた。そのゴールには自らの今後をかけた思いが込められていた。(取材・文:本田千尋)

———-

 集中は極限に達した。77分。左からシュメルツァーが、低い弾道のボールをゴール前に送る。

 香川真司は、左足に覚悟を込めた。

「あそこで決めるか決めないか、っていうのは、すごく今後を左右すると思いました」

 同点弾を叩き込む。2-2。

「いいボールが来たので、しっかりと当てることを意識して、集中して蹴り込めて良かったと思います」

 香川の覚悟と集中が、逆転の口火を切る。

 2016年4月2日のブンデスリーガ第28節、2位のボルシア・ドルトムントは、ホームに14位のブレーメンを迎える。

 ベンチスタートだった香川は、74分に投入された。その時スコアは1-1だった。そして香川がピッチに足を踏み入れると、75分にドルトムントはユノゾビッチにゴールを許す。1-2。

 残りの時間は15分で、交代直後の逆転という難しい状況にも関わらず、香川には自信めいたものがあった。

「全然諦めていなかったですし、10分、15分、時間は全然あったので、必ずいけるだろうと、そういう気持ちでずっといました」

 コンディションは良い。身体にはキレがある。手を叩いて味方を鼓舞する。ピッチを縦横に動く。ペナルティエリアの中に、積極的に入る。

「必ず行ける」

 香川は、「全然諦めていなかった」

不要な2失点が招いたシーソーゲーム

 前半は、5-3-2で引いたブレーメンに対して、ドルトムントが3バック+2シャドーで臨む。2シャドーでロイスとコンビを組んだのは、香川ではなくムヒタリヤンだった。

 粘るブレーメンに、ドルトムントは苦しんだ。ロイスとムヒタリヤンの2シャドーには、ガルベスやシュテルンベルグが、DFラインから飛び出しつつ丁寧に対応する。

 ロイスへの縦パスを狙って、カウンターを仕掛ける。前半のシュート数は、ブレーメンが1本に対してドルトムントが13本と圧倒したが、BVBがゴールを割ることは出来なかった。

 ドルトムントが先制したのは、ようやく53分のことだ。ムヒタリヤンからのスルーパスに、抜け出したオーバメヤンがループを決める。1-0。

 失点後にブレーメンは徐々に間延びし、次第にドルトムントが押し込むようになる。CBのベンダーがボールを持ち上がって、ロイスに縦パスを送る。そのままBVBがゲームを支配する。

 そんな流れの矢先、ブレーメンに追い付かれてしまう。69分、左CKのクリアをガルベスがシュートを打つ。カストロの足に当たったボールは、ゴールに吸い込まれる。1-1。

 香川の投入を前後して、劇的なシーソーゲームが始まる。しかしBVBがブレーメンに与えた2失点は、不要なものだったのではないだろうか。監督トゥヘルは「(試合を)全くもってそんなにエキサイティングにする必要はなかった」と振り返る。

「どんどんどんどん、チームとともに、勢いに乗って行きたい」

 ブレーメン戦ではフンメルスとソクラティスを欠いて、CBはベンダーとギンターという馴染みのない2人がコンビを組んだ。しかし、敵の前半のシュート数は1本に抑えているのであれば、後半も安定した守備を続けて、シャットアウトすることは可能だったはずだ。ディフェンスの安定性は、7日のヨーロッパリーグ、リバプール戦に向けての課題と言えるだろう。

 しかし本来であれば必要のない2失点は、香川のゴールの価値を高めることとなった。

 香川は、77分のビッグチャンスを「決めるか決めないか」に対して、瞬間的に「今後を左右する」と感じ取った。トゥヘルの中で、ブレーメン戦における2シャドーのファーストチョイスはロイスと、ムヒタリヤンだった。依然として厳しい状況を打開するためにも、ここは決めなければいけないということを、刹那的に、本能的に感じ取ったのかもしれない。

 そして、82分。CKからラモスのヘッドで、ドルトムントは試合をひっくり返す。3-2。

 逆転の口火を切ったのは、香川のゴールだ。

「もちろんやはり結果が出ることは凄くいいことですし、こういう流れであったり、勢いっていうのはすごく大事にしたいので、どんどんどんどん、チームとともに、勢いに乗って行きたいと思います」

 日本代表としてゴールを決めたシリア戦からの「流れ」を継続する。そんなことを意識して、香川はブレーメン戦に臨んだのだという。そしてゴールという目に見える「結果」を残して、ドルトムントでの「流れ」と「勢い」に繋げることとなった。

 シュメルツァーからのクロスボールに、香川は、覚悟を込めた。

 その存在を、再び証明していくために。

(取材・文:本田千尋)

フットボールチャンネル

「ブンデスリーガ」をもっと詳しく

「ブンデスリーガ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ