【識者の視点】あの日系ブラジル人と対戦も? 日本代表、W杯3次予選のライバルを総チェック

4月3日(日)11時21分 フットボールチャンネル

日本は第2ポッドに。韓国との対戦は実現せず

ロシアW杯出場権が決まるアジア3次予選。日本は韓国と同じ第2ポッドに入るため、日韓対決は実現しないことが決定した。しかし、近年成長を続けているアジアには強力なライバルも多い。ここでは対戦の可能性がある全10か国の戦力をチェックする。(文:河治良幸)

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 2次予選の全日程が終了し、最終予選にあたる3次予選に参加する12カ国が出そろった。8つのグループで首位8カ国に加え、2位の上位4カ国が進出するレギュレーションだが、F組のインドネシアが資格停止処分となったため、5位との対戦成績を入れずに勝ち点と得失点差を計算する仕組みに調整。以下の12カ国が3次予選への進出を決めた。

・グループ1位
サウジアラビア
オーストラリア
カタール
イラン
日本
タイ
韓国
ウズベキスタン

・グループ2位
シリア
UAE
中国
イラク

 3次予選はAとBの2組に分かれて行われ、各2位までがロシアW杯に出場決定。3位は4次予選としてホーム&アウェイを行い、勝者は北中米カリブ海の4位と大陸間プレーオフを戦う。

 組分けの抽選は4月12日にクアラルンプールで行われる。FIFAランキングに従って第1〜6ポットに振り分けられるが、日本は過去のポイントから4位になることが予想され、抽選では第2ポットに入り、韓国とは同じ組にならない見込みとなっている。

アジア王者豪州も。最大の強敵となる第1ポッド

 第1ポットになることが確実なのがイランとオーストラリアだ。イランは昨年10月に日本代表がテヘランで親善試合を行い1-1で引き分けた相手だが、内容的にはかなり攻め込まれる時間帯もあった。

 イランと言えばかつて短期で監督の首をすげ替える“悪しき伝統”があったが、ポルトガル人のケイロス監督は2011年4月から5年目とアジアの中でも長期政権になってきており、3次予選の参加国とも一通り対戦経験があるのは強みだろう。

 売りは22歳のジャハンバフシュ(AZ)、21歳のアズムンと19歳のエザトラヒ(ともにロストフ)の若き欧州組などで構成される攻撃陣であり、経験豊富なデジャガ(アル・アラビ)が血気盛んなチームを引き締める。

 一方で高齢化が目立っていたディフェンスもロシアプレミアリーグのテレク・グロズニーでプレーする左利きの俊英モハマディなどが台頭しており、さらに上積みを持って最終予選に臨んでくる可能性が高い。

 オーストラリアは2次予選のB組で7勝1敗。アウェイのヨルダン戦で唯一の敗戦を喫したが、最終節のホームではヨルダンから5得点を奪った。

 そのうち2得点を記録したベテランのケーヒルが健在で、ブンデスリーガのインゴルシュタットで活躍するレッキー、アジアカップMVPのMFルオンゴ(クイーンズパーク・レンジャーズ)など攻撃陣はアジア随一の充実度を誇り、2次予選29得点はC組のカタールと並び最多だ。

 ブラジルW杯の前から指揮をとるポステゴグルー監督が植え付けたパスサッカーと伝統的なロングボールを状況に応じて使い分ける戦い方は優勝したアジアカップでも証明済みだが、若き守護神ライアン(バレンシア)が存在感を高め、スコットランドの名門セルティックで主力を張る23歳のロジックなど若手も順調に伸びてきている。秘密兵器となりそうなのがウガンダにルーツを持つ右SBゲリア(メルボルン・ビクトリー)だ。

近年対戦せず。不気味な存在のサウジ

 両国とも過去の対戦成績はほぼ五分。どちらと同じ組になっても手強い相手になることは間違いないが、親善試合とはいえアウェイで直接対決のサンプルがあるイランの方が対策は練りやすいかもしれない。

 当時は本田圭佑も「(ハリルホジッチ監督には)まだ引き出しがあるかもしれないが、ここまでの要求も自分たちは消化できれていない」と語っており、まさに“第二段階”の試金石としては格好の相手とも言える。

 第3ポットが予想されるのはサウジアラビアとウズベキスタン。スタイルとしてはウズベキスタンの方が中盤でタフな争いを強いられそうだが、サウジアラビアはここ最近で対戦していない不気味さがある。

 一時期の低迷から復活の兆しを見せており、昨年のACLでアル・ヒラルがベスト4に勝ち進み、アル・アハリ・ジッダもベスト16でイランのナフト・テヘランと接戦を演じるなど、国内リーグのクラブが良い状態にあるのも強みだ。

 南アW杯でオランダを準優勝に導いた名将ファン・マルバイク監督が率いるチームは予選の28点中、17得点を東ティモール相手にあげており、1勝1分だったUAE戦などを見ても、堅実な守備から鋭いサイドアタックで予選14得点のエースFWアル・シャフラウィ(アル・ナスル)にボールを集める。GKシャラヒリ(アル・ヒラル)は188cmの長身で身体能力の高さを活かしたセービングはアジア屈指だ。

UAEと中国。曲者ぞろいの第4ポッド

 ウズベキスタンはハリルホジッチ監督が就任して間もない昨年3月に味スタで対戦し、5-1の大勝を飾った相手だが、公式戦となれば侮れない。

 名門パフタコールを中心とした育成年代からの積み上げがA代表に良い影響をもたらしており、ジェパロフ(ロコモティフ・タシケント)やゲインリヒ(オルダバシー)といったベテランと22歳のFWセルゲエフ、23歳のDFカシモフ(ともにパフタコール)など若手がうまくミックスされている。

 中盤のインテンシティーが高く、ダイナミズムに縦を狙うスタイルはアジアにおいては独特で、日本がボールを失ったところからうまくプレスにはめるか、縦を切るかはっきりしないと一気にボールを運ばれて大きなピンチを招く危険が高い。

 またジェパロフらキッカーの質とターゲットの高さと強さを押し出すセットプレーの得点力も驚異的だ。二次予選で7失点している様にやや守備の脆さがあり、そこをうまく突ければ勝機は高くなる。

 第4ポットはUAEと中国の見込みだが、昨年アジアカップの準々決勝でPK戦負けの屈辱を味わった前者との対戦はある意味での“リベンジマッチ”になる。

 当時からチームを率いているアリ監督は策士の顔を持ち、継続的にチームのレベルアップをはかりながら、対戦相手のスカウティングでストロングポイントを消し、ウィークポイントを突いてくるタイプ。エースのハリリは2次予選で11得点をあげており、最終予選も要注意のストライカーだ。

 ACLに参戦中の広州恒大や江蘇蘇寧のメンバーが主力を担う中国もフランス人のアラン・ペランから元代表監督のガオ・ホンボ監督が引き継ぎ立て直した。

チーム力は侮れず。予選のカギを握る第5ポッド

 自慢は8試合1失点のディフェンス。攻撃陣は当然ながらACLでJリーグのクラブが苦戦している様な外国人選手はいないが、2次予選8得点のヤン・シュー、長身でスピードもあるユ・ダバオ(北京国安)、高いキープ力から好パスや強烈なミドルシュートを繰り出すウー・シー(江蘇蘇寧)、カタールとの最終節で殊勲の先制ゴールを決めたファン・ボウェン(広州恒大)など粒ぞろいで、警戒しないと一発でやられる危険はある。

 第5ポッドが予想されるカタールとイラクは実質的に第3ポットのサウジアラビアやウズベキスタンにも匹敵するチーム力を備えており、予選におけるカギを握る存在になりそうだ。

 特にカタールは2022年の自国開催を前に是が非でも自力でのW杯出場を果たすために意欲を燃やしてくるはず。29得点4失点と攻守にバランスの取れたチームを率いるのは同国のアル・アラビで評価を高めたウルグアイ人のコレーニョ監督だ。

 快速のFWカリード(アル・サッド)や推進力のあるドリブルを武器とするMFハテム(アル・ガラファ)を中心とするが、ここに来て日系ブラジル人のロドリゴ・タバタ(アル・ラーヤン)が加わったのは注目するべきトピックだ。

 35歳になったが敵陣を縦に切り裂く様なスルーパスは健在であり、チームメートのベテランFWセバスチャンと共にチームを躍進に導く能力は秘めている。

日本と対戦したシリア&タイは第6ポッドに

 イラクは昨年のアジアカップで勝利を飾った相手で、A代表では日本が格上だが、ドゥラガン・イスマイル(リゼスポル)やアリ・アドナン(ウディネーゼ)などユース・五輪世代で日本を苦しめたメンバーが主力を構成し始めている。

 U-23代表から“昇格”したシャハド監督が率いるチームは2次予選でタイと2引き分けるなど苦戦したが、最後は難敵のベトナムに1-0と粘り強く勝利して、3次予選に滑り込んだ。

 タフな試合になることは間違いないが、良くも悪くも攻守分業型のカタールより日本の基本スタイルをぶつけやすい相手ではあるだろう。ここ最近は2次予選で日本が対戦したアフガニスタンと同じく、イランのテヘランを中立開催の会場として使用しているので環境としては厳しいが、すでにアザディ・スタジアムで2試合を経験している日本にはむしろプラス材料と言えるかもしれない。

 第6ポットは2次予選で日本と対戦したシリアとタイだ。タイはここ数年で急速に力を付けている東南アジアの筆頭格であり、タイ・プレミアリーグの成長が代表チームに反映されている部分もある。

 粘り強い守備と果敢な仕掛けで相手ゴールを襲う攻撃を組み合わせイラクと2試合ともに2-2の引き分け、敵地でベトナムに0-3で勝利して、曲者ぞろいのF組を首位で突破したことは評価に値する。

 ただ、2次予選で戦ったシリアも成長著しいタイも日本としては負けが許されない相手であることは言うまでもない。

(文:河治良幸)

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