21世紀枠出場で初勝利 釜石の甲子園1勝の裏にあった「言葉の力」

4月3日(日)9時56分 フルカウント

小豆島との21世紀枠対決を制した釜石、選手の力を120パーセント引き出した言葉とは

 言葉には選手の力を120パーセント引き出す効果があると感じさせられる出来事だった。

 智弁学園(奈良)の初優勝で終えた第88回選抜高校野球大会。注目された試合のひとつに大会2日目の21世紀枠対決、釜石(岩手)—小豆島(香川)があった。釜石が2-1で接戦を制して勝利。両校ともスタンドが一体となった戦いとなり、大会屈指の好ゲームだった。

 釜石の佐々木偉彦監督は「思ったより選手たちも私も落ち着いてやれたと思います。球場は大きいし、すごい雰囲気でした。楽しんでやれた。アルプス席の声援も聞こえました。選手達が本当によくやってくれたと思います」とこの甲子園1勝を振り返った。練習の最後にはいつも校歌を歌ってきたが、練習通りの歌声が甲子園に響いた。

 勝利へ導いたのは、気合の入った選手たちのプレーだけではない。野球部のスタッフは選手たちに内緒で、全選手の家族からの手紙を書いてもらっていた。試合2日前に手渡し、選手たちが思い思いにそれを読んだ。試合前には全員、手紙をバッグにしまった。「試合中も緊張したら手紙を読んでもいい」と小谷地太郎部長は選手たちに伝えた。

「自分のプレーが家族の励みになっているとは思わなかった」

 選手たちは「自分はただ自分のプレーをしようと思っていただけでしたが、自分のプレーが家族の励みになっているとは思わなかった」、「プレーで感謝を届けたい」と、より強い気持ちになったという。

 小豆島戦の直前。さらに選手の力を引き出したのは佐々木監督の力作の品だった。選手ひとりひとりにメッセージを送ったのだが、それも口頭で伝えるのではなく「形に残る方がいいと思った」とパソコンでメッセージが出てくる動画を製作。BGMはテレビ朝日系列「熱闘甲子園」のテーマ曲として使われた 関ジャニ∞の「オモイダマ」、NHKの五輪のテーマ曲だったゆずの「栄光の架橋」。熱い曲を聞きながら、選手はメッセージを読んだ。

 エースの岩間には「いろんなものを背負って投げている。自分のために、楽しんで投げてくれ」という言葉が流れた。そして見事に1失点完投勝利。決勝タイムリーの奥村には「釜高で一番いい打者だということを、全国に見せつけてこい」などといった文言が音楽に乗せられていた。監督の期待に応えて、それぞれの選手は活躍した。

 佐々木監督は「勝つことが応援してくださるみなさんへの恩返しだと思っています」と勝利のために選手を鼓舞した。そのために様々な手法で選手の力を引き出した。2回戦で敗れたが、釜石の1勝は、ひとつの「形」となって、甲子園の歴史に刻まれた。

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