ド迫力の内角攻めに打者タジタジ。オリ山本由伸がたどり着いた投球術

4月5日(金)6時35分 Sportiva

 オリックスの高卒3年目の山本由伸が今季初登板となった4月3日のソフトバンク戦で、あわやノーヒット・ノーランの快投を演じた。8回一死まで無安打に抑えたものの、松田宣浩にレフト前に弾かれ、大記録達成はならなかったが、それでも9回を1安打無失点、8奪三振。昨年日本一のソフトバンク相手に堂々のピッチングを披露した。


セットアッパーから今季先発に転向したオリックス・山本由伸

 都城高校(宮崎)時代の山本は、九州地区担当のスカウトのほとんどが「トップ3」に挙げていたほどの快腕だったが、2016年のドラフトで指名された順位は4位。今井達也(作新学院→西武1位)、藤平尚真(横浜高校→楽天1位)、寺島成輝(履正社→ヤクルト1位)といった甲子園出場組の陰に隠れ、150キロをマークしたにもかかわらず知名度は高くなかった。

 山本のピッチングを初めて見たのは、高校2年の春の県大会でのマウンドだった。最初の印象は「小さいな……」だったが、次の瞬間、えらく強いボールを投げるので驚いた。ちょっと前までは内野手だったと聞いた。強靭な地肩、腕力、それに手首の強さが伝わってくる腕の振り。スピードガンの表示よりも、数字に表れないホームベース上のボールの強さで勝負していた。

 それから1年後、再び県大会で山本のピッチングを見る機会があった。その日は朝から天候が悪く、試合前から本降りとなった。結局、雨は一向に止む気配がなく、場内には雨天中止の放送が流れた。にもかかわらず、ネット裏に陣取った何人かのスカウトは傘を差したまま動こうとしない。「行こうか……」と、となりのスカウトにうながされ、ようやく席を立つスカウトもいた。

「それほど見たいピッチャーだったんだ……」

 あの時のスカウトたちの姿、そして無念そうな表情を見て、山本の素質の片鱗を見たような気がした。

 今年3月10日に行なわれた侍ジャパン強化試合でのメキシコ戦。3回からマウンドに上がると、150キロを超す快速球に140キロ台後半のツーシーム、さらにフォークを駆使して2回を無失点。三振2つを奪う上々の内容だった。なにより光ったのが、インコースを突いていく果敢なピッチングだった。

 思い出す場面がある。昨シーズン、首位を快走していた西武との試合だ。いつものように終盤にリリーフでマウンドに上がった山本は、西武の強力クリーンアップを相手にひるむことなく腕を振りつづけた。快速球がキュッとねじれたようなカットボールを外角に決めてカウントをつくると、一転、同じような快速球が今度は内を突いてきた。

 インコースを突かれた浅村栄斗(現・楽天)の目線がマウンドに向かうも、山本はひるむことなく2、3歩前に出て捕手からの返球をむしり捕った。球界を代表する強打者の強烈な睨みにも動じる様子はなく、「インコースを突いてなにが悪い」と言いたげな表情が印象的だった。

 その強気の投球は、今年のキャンプでも見られた。紅白戦で先発した山本は立ち上がりから右打者のインコースを攻める。ケガをさせてはいけない味方のバッターに対してもお構いなし。ぶつけないという自信があればこそのパフォーマンスなのだろう。

 新外国人のジョーイ・メネセスに対しても、あいさつ代わりのインコース攻めで三振。入団2年目の昨年にプロで働く足がかりをつかみ、先発転向となった3年目の心意気と緊張感が伝わってきた。

 背が高いわけでもなく(178センチ)、腕が長いわけでもない。おそらく”角度”という武器が使えない代わりにたどり着いた”内角攻め”。カットボール、ツーシームに加えて、この必殺兵器を獲得して、一段と厄介な投手に成長した。球界屈指の”難攻不落の剛腕”となるか。今後もその獰猛なピッチングから目が離せない。

Sportiva

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