WTCR:引退“撤回”のイバン・ミューラー「シリーズ参戦は1年限りにしたい」

2018年4月6日(金)14時23分 AUTOSPORT web

 2016年限りでWTCC世界ツーリングカー選手権の現役ドライバーを引退し、2017年はボルボ・ポールスター・シアン・レーシングのアドバイザーに就任していたイバン・ミューラーは、2018年創設のWTCRワールド・ツーリングカー・カップに自らのチームで参戦する。しかし、計画初期は自身が「ドライバーとして復帰する予定はなかった」という。


 2017年シーズンは現役を退いていたものの、WTCC最終戦カタールではポールスター・シアン・レーシングでテッド・ビョークのタイトル獲得をアシストするため、引退表明から12カ月もたたないうちにボルボS60ポールスターTC1のステアリングを握ったミューラー。


 今季創設のWTCRには、すでに高い評価を得ているヒュンダイi30 N TCRの2台体制を構築し、イバン・ミューラー・レーシング(YMR)として新規参戦することを発表。そのWTCC“ラスト・チャンピオン”であるビョークをエースに起用し、48歳のミューラー自らもステアリングを握って23年目のツーリングカーシーズン現役復帰を表明している。


「(23年前の)1995年当時のワールド・ツーリングカー・カップのグリッドには(ガブリエル・)タルキーニがいて、私もいた。そして今、我々は新たなWTCRの舞台に挑もうとしているが、ふたりともまだここにいるね(笑)」と苦笑いをみせたミューラー。


「経済的には良いルールだと感じるし、こうしたマシン規定に戻ることは良い動きだろう」


「TCRマシンのコストは、WTCCのTC1規定の約3分の1程度だ。もちろん、TC1マシンをドライブするのは素晴らしい感触だったが、あのクルマは高価すぎた。だから、TC1規定では自分のチームでWTCCを戦うことは不可能だったんだ」


「グリッドに並ぶと思われるマシンの台数を見れば、これが良い変化であることは証明されていると思う。5〜6年前から将来のWTCCテクニカル・レギュレーションについて話し合いを続けていた際、私はこの規定を推していたんだ」

通算4度のWTCCドライバーズチャンピオンを獲得してきた”レジェンド”が現役復帰
自身のチームを率いての参戦にあたり、エースに指名したのはテッド・ビョーク(左)
ヒュンダイi30 N TCRは今季からカスタマーへの本格デリバリーが開始されたマシンながら、各TCRシリーズで高い戦闘力を発揮


 ミューラーの2018年の役割は自身にとっても初の試みとなり、チーム代表とドライバーの双方をこなしながら、4度のWTCC王者としての経験も活用してチームとマシン開発の面にフォーカスすることになる。


「これまで5年間、自分のチームを運営してきたが、そこでドライバーとしてマシンをドライブしたことはなかった」と続けたミューラー。


「私の状況、考え、マインドセットはこれまでとかなり異なる。ドライバよリーもマネージャーとしての役割に集中していくことになるだろう」


 1年間をともに戦った経験を経て、チームのエースにテッド・ビョークと契約することは既定路線だったというが、当初の計画ではそのチームメイトに、ミューラー自身の甥っ子であるヤン・アーチャーを起用する予定だったという。


「私にとって、自分のチームが最大限の成果とリザルトを持ち帰るにはどうしたら良いかを考えた時、テッド(・ビョーク)とともに戦うのは自明の理だった。昨年我々はともに戦い、私は彼のシーズンの一部として機能した。良い関係性ゆえにタイトルを獲得することもでき、良い男で、良いドライバーだからこそ、チームに迎え入れたいと思った」


「同時に、私は自分がクルマを走らせる計画を立てていなかったんだ。当初の計画では、テッドのチームメイトにヤン(・アーチャー)と契約したいと考えていた。しかし残念ながら、優秀なドライバーだけに、先に他のチームとの契約が決まってしまい、彼を迎えることができなかったんだ」


「でも最終的に、ヤンには素晴らしいチームと素晴らしいマシンで戦う環境が与えられたわけだから、まずはそのことを祝福したい。彼は昨年本当に目覚ましい進歩を遂げたからね。だからこそ、私がサーキットでドライブするのはこの1年限りにしたい。来季はそうなればいいと願っているよ」


 初開催、WTCR初戦のモロッコ・ラウンドは、この4月7〜8日の週末にいよいよ開幕を迎える。

WTCCからWTCRに移行し、ミュニッヒ・モータースポーツのFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブするヤン・アーチャー
叔父のチームでELMSを戦ったのち、WTCCデビューを果たしたヤン・アーチャー
アーチャーは母親もドライバーだっただけに、最強のレーシングスクール卒業生、とも言える


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