慶應落ちて人生好転!ドラ1で中日入り、WBCでも活躍の高橋宏斗は江川卓になれるか

2023年4月6日(木)17時27分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での力投を通じて、その名が全国区になった中日の3年目右腕、高橋宏斗。惚れ惚れするそのマウンドを複雑な心境で見つめた人がいました。

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 ある慶應義塾大のOBは言います。

「高橋選手は本来ならウチの大学に来るはずだったんですよ。もしも来ていたら、今は大学3年生か…。そしたら、この春のウチの天皇杯(リーグ優勝)は間違いなかったでしょうね。でも侍ジャパンでの活躍を見ていると、これでよかったとも思うんですよね」

 高橋は愛知の名門・中京大中京の出身。3年生の時にはMAX154キロを計測して、注目を集めます。兄も通った慶應義塾大の環境情報学部へ照準を絞り、AO入試を受けたところ、惜しくも不合格。するとすぐに切り替え、プロ志望届の提出を決断するのです。

 その結果、地元の中日が単独でドラフト1位指名。契約金1億円+出来高5000万円、年俸1600万円(いずれも推定)で華々しく入団します。

 1年目こそ一軍出場はなく、ウエスタンでも打ち込まれましたが、2年目にその才能は開花。19試合に先発して6勝をマーク。規定投球回には未到達ながら、リーグ3位の134三振を奪います。その将来性が日本代表の栗山英樹監督のお眼鏡にかない、最年少での選出となりました。WBC世界一の時点で20歳のため、21歳から飲酒可能な米国の法律によって、シャンパンファイトに参加できなかったことも微笑ましいニュースとして報道されました。

 まさに「慶應落ちて人生好転」の典型例ですが、前述のOBはこう語るのです。

「スポーツ推薦のない東大は除くとして、ウチの入試は本当に狭き門で、有望な選手を他校に獲られてしまっているのが現状なんです。『慶應に行きたい』という選手は結構いるんですが、他校と違って合格の確約ができない。選手からすれば、浪人覚悟というのはなかなか酷な話です」

 そして、力なく続けるのです。

「野球の上手い高校生が慶應のAO入試に落ちた場合、他校のスポーツ推薦枠はほぼ埋まっているのが現状。ある意味、高橋選手は中日のドラ1という最高の“受け皿”があって本当に良かったと思います」

 慶應はかつて、あの“怪物”と呼ばれた作新学院の江川卓を不合格にしたこともありました。

 慶應落ちから最多勝、最多奪三振、防御率1位にセ・リーグMVPという「江川ロード」を突き進むことができるのか。そして人生は七転び八起き。「失敗は成功のマザー」(長嶋茂雄氏)であると、高橋投手はマウンド上で実証してくれているのです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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