わずか10分の“トーレス劇場”。バルサ戦またも退場者。シメオネを悩ますファウルトラブル

4月6日(水)11時11分 フットボールチャンネル

世界最高クラスの支配力と奪取力の激突

 チャンピオンズリーグ(CL)ベスト8、1stレグ。バルセロナとアトレティコ・マドリーによるスペイン勢対決がカンプ・ノウで行われた。ポゼッションとプレッシングという対照的な武器を持つ両チームの戦いは常に白熱したものとなる。しかし、リーガエスパニョーラでの対戦時同様にアトレティコはファウルトラブルに悩まされた。(文:海老沢純一)

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 バルセロナのポゼッションとアトレティコのプレッシング。この両チームの最大の武器は世界最高クラスのクオリティを誇るが故に、ある意味噛み合ってしまうため常に白熱の接戦となる。

 今季、リーガエスパニョーラでの2度の対戦では、ともにバルセロナが1点差での勝利を手にしているが、決して簡単な戦いとはならなかった。バルセロナが支配率、パス本数で大幅に上回れば、アトレティコはタックルやボール奪取で上回る。そして、作り出したチャンスも放ったシュートもほぼ互角。

 バルセロナ対アトレティコというカードは、ボールを支配することもピッチを走り回ることも大きな武器となる一方で決してどちらも正解ではないことを示している。

 この日、カンプ・ノウで行われた今季3度目の対戦でも、この両チームの武器・スタイルは“がっぷり四つ”で組み合った。

 前半の45分間、バルサは70.9%ものボールの支配権を握った。パス本数は354本:145本、そのうち成功数は318本:107本。倍以上ものパスをつなぎ、成功率でも90%:74%と大幅に上回った。

 本来、ここまでの差が付けばアトレティコ側にとっては絶望的な展開となるはず。気が遠くなるほどのピンチを迎え、無数のシュートを浴び、何度もネットを揺らされる…。ピッチ上での長い長い時間を過ごしたチームは世界に何チームも存在する。

 しかし、アトレティコは違う。ピッチ上の11人全員が“オールコートプレス”を仕掛け、ボールを持ったバルサの選手に対して強度高く寄せる。そして、ボールを奪えば一気に縦へ。

 その結果、チャンス数は6回(バルサ):4回(アトレティコ)、シュート数は6本:4本。やはり過去2戦同様にほぼ互角の数字となっていた。

得点からわずか10分で退場。トーレスの悪癖

 そして、25分にはコケのアシストを受けたフェルナンド・トーレスが1点を奪う。このゴールシーンには、なぜアトレティコが“弱者のサッカー”と呼ばれず、シメオネ監督が批判ではなく称賛を浴びているかがわかる。

 アトレティコは、強烈なプレッシングと速攻を武器としながらも、バルサと同じくスペインのチームらしいパス精度と創造性を兼ね備えている。それこそが、長く続くかと思われたリーガエスパニョーラの“2強時代”をわずか数年で崩し、“3強”といわれるまでに至った要因だろう。

 ここまでゲームプランが完璧にはまっていたアトレティコだが、シメオネ監督の計算を狂わせたのは、またしても「ファウルトラブル」だった。

 25分に先制ゴールを決めたフェルナンド・トーレスだったが、直後の29分に左サイドから中へ切り込んできたネイマールの足をかけてイエローカード。このプレーは、シメオネ監督が求めるプレスやチェイスとは異なる軽率なもの。

 そして、35分にはビルドアップをスタートしたマスチェラーノからパスを受けたブスケツに対してタックルを仕掛けて2枚目。ゴールからわずか10分後にはピッチを去ることとなってしまった。

 ブスケツが一瞬コントロールを誤り、ボールを足から離したことで「行ける」と思ったのだろうが、やはり1枚もらっていること、リードしていることを考えると無意味なタックルだったといえる。度々顔を覗かせるトーレスの悪い面がまたしても出てしまった。

 素晴らしいシュートを決めたと思えば軽率なプレーをする…こういった展開は過去にも何度か見られた。いわば“トーレス劇場”だ。

 このカードでは、1月30日に行われたリーガエスパニョーラ第21節でもフィリペ・ルイスとディエゴ・ゴディンが退場。2試合連続でアトレティコは数的不利の状況に陥ることとなった。

バルサらしさを取り戻したSBの攻撃参加

 後半の45分に入ると、アトレティコのプレス強度は大幅に低下した。彼らが仕掛ける“オールコートプレス”は、1人減れば全体にズレが生じ、残されたフィールドプレイヤー9人1人ひとりの負担は大幅に増加する。時間の経過とともに-1が-2にも-3にも加算されている感覚だろう。

 こうなれば、試合はバルサのものとなる。変わらず70%を超える支配率を記録すると同時に、メッシが12回、ネイマールが10回もの1対1を仕掛けてアトレティコのゴールへと詰め寄っていく。

 ジョルディ・アルバとダニエウ・アウベスのSBコンビがアトレティコ陣地でプレーした割合は、前半が53.19%だったが、攻め上がるスペースを得た後半は68.7%まで増加。

 徐々に自陣のアタッキングサードへと押し込まれていくアトレティコ。この試合で前半9回、後半9回の計18回のインターセプトを記録したアトレティコだが、前半がハーフウェイライン付近で奪っていたのに対して、後半はほとんどがペナルティエリア内まで下がっていた。

 両チームがボールを持ってプレーした位置を示す「アクションエリア」でも、前半はアトレティコ陣地で55.01%だったが、後半からは66.62%まで上昇。チャンスメイク数は12回(バルサ):1回(アトレティコ)、シュート数は15本:3本と前半とは異なり、大幅な差がついてしまった。

 そして、63分にはペナルティエリア内まで攻め込んだダニエウ・アウベスのクロスから逆サイドのジョルディ・アルバがシュートを放つと、ボールがスアレスに当たってゴールへ。

 さらに74分にはメッシ、スアレスのつなぎからボールを受けたアウベスが入れたクロスにスアレスが頭で合わせて逆転。またしても1点差での勝利を手に入れた。

 ただ、ノックアウト方式で重要となるアウェイゴールを手に入れたのはアトレティコ。しかも敗れたとはいえ2点までに抑えたのは大きい。1-2の状態で2ndレグをホームで戦えば、勝ち抜けの可能性はゼロではない。

 多くが接戦となる同国対決。このバルサ対アトレティコというカードも例に漏れず2試合を存分に楽しませてくれそうだ。

(文:海老沢純一)

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