バンデンハークに続け! 「米国以外」で戦ってきた新助っ人の活躍を占う

4月6日(水)13時55分 フルカウント

韓国で確かな実績残したバンヘッケンとリズ

 2014年はキューバから加入した選手が旋風を巻き起こし、昨年は韓国プロ野球(KBO)からソフトバンクに入団したリック・バンデンハークが超人的活躍を見せた。外国人選手の獲得先には時代ごとにトレンドがあるが、ここ数年はまた、アメリカ以外の国でプレーする外国人選手を獲得する例が増えているようだ。

 今シーズンもKBOでプレーした2人の投手が日本にやってきている。西武のアンディ・バンヘッケンと楽天のラダメス・リズだ。しかし、バンデンハークのような成功例ばかりではなく、2014年にMLBからKBOを経て巨人に入団するも、1年で退団することになったクリス・セドンのような例もある。バンヘッケン、リズはどのような道を歩むのだろうか。

 バンデンハーク、バンヘッケン、リズ、セドンの4投手には、いくつかの共通点がある。まず、それぞれがKBOで主要タイトルを獲得するレベルの活躍を見せていたことだ。セドンは2013年に最多勝(14勝)、バンデンハークは2014年に最多奪三振(180個)、バンヘッケンは2014年に最多勝(20勝)、リズは2013年に最多奪三振(188個)を獲得している。

 もうひとつは、この4投手が2013年にKBOで同時にプレーしていることだ。

 2013年のKBOの防御率ランキングは3位にセドン(2.98)、4位にリズ(3.06)、10位にバンヘッケン(3.73)、そして15位にバンデンハーク(3.95)という順位だった。数年前のものではあるが同じ土俵で競った際の成績とその関係性は、実力を計るための定規になるかもしれない。

 奪三振と与四死球、被本塁打を使って算出する、平均的な守備力を持った野手陣のもとで平均的な運に恵まれた際に残すであろう推定防御率FIP(Fielding Independent Pitching)では、防御率は最も高かったバンデンハークがこの4人の中ではトップだった。逆にセドンは防御率ほど投球の質はよくなかったようだ。日本で残した成績は、FIPの関係性が表れたものになっていた。

環境が変わっても適応してきたバンヘッケン

 さらなる共通点として、2010年に米マイナーAAA級パシフィック・コースト・リーグ(PCL)でプレーしていることがある。より過去の成績ではあるが、同一環境での成績は4投手の能力の関係性をつかむ材料になる。

 PCLでの成績と比較すると、KBOでのK/9(登板9イニングあたりの奪三振数)や防御率は4投手とも数字を改善させている。これは両リーグの平均の数字を見ればわかるように、2010年のPCLのリーグ防御率が4.78(平均得点5.2点)、2013年KBOの防御率は4.32(同4.6点)とPCLの方が得点が入りやすく、打者が力を発揮している環境だった影響が大きい。

 セドンとバンヘッケンは時と場所が変われども、数字の変動が小さいのは興味深い。同じ左腕で奪三振能力はバンデンハークやリズに比べると低く、KBOでは奪三振を増やしたが、与四球も増加している。また4人が同時にプレーした年の翌年(2014年)、KBOは突如得点環境が変わり、投手は成績を伸ばしにくい状況が訪れた。それでもバンヘッケンは成績を改善させている。KBO以外の台湾でのプレーや、アメリカ代表としての国際大会出場などの経験を生かした環境への適応能力は高いのかもしれない。36歳という年齢が不安材料ではあるが、日本でも円熟味あふれる投球を期待したい。

 バンデンハークはKBOでBB/9(9イニングあたりの与四球数)の向上を見せたが、リズは逆に悪化している。リズは別に20死球も与えており、荒れ球だった。これは環境の変化でも解消されなかったリズ自身の特性と考えるべきだろう。それでも昨年は米マイナーAAA級インターナショナル・リーグで、制球難を奪三振力で補って好成績を残している。ここまで2試合10人の打者に対し奪三振と与四球はともに2。四球を抑え三振を伸ばしていけるかが活躍のカギであるのは間違いない。

メキシカン・リーグは強打者生産に定評あるも…

 メジャー・リーグのロースターの管轄外であるメキシカン・リーグの大物選手を獲得するケースも近年多い。今年も楽天が体重135kgとも伝えられる巨漢、ジャフェット・アマダーを獲得した。アマダーは昨年のメキシカン・リーグで41本塁打を放ち本塁打王と打点王に輝いている。年度MVPも獲得した。

 メキシカン・リーグで年度MVPを獲得しその後日本にやってきた選手には、2009年のディオニス・セサル(中日)、2011年のルイス・テレーロ(楽天)、2012年のミチェル・アブレイユ(日本ハム)らがいる。彼らに、やはり好成績を残し日本にやってきたビクトル・ディアス(中日)、フアン・ミランダ(日本ハム)、バーバロ・カニザレス(ソフトバンク)を加え、来日前年と来日1年目の成績をまとめた。

 メキシコ時代の成績を見ると、全員がOPS.900を超え、1.000以上の驚異的な成績もある。これはメキシカン・リーグがPCLのように得点の入りやすい環境だったことが大きく影響しているとみられる。メキシカン・リーグでは平均得点は5点を超えるシーズンがしばらく続いていた。

 来日1年目の成績は、本塁打王を獲得したアブレイユの例はあるものの、いずれもメキシカン・リーグでの成績と比べると見劣りする成績に終わっている。これを素直に受け取ればメキシカン・リーグでの活躍は、日本での成功を約束しないということになるだろう。

 ただし、彼らの起用のされ方については酌量すべき部分もある。彼らの年俸は最高でもミランダの5000万円(推定)で米球界から獲得する選手に比べると安く、獲得する球団にとってはリスクの小さな投資だ。「活躍してくれれば掘り出し物」という感覚であった可能性もある。それが理由か、順応のために必要な十分な打席が与えられずに、構想から外れていったケースもあるとみられる。

 しかし、日本ハムについてはそうした推測を否定する姿勢がうかがえる。2013年にはアブレイユを戦力化し、2014年にはなかなか成績を伸ばせなかったミランダにも最終的に427打席を与えた。昨年はメキシカン・リーガーではないが1億円に満たない年俸と伝えられるブランドン・レアードを我慢強く起用し、チーム最高の34本塁打を打たせた。異国に適応するまでの時間と機会に対する考え方は、他球団とは少し違っているように映る。

 活躍できずに日本を去ったメキシカン・リーグの強打者の中にも、日本ハムのような起用をしていれば力を発揮した者もいたかもしれない。

アマダーは果たして? 三振数を抑えられるかがカギ

 アマダーはどうだろうか。アマダーは2013年にもメキシカン・リーグで36本塁打121打点の成績で打点王のタイトルを獲得するなど、2011年から見事なまでの隔年での活躍を見せてきた。真の実力はどの程度に見積もるべきか。

 カギとなるのはK%(打席数に占める三振の割合)だろう。先ほど挙げた6選手は、メキシコから日本に来るにあたり、ほとんどの選手が三振を増やしている。増加の程度の中央値をとると約1.4倍になっている

 昨年のアマダーのK%は19.0%で、これを単純に1.4倍すると26.6%。昨年のパ・リーグ平均が18.0%であるから、もしそのまま記録すれば散々な成績と言わざるを得ない。

 K%が高くても、4月の99打席で9本塁打したアブレイユのように、長打力を早々に発揮できればその後も起用されるだろうが、首脳陣が続けて起用したいと思わせる何かを残さないと、アマだーが十分なチャンスを得るのは難しいかもしれない。ゼラス・ウィーラー、ジョニー・ゴームズと2人の打者に加え5人の投手が在籍するチームでの熾烈な外国人枠争いも、アマダーにとっては厳しい条件となるだろう。

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1〜3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を2015年3月27日に発売。集計・算出したスタッツなどを公開する『1.02 – DELTA Inc.』(http://1point02.jp/)も2016年にオープン。

水島仁・DELTA●文  text by MIZUSHIMA,J. DELTA

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