【コラム】7年ぶりの首位返り咲き…チッチ率いるカナリア軍団、強さの秘訣は!?

4月6日(木)18時30分 サッカーキング

ブラジル代表が7年ぶりに首位返り咲きを果たした [写真]=Getty Images

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 最新のFIFAランキングが6日に発表され、ブラジル代表が宿敵アルゼンチン代表をかわし、2010年以来となる首位に躍り出た。2018 FIFAワールドカップロシア 南米予選では、破竹の8連勝で最速でのW杯出場権を獲得するなど、サッカー王国復権の時が着実に近づいている。

 ドゥンガ前監督の成績不振により、セレソンの指揮官に就任したのは、アデノール・レオナルド・バッチことチッチ監督。コリンチャンスを率いて2度の全国選手権制覇や、12年に日本で開催されたFIFAクラブワールドカップでは、欧州王者・チェルシーを1−0で下し、同クラブを世界一へと導いた経験を持つ。ブラジルサッカー連盟(CBF)は過去に2度の監督就任オファーを出したものの、チッチ監督は首を縦に振らなかった。しかし、3度目のラブコールがようやく実り、2016年6月20日、見事“チッチ・セレソン”が誕生したのである。

 チッチ監督は1990年、リオ・グランデ・ド・スル州のグアラニで指導者としてのキャリアをスタート。以降、ブラジルの名門クラブであるコリンチャンスやパルメイラス、海外ではUAEのアル・アインなどを率いた経験を持つが、意外にも代表監督の就任はこれが初めて。一部では代表チームを率いた経験がないことに対し不安視する声もあったが、この豊富な“クラブ経験”こそが、セレソン復活の要因となっている。

 チッチ監督は就任から一貫してケガや出場停止などを除き、主力メンバーを固定。GKアリソン(ローマ/イタリア)、DFマルキーニョス(パリ・サンジェルマン/フランス)、DFミランダ(インテル/イタリア)、MFレナト・アウグスト(北京国安/中国)、FWフェリペ・コウチーニョ(リヴァプール/イングランド)の5選手は、チッチ監督就任以降の8試合全てに出場。DFダニエウ・アウヴェス(ユヴェントス/イタリア)、MFパウリーニョ(広州恒大/中国)、FWネイマール(バルセロナ/スペイン)、FWウィリアン(チェルシー/イングランド)も7試合に出場している。所属クラブでの好調、不調によってメンバーを入れ替えるのが代表チームの大きな特徴であるが、チッチ監督はメンバーを固定することで、クラブチームと同様のチーム作りを進めている。

 チッチ監督の就任以降、息を吹き返したように躍動しているのは、中盤を支えるパウリーニョとレナト・アウグストだ。実はチッチ監督にとって2人はコリンチャンス時代の教え子であり、チッチイズムをピッチで体現できる選手として重宝されている。

 ルイス・フェリペ・スコラーリ監督時代などは、ルイス・グスタヴォ(ヴォルフスブルク/ドイツ)とボランチを組むことが多かったパウリーニョだが、アンカーポジションを配置するシステムが導入されたことで、より持ち味の攻撃が生きるようになった。3月24日に敵地で行われた第14節、2位ウルグアイ代表との大一番では、ハットトリックを達成。チームの快勝に大きく貢献し、ロシア行きの切符をグッと手繰り寄せる活躍だった。

 昨年8月に行われたリオ・デ・ジャネイロ五輪ではオーバーエイジにも選出され、初の金メダル獲得に貢献したレナト・アウグスト。カナリアイエローのユニフォームとはあまり縁のないキャリアをここまで過ごしてきたが、かつての師の就任によりチームに欠かせない存在となった。非凡なパスセンスを武器に、世界屈指の破壊力を誇る攻撃陣を操っている。前述の通りチッチ監督就任以降の全試合に出場しており、敵地で行われた第12節のペルー代表戦では勝利を決定づける追加点をマーク。パウリーニョとともに中盤からの厚みのある攻撃を創出している。

 そして、前線には代表で本来のパフォーマンスを発揮し始めたコウチーニョ、プレミアリーグで鮮烈なインパクトを残しているガブリエウ・ジェズスが、絶対的な存在であるネイマールとともに攻撃を牽引。チッチ監督の就任以降、ここまで計24得点(1試合平均3得点)を記録しており、8連勝の大きな原動力となっている。また、切り札として試合の流れを変えるウィリアン、国内ナンバーワンストライカーの呼び声も高いジエゴ・ソウザ(スポルチ/ブラジル)らも控え、攻撃陣の陣容に隙は見当たらない。

 もはや南米では敵なしとまで現地メディアでも称えられているセレソン。一部ではチッチ監督との長期契約を望む声や、自国開催のワールドカップで屈辱的な大敗を喫したドイツ代表とのリベンジ・マッチを熱望する声も上がっている。今後は残り4試合となった南米予選、欧州強豪国らとの練習試合を重ね、4大会ぶりのW杯制覇に向けてより成熟度を高めていくだろう。ロシアで開催される本大会まであと1年2カ月、チッチ率いる無敵のカナリア軍団は一体どのような進化を続けていくのか注目だ。

文=三島大輔

ブラジル代表 W杯南米予選 全結果

第1節 vsチリ(A)0−2 ●
第2節 vsベネズエラ(H)3−1 ○ 【得】リカルド・オリヴェイラ×2、ウィリアン
第3節 vsアルゼンチン(A)1−1 △ 【得】ルーカス・リマ
第4節 vsペルー(H)3−0 ○ 【得】ドウグラス・コスタ、レナト・アウグスト、フェリペ・ルイス
第5節 vsウルグアイ(H)2−2 △ 【得】ドウグラス・コスタ、レナト・アウグスト
第6節 vsパラグアイ(A)2−2 △ 【得】リカルド・オリヴェイラ、ダニエウ・アウヴェス
第7節 vsエクアドル(A)0−3 ○ 【得】ネイマール、ガブリエウ・ジェズス×2
第8節 vsコロンビア(H)2−1 ○ 【得】ミランダ、ネイマール
第9節 vsボリビア(H)5−0 ○ 【得】ネイマール、フェリペ・コウチーニョ、ガブリエウ・ジェズス、ロベルト・フィルミーノ
第10節 vsベネズエラ(A)0−2 ○ 【得】ガブリエウ・ジェズス、ウィリアン
第11節 vsアルゼンチン(H)3−0 ○ 【得】フェリペ・コウチーニョ、ネイマール、パウリーニョ
第12節 vsペルー(A)0−2 ○ 【得】ガブリエウ・ジェズス、レナト・アウグスト、
第13節 vsウルグアイ(A)1−4 ○【得】パウリーニョ×3、ネイマール
第14節 vsパラグアイ(H)3−0 ○ 【得】フェリペ・コウチーニョ、ネイマール、マルセロ
第15節 vsエクアドル(H)
第16節 vsコロンビア(A)
第17節 vsボリビア(A)
第18節 vsチリ(H)

サッカーキング

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