さまざまな適性を持つ馬が集結する皐月賞 馬券的妙味も十分

4月9日(日)7時0分 NEWSポストセブン

名調教師が皐月賞を分析

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 花が散って新緑の季節になると、男の子の出番となる。競馬もそれは同様。こちらも一生に一度の大舞台、牡馬のレース・皐月賞だ。過去最多勝3回、最多賞金獲得5回を誇り、新刊『競馬感性の法則』(小学館新書)を上梓したばかりの調教師・角居勝彦氏もそのひとり。今年は出足から好調でリーでイング首位をキープしているが、3歳馬のレースにはとりわけ強い思いがある。皐月賞といえば、角居厩舎では2010年にヴィクトワールピサが勝っている。


「ダービーを目指す馬が皐月賞を勝てば三冠が見えてくる、というイメージです。牝馬は桜花賞だけど、牡馬はやはり日本ダービーが究極の目標。皐月賞で4着までに入れば、ダービーへの優先出走権が得られるため、どうしても、そちらが注目されてしまうこともある」(角居師。以下同じ)


 ダービーを目指すために皐月賞を回避するケースもあって、この10年ほどで皐月賞の重みがだいぶ変わってきてしまっている。


 しかも、今年の3歳世代は牡牝混合戦で牝馬が勝ったレースが多く、「牡馬は不作」などといわれている。


 だからというわけではないのだろうが、今年の皐月賞には牝馬ファンディーナが出走を表明してきた。デビューから3戦3勝、2着馬との差は合計15馬身以上という、500キロを超える雄大な馬体を持つ怪物級の牝馬で、この先ダービーすらも見据えているという。


 トライアルを終えた状況から、この馬が人気の中心になりそうだ。角居師がこう解説する。


「この時期、同じ世代の牡と牝を較べると、牝馬の方が強い。人間でも小学校の頃などは女の子の方が心身ともに成長が早いでしょう。牝馬は春に強くなりますが、牡馬は夏を超えることで成長するのです」


 そんな時期なので、競馬を楽しむにはとても意味のあるレースなのだという。


「皐月賞をダービーとくらべてしまうから魅力的に感じないのではないでしょうか。


 この時期の3歳牡馬は、まだ適性が定まっていないので、様々な可能性を秘めた馬が集まってきます。2000メートルという距離も、マイラーになるのかステイヤー路線に進むのか、あるいはスプリンターでいくのか、融通が利く。パワータイプも出てくるし、スピード豊かな馬もいて、いわば“ごった煮状態”です。それだけに味わいがあります(笑い)」


 この時点ではまだ伏兵に過ぎなかった馬が、1か月半後のダービーで栄光を勝ち取ったケースも多い。10年のダービー馬エイシンフラッシュは皐月賞3着だったが、なんと11番人気。三冠馬オルフェーヴルも4番人気にすぎなかった。


 馬場も中山の最終週で荒れ模様、桜花賞と違って純粋な力勝負にはなりにくいレースだ。いろいろなタイプの馬が走るので、大逃げを打つなどの思い切った戦術を仕かけてくる馬も現われ、陣営にとってはやりにくい。


 それだけに馬券的妙味も十分だ。


 ここにいたるまでのローテーションも多彩になった。


「かつては3月初旬に行なわれる弥生賞が同距離同コースのため王道といわれていましたが、ここ3年の勝ち馬はいずれも共同通信杯からの直行でしたし、昨年の3着馬で暮れには有馬記念まで勝ったサトノダイヤモンドはきさらぎ賞からでした」


 今年の出走予定馬もさまざまな路線を歩んできている。弥生賞など重賞2勝馬カデナ、共同通信杯から直行するスワーヴリチャード、アーリントンカップを勝ったペルシアンナイト、昨年の2歳牡馬チャンピオン・サトノアレスなど、将来性豊かな牡馬がファンディーナを迎え撃つ。


●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後15年で中央GI勝利数23は歴代3位、現役では2位。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、サンビスタなど。


※週刊ポスト2017年4月14日号

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