【J1リーグ2023】湘南のハイプレスに綻びあり。ドロー決着のFC東京戦を検証

2023年4月11日(火)14時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第7節の全9試合が4月8日と9日に行われ、湘南ベルマーレは9日、敵地の味の素スタジアムでFC東京と対戦。最終スコア2-2で引き分けた。


今季のリーグ戦全試合で失点を喫しており、7節消化時点で引き分け試合が3つの湘南。同クラブが着実に勝ち点3を積み上げ、上位進出を果たすためには何を磨き上げるべきか。FC東京戦を検証しながら、まずはこの点について解説する。




湘南ベルマーレ FWタリク 写真:Getty Images

FC東京vs湘南:試合展開


湘南が攻め込む時間帯が長かったなかで、FC東京が一瞬の隙を突く。前半30分に湘南のハイプレスを掻い潜ると、FW仲川輝人が敵陣右サイドでドリブル。その後MF松木玖生がペナルティエリア内でシュートを放ち、湘南のGK富居大樹が弾いたボールを仲川が押し込んだ。


先制ゴールを奪われた湘南は、後半に獲得したセットプレーから活路を見出す。同9分にMF中野嘉大が素早くコーナーキックを始めると、味方とのパス交換の後に相手ゴールへ向かってボールを蹴る。この球にDF杉岡大暉が合わせ、アウェイチームが試合を振り出しに戻した。


勢いづいた湘南は、後半14分にハイプレスでボールを回収し、左サイドから速攻を仕掛ける。FW町野修斗が前線でボールを収めると、同選手のパスを受けたMF阿部浩之がクロスを放つ。このラストパスをFWタリクが物にした。


湘南は逆転に成功したものの、後半18分に投入された相手MFアダイウトンに早速ドリブルを仕掛けられ、DF杉岡がやむを得ずファウルで阻止。同20分のFC東京のフリーキックからDFエンリケ・トレヴィザンのヘディングシュートを浴び、勝利を逃している。




FC東京vs湘南、先発メンバー

湘南の隙が窺えた2つの場面


この日も[3-1-4-2]([5-3-2])の基本布陣で臨んだ湘南は、持ち前のハイプレスでFC東京のパスワークを封じにかかる。MF平岡大陽とタリクの2インサイドハーフのどちらかを最前線に組み込む[5-2-3]の守備隊形も概ね機能していたが、時折隙を見せてしまった。


湘南の[5-2-3]の隊形による守備(平岡が前線に上がった場合)

この芳しくない状態が生まれたのが、FC東京が最終ラインからパスを回した前半14分と30分のシーン。前者では湘南のMF平岡が相手DF木本恭生にプレスをかけ、FC東京のパスワークを右サイド(湘南の左サイド)へ誘導したものの、タッチライン際でパスを受けようとしたホームチームのDF中村帆高への中野の寄せが遅れている。敵陣でボールを奪えなかった湘南は中村のスルーパスを浴び、これを受けたFWディエゴ・オリヴェイラにGK富居強襲のシュートを放たれた。


自陣左サイドでボールを保持したエンリケ・トレヴィザンにFW町野が寄せた前半30分にも、湘南の守備隊形のスライドが遅れ気味に。この場面では基本布陣[4-1-2-3]のFC東京の中盤の底、東慶悟への守備をタリクと阿部のどちらが受け持つのかが曖昧になり、同選手から始まるホームチームのパス回しを止めきれず。FC東京の先制ゴールは、東を起点とする遅攻から生まれたものだった。


湘南ベルマーレ FW町野修斗 写真:Getty Images

町野が挙げた守備の反省点


2023シーズンのリーグ戦全試合で失点を喫している湘南の現状について語ったのは、FW町野。FC東京戦終了後のコメントで、守備面の課題を挙げている。


『チームがあまり良くないときは、ラインの押し上げが揃っていないときであったり、先頭と後ろのラインの距離が離れてしまうときなので、それを意識してみんなやっていたと思います。ただ、無失点の試合が未だにできていないというのは、後ろだけの責任ではないので向き合っていきたいと思います』(湘南ベルマーレの公式ホームページより引用。一部補正)


4-1で勝利した第6節のガンバ大阪戦でも、相手MF陣への寄せが緩い場面がちらほら。前節の前半は舘幸希と石原広教の両DF、MF永木亮太の相手選手へのアプローチが遅れ気味だった。


たとえ町野と阿部の2トップが相手チームのパス回しをサイドへ誘導しても、その次の守備の強度が低ければボールを奪うのは難しい。ハイプレスをかわされれば相手の速攻を浴び、失点のリスクが高まるのは当然のこと。この点は湘南が引き続き着手すべき課題と言えそうだ。




湘南ベルマーレ MF平岡大陽 写真:Getty Images

湘南のハイプレスを牽引したのは


綻びが散見されたとはいえ、湘南が連動性溢れる守備を行えていた場面があったのも確か。FC東京戦で気を吐いたのは、自軍の選手中最多29回のスプリントを記録したMF平岡大陽だ(数値はJリーグ公式サイトより)。


同点ゴールの直前に訪れた湘南のビッグチャンスは、町野が相手GKヤクブ・スウォビィクに寄せ、これに連動して平岡が相手DF木本にアプローチする構えを見せたことで生まれたもの。平岡のシュートはスウォビィクにセーブされてしまったが、町野が相手GKのパスミスを誘ったところまでは完璧だった。


湘南の2点目も、FC東京のDF中村への平岡の守備が起点となっており、ここから中野、町野、阿部、タリクの順でパスが繋がっている。平岡が守備面で重要なタスクを完遂し、自軍の勝ち点1奪取に貢献したと言って差し支えないだろう。

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