ペップのプレミア一年目は失敗。自己哲学への固執で見誤った選手の適性【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

4月11日(火)10時0分 フットボールチャンネル

順応に苦しんだ一年目のグアルディオラ。現有戦力には「満足」と語るが…

 今季からマンチェスター・シティの指揮官に就任したジョゼップ・グアルディオラ監督。バルセロナとバイエルン・ミュンヘンで数々のタイトルを獲得してきた名将だが、現時点ではリーグ4位でチャンピオンズリーグでもラウンド16で敗退するなど就任一年目は“失敗”と言える。特に、ここまで適性を見誤った選手起用は猛省すべきだろう。(文:粕谷秀樹)

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「戦力には満足している」

 マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は、シーズン開幕当初から終始一貫している。内外のメディアが人手不足を指摘し、彼がかつて率いたバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンとの比較論を持ち出しても、現有戦力を否定したケースは一度もない。

 一時はヤヤ・トゥレを干していたが、エージェントのディミトリ・セルクがメディアを通じてグアルディオラを口汚く罵ったペナルティであり、2011年から4年連続でアフリカ最優秀選手に輝いた大型MFが体調を整えると、先発に起用している。

 また、ジョー・ハートがトリノにローン移籍した一件も、基本方針に合致しないためだ。つなぎを意識するグアルディオラにとって、ショットストッパーのハートはGKの理想像ではなかった。クラウディオ・ブラーボ、ウィリー・カバジェロが指揮官の期待を裏切り、その結果が優勝戦線からの撤退だったとしても、一軍の将であればみずからの構想に適したタレントを選択するのは当然だ。

 ましてグアルディオラは、選手としてもプレミアリーグを経験していない。バイエルンに支配されるブンデスリーガ、勢力分布図がマドリーの2チームとバルサに偏るラ・リーガに比べると、6チームがチャンピオンズリーグの出場権を争う過酷な戦場では、さしもの名将も就任一年目はアジャストに苦しんだ。

 しかもシティは、歴代の監督が勝者のメンタリティを注入していなかった。別れ方が残酷だったとはいえ、チェルシーの土台はジョゼ・モウリーニョ(現マンチェスター・ユナイテッド監督)によって築かれている。アントニオ・コンテ現監督とグアルディオラでは事情が異なる。

見誤った選手の適正。リスクも大きい自己哲学への固執

 しかし、グアルディオラにも猛省すべき点はある。ポゼッションにこだわりすぎて、各選手の適性を見誤った。最後尾からつなげる選手はいない。期待のジョン・ストーンズはまだひ弱で、最終ラインの軸になるはずだったバンサン・コンパニは、相変わらずケガとの戦いに明け暮れた。二コラス・オタメンディとアレクサンデル・コラロフも対人能力は高いものの、フィードがアバウトすぎる。

 そしてサイドバックもフィリップ・ラームやダビド・アラバ(ともにバイエルン)のように、チームがボールを保持した際は中盤インサイドに入り、ビルドアップの一翼を担う戦術理解度は有していなかった。それでもグアルディオラは理想を追求し、4月8日の段階で首位チェルシーに14ポイントもの大差をつけられている。現有戦力に満足しているのなら、現有戦力に適したプランBを練り上げるべきだった。現状把握は指揮官の最重要任務である。

 グアルディオラとともに、強化担当部門も猛省しなくてはならない。『アブダビ・ユナイテッドグループ』が買収した後、補強には疑問符がつく。特にアタッカーだ。ジョー、ロビーニョ、クレイグ・ベラミー、エマニュエル・アデバヨル、ロケ・サンタクルス、マリオ・バロテッリ、ステバン・ヨベティッチ、アルバロ・ネグレド、ウィルフレド・ボニと失敗の連続だ。セルヒオ・アグエロ、ラヒム・スターリング、レロイ・ザネ、ガブリエル・ジェズスの成功に満足し、黒歴史を忘れると痛い目に遭う。

 グアルディオラの一年目は失敗に終わった。FAカップ優勝の可能性が残されているとはいえ、チャンピオンズリーグはラウンド16で散り、プレミアリーグは3〜4位が精いっぱいだ。したがって8月12日開幕予定の2017/18シーズンは、メジャー大会で少なくとも最終盤まで優勝戦線に残り、真の名門へと歩みを進めなくてはならない。

 そのためにはペップと補強部門が強化策をすり合わせる必要がある。自己哲学への固執はリスクも大きい。基本プランに柔軟性を持たせ、選手層の拡充を図るべきだろう。プレミアリーグを闘う以上、ストロングヘッダーの獲得は優先課題のひとつだ。

(文:粕谷秀樹)

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