ユーベが突いたバルサの弱点。脆弱なサイドの守備と不安定なセンターライン

4月12日(水)11時33分 フットボールチャンネル

ディバラがあっさりと追加点。ユーベ、バルサに3-0の先勝

 ユベントスは現地時間11日、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝の1stレグでバルセロナと対戦し、ホームで3-0の先勝を収めた。ベスト16ではパリ・サンジェルマンに奇跡的な突破を果たしたバルセロナを相手にしたユベントスだったが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督も「バルセロナの弱点を研究した」と語っていたように、緻密な戦術が凝縮された一戦となった。(取材・文:神尾光臣【トリノ】)

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 前半21分、リオネル・メッシのスルーパスに反応して単独で裏へ飛び出たアンドレス・イニエスタのシュートを、ジャンルイジ・ブッフォンが指先で触ってゴールから逸らす。「簡単そうに見えるが、大変なファインセーブ」と試合後にマッシミリアーノ・アッレグリ監督が褒めることになるのだが、そのプレーの直後、先制に成功していたユベントスは2点目を奪った。しかも、いともあっさりとだ。

 左サイドを縦に突破したマリオ・マンジュキッチが、マーカーを振り切って中央へ折り返す。するとエリア手前の位置では、パウロ・ディバラがものの見事にフリーになっていた。この日は中盤の底として起用されていたハビエル・マスチェラーノの視野から巧みに逃れた彼は、バルセロナのDFとMFの間のスペースをまんまと取る。そして、精度の高いシュートを突き刺した。

 前半6分の先制点も、右サイドからの組み立てではあったが似たような形で取れている。「選手たちは良いアプローチで試合を進めてくれた。我々はバルセロナの弱点を研究して突いた」とアッレグリ監督は試合後の記者会見で語ったが、まさに彼らの勝利はバルセロナの脆弱なサイドの守備と、不安定なセンターラインという2つの弱点を攻めてもぎ取ったものだった。

 守備上の表記で4-3-3を示すバルセロナのシステムは、攻撃時には3-4-3として機能する。右にはメッシ、左はネイマールと、どんな相手にも絶対的な突破力を誇示する2人のアタッカーをワイドに張らせる。また表記上は右SBを務めるセルジ・ロベルトも、時折メッシと入れ替わりながら高い位置を取る。

 チームとして高い位置でボールをキープし、押し込んでいる限りは問題はない。むしろ相手にとって、ピッチを押し広げられてパスを回される攻撃は脅威だ。だがその前に、パスを寸断して相手の布陣を押し下げれることができれば、攻撃的なフォーメーションは一転して脆さをさらけ出すのだ。

執拗なプレスにバルサはミスを連発。徹底されていたユーベの守備戦術

 ユーベは開始から執拗なプレスをバルサのGKとCB陣、そして中盤の底のマスチェラーノに掛けた。前線の選手たちがボールホルダーを追い回す一方で、最終ラインも勇気を持ってディフェンスラインを上げる。FW陣のみならず、飛び出しの得意なイニエスタの位置もしっかり確認しながら位置を細かく調整していたという。

 こうして全体をコンパクトに保ったユーベは、執拗なプレスでバルセロナの最終ラインを押し下げ、相手を間延びさせることに成功した。普段ならセルヒオ・ブスケッツの技術でいなされるようなところだが、その不在が響いてか面白いようにプレスが掛かる。そして不正確なパスを出させ、中盤で容易くルーズボールを拾った後はサイドのスペースへ素早くボールを送った。

 3バック気味の最終ラインは、サイドに広大なスペースがある。しかもメッシもネイマールもサイドバックのようなカバーをするわけではないから、素早く裏を突かれるとどうしても守備が手薄になる。そこにパスを展開し、頻繁にサイドチェンジも織りまぜる。そして左ではマリオ・マンジュキッチが、また右ではファン・クアドラードが、やすやすとマーカーとの1対1を仕掛ける。ユーベは、徹底してそういう戦術プランを貫いたのだ。

 もちろんプランを実行するには、各選手の質の高いプレーが必要となる。なかでもバルサ中盤のチェックをかいくぐり、速く正確なパスを送り続けたミラレム・ピャニッチや、勤勉にボールを拾って攻守両面に走り回ったサミ・ケディラは、非常に大きな貢献を果たした。

バルサに“絶対的リード”は存在せず。サポーターも不敵な笑み

 このように前半で2点のリードを奪ったユベントスは、後半も狡猾に戦った。後半10分にはCKのチャンスを着実に活かして追加点、そして堅い守備でバルセロナにゴールを許さない。そしてそこにも、戦術的な守備プランがきちんと実行されていた。前半のようなハイプレスの持続はさすがに難しくポゼッションは大幅に譲ったが、その分集中力の高い守備を披露した。

 ボールは持たれてもいい。その代わり、ゴール前のスペースは絶対に空けない。サイドの守備がルーズだった相手とは対照的に、マンジュキッチやクアドラードも勤勉に守備に戻り、中盤に人数を掛ける。そしてメッシが下がり目のポジションを取った時も、DFはむやみにくっついて行かず、最終ラインの枚数を保って人を余らせる戦略をとった。

 中盤で当たりに行き、個人技でマークを外されても、残っていた後方の選手がボールを取る。このように精密に準備された守備ブロックは、バルサの攻撃から精度を奪った。後半に打たれたシュートは9本、だが実に7本が枠外だった。

 内容も結果も申し分ない形で得た1stレグの3-0。もっともバルサ相手には絶対的なリードと言えないのは、つい先日世に知らされた通りだ。試合後、両手で「6」のサインを作りながら、不敵に笑うバルセロナサポーターの姿が、ユベントス・スタジアムの場内ビジョンに大写しになった。1stレグで0-4とされながら、6-1で準々決勝をもぎ取ったパリ・サンジェルマン戦を指してのことだ。

「ゴールを奪いに行き、攻撃的な姿勢を保つことが重要だ」とアッレグリ監督は強調した。慎重に引きすぎるとプレスの圧力を弱め、逆説的に守備の上でも良くない結果をもたらす場合がある。隙を見せれば容易に大差をひっくり返す力のある相手に、ユーベはどういうアプローチでリードを守るのか。2ndレグも、戦術的に見所は多そうだ。

(取材・文:神尾光臣【トリノ】)

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