バルサ、悪夢再び。ユーベ戦惨敗でCL準決勝進出は絶望的…。選手層の差が如実に表出

4月12日(水)12時46分 フットボールチャンネル

デジャヴのような一戦。最初の誤算は選手起用に

 4月11日、16/17シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝、ユベントス−バルセロナの1stレグが行われ、ホームのユベントスが3-0で勝利。バルセロナにとっては、0-4で完敗したパリ・サンジェルマン戦に続く悪夢のような試合となってしまった。(文:舩木渉)

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 悪い夢を見ているようだった。デジャヴのような。

 バルセロナは現地時間11日、チャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝1stレグに臨み、アウェイでユベントスと対戦した。

 結果は0-3の惨敗。

 先週末のマラガ戦に敗れてリーグ優勝が絶望的になった状況で挑んだ、今季のタイトル獲得に向けたラストチャンスは誰もが予想しなかった形に終わり、無冠が現実味を帯びてきている。

 最初の誤算は選手起用にあった。中盤の要であるセルヒオ・ブスケツが出場停止だったが、バルサのルイス・エンリケ監督は3バックと4バックを併用するいつも通りの布陣を選択した。アンカーにはブスケツの代わりにハビエル・マスチェラーノが起用され、最終ラインには高さを考慮してかジェレミー・マテューが入る。

 ただ、この2人が機能しなかった。マスチェラーノは普段であれば最終ラインの一角を務めるが、アンカーの位置だとやはりブスケツに比べてビルドアップの局面でゲームを作る能力が著しく劣る。ユベントス戦はバルサがボールを保持する時間が長かったが、後方から前線にボールを運ぶ際にスムーズさが失われてしまった。

 ブスケツであれば中盤の低い位置で後ろ向きにパスを受けて、DFと細かくつなぎながらうまく前を向いて的確にボールをさばいていく。一方でマスチェラーノは元々守備専任のMFだったため、後ろ向きでボールを扱うことに慣れていない。技術と勇気が足りなかった。

 また、守備時には左サイドバック、攻撃時には3バックの左の役割を務めたマテューは緩慢さが目立った。元々リーグ戦などでも不安定さを露呈してきたベテランは、集中力を欠くことが多く、その弱点がユベントス戦でも時折顔をのぞかせた。

 高さの面では必要だったかもしれないが、スピードとアジリティで勝負する選手が揃っていたユベントスの右サイドを相手にマテューでは対応しきれない。明らかにミスマッチが起こっていた。

負けている状況で使った交代枠は「1」

 結局試合開始直後の7分、バルサは左サイドを破られてパウロ・ディバラに先制ゴールを許した。サイドに大きく開いたファン・クアドラードにマテューが寄せきれず、中途半端なポジションで守ったことによりディバラへのラストパスを通させてしまった。

 さらに23分、2失点目のシーンは相手の速い攻めに対して最終ラインを速く下げすぎて中盤に広大なスペースを作ってしまった。マテューは戻りが遅れて他の選手に並走するだけ、マスチェラーノは完全に遅れてゴールを決めたディバラを後ろから見送るしかできなかった。

 ユベントスはバルセロナ守備陣の弱点を緻密にスカウティングし、前半から相手の嫌なところを突き続けていた。守備時のバルサは本来であれば、前線の3人が最初にプレッシャーをかけて相手の攻撃を遅らせ、後ろが4バックにセットするまでの時間を稼ぐ。

 しかし、特に2失点目の場面は顕著だったが、DFとMFの[4-3]のラインがうまく揃い切らないと選手間にスペースを作ってしまいがちになり、サイドの裏とDFとMFの間に致命的なほころびが生じる。ユベントスはそのエリアを狙い続け、相手の最終ラインを下げさせた上で、対処しづらいマイナス気味の速いクロスをゴール前に供給していった。前半だけで4、5回はそういった形から決定機が生まれ、実際にサイドは違うとはいえ2点とも同じ形でディバラがゴールを陥れた。

 後半開始から、ルイス・エンリケ監督はマテューを諦めてマスチェラーノを最終ラインに戻し、中盤の底にアンドレ・ゴメスを投入する。だが、負けているにもかかわらずバルサが使った交代枠はこの1つのみ。ベンチに6人を残しながら万策尽き、どう動くこともできなかった。

ベンチメンバーの人材不足。明白だった選手層の差

 一方で、ユベントスは状況に応じて最適な交代カードを切り、最後まで質を落とすことなく勝ちきった。73分に消耗したうえ接触プレーで足を痛めたクアドラードに代え、フィジカルの強さが売りのマリオ・レミナを送り出す。

 81分には2ゴールのパウロ・ディバラを下げてトマス・リンコンを投入し、中盤の守備を強化。最後はミラレム・ピャニッチに代えてアンドレア・バルザーリを入れることで守りきる姿勢を明確にし、無失点で試合終了。マッシミリアーノ・アッレグリ監督の堅実な采配が光った。

 では、バルサはどうだったか。1点でも欲しい場面、ベンチにはルイス・スアレスリオネル・メッシネイマールに代わって質を保ちつつゴールを狙える選手がいたのか。アンドレス・イニエスタと同等の決定的なプレーを披露できる選手はいたのか。走り続けたイバン・ラキティッチやセルジ・ロベルトの役割を同じように果たせる選手はいたのか。

 おそらくベンチにはクオリティと違いを作り出せる要素を兼ね備えた選手は1人もいなかった。出場停止のブスケツのみならず、ラフィーニャやアルダ・トゥランは負傷中で、ユベントスに比べて重要な場面で信頼を置ける人材が不足していた。

 アッレグリ監督の手駒の中には、中盤の質を上げられるクラウディオ・マルキージオや、苦しい場面で無理の利くシュテファン・リヒトシュタイナーやクワドウォ・アサモアといった選択肢も残されていた。彼らはピッチ上の選手たちと代わっても遜色ないパフォーマンスを見せただろう。

 ベンチメンバーの力が必要な場面で、バルサとユベントスの選手層の差が如実に出てしまった。

PSG戦に続く“奇跡”はあるか

 最終的にこの試合の勝敗を分けたのは、ディバラの卓越した個人能力や、守護神ジャンルイジ・ブッフォンの神がかり的なスーパーセーブといった細かなプレーだったかもしれない。それでも大局的に見ればユベントスの方が、バルサよりも優れたチームであることは明らかだった。

 3失点しているとはいえ、バルサは1点でも取れていれば2ndレグの戦い方は大きく変わった。0-3ではなく1-3なら、アウェイゴールルールによって2ndレグは最低2-0でも90分間で勝ち抜けを決められる。カンプ・ノウでユベントスに1点取られてしまったとしても、90分間で3点奪えば延長戦に持ち込める。

 だが、現実は0-3。そうなると2ndレグを90分で終えて準決勝進出を決めるには、最低でも4点が必要になる。もし1失点でもしようものなら、5点取らなければならない。

 この状況で思い出すのは今季のCL決勝トーナメント1回戦、パリ・サンジェルマン(PSG)との2試合だ。1stレグを0-4で終えたバルサは、誰もが諦めかけた2ndレグで6-1という衝撃的な勝利を収め、“奇跡”と呼ばれるほどの大逆転劇を演じて見せた。

 ユベントスとは3点差だが、1stレグで見せつけられた実力差を鑑みればPSG戦と同等かそれ以上の絶望感がある。過去にCL準々決勝の1stレグを0-3で終えたチームが準決勝進出を果たした例はない。

 悪夢再び。

 そう表現するのが妥当な惨敗だった。バルサならまた“奇跡”を起こしてくれるのではないかと希望を抱きたくなるが、“奇跡”というのは言葉の通りそう毎回起こるものではない。今はただ、0-3というスコアに表れた実力差を認め、カンプ・ノウでの2ndレグに向けて顔を上げて前に進むのみだ。

(文:舩木渉)

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