「お前のせいで収拾がつかない!」水原氏が溺れた違法賭博の沼 訴状が明らかにした胴元を怒らせるまでの日々
2024年4月14日(日)18時0分 ココカラネクスト
違法と分かっていながらギャンブルに手を染めていった水原氏。彼が胴元と交わしていたやり取りは衝撃的な内容になっている。(C)Getty Images
支払いに苦心する様子が伺えるやり取り
信じがたい真実に世間が騒然としている。ドジャースの大谷翔平の専属通訳であった水原一平氏が犯していた違法賭博の全容が米ロサンゼルスの連邦検察の公表した訴状によって明るみになった。
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現地時間4月11日、米ロサンゼルスの連邦検察は、大谷の銀行口座を不正に使用し、違法賭博のブックメーカーに対して、1600万ドル(約24億5000万円)分の負債返済を行っていた水原氏を「銀行詐欺罪」で訴追。その過程で公になった37ページに及ぶ訴状には、同氏が行っていた裏切り行為の内情が公になった。
何よりも生々しく、ショッキングだったのは、米連邦捜査局の捜査対象となっていた違法賭博の胴元と水原氏のテキストメッセージでのやり取りだ。21年9月から今年1月までの約2年間に同氏が送っていた言葉からは、合計1万9000件、総損失額は1億8290万ドル(約279億8370万円)という大規模な賭博にのめり込んでいく、異様な日々が垣間見える。
21年9月に南カリフォルニアに拠点を置くブックメーカー(賭け事の取扱業者)の胴元だったマシュー・ボウヤー氏と出会った水原氏は、同年9月8日ごろに違法賭博のウェブサイトのアカウント番号とパスワードを付与。その約2週間後に「UCLAに賭けたが、完敗した!!!」とメッセージを送ったうえで、「引き出しと支払いはどのような仕組みになっているのか」と胴元側から賭博の流れを聞き出している。
そして、約2か月後の21年11月9日ごろに胴元側から支払いの催促を執拗に受けた水原氏は、銀行の限度額やその他の問題のために送金ができないと説明。「1度に4万ドル(約612万円しか送金できないようだ」としたうえで、「ほとんどすべての手は尽くしたが、どれもダメだった。これはとてもストレスだよ」と強調。この時点で支払いに苦心している様子を見せている。
その後に水原氏は「これで最後」という言葉を何度か繰り返し、ボウヤー氏をはじめとする胴元側に“バンプ”(賭け金の上限引き上げを意味する違法賭博の隠語)を幾度となく要求。22年5月時点で100万ドル(約1億5300万円)の負け金を負っていた。
しかし、水原氏は22年11月に「またバンプしてもらえるチャンスはあるか? 知ってのとおり、僕が支払わないという心配は必要ないよ!」と胴元側にメッセージ。この時点で、すでに大谷の銀行口座から資金を不正盗用する術を見出し、賭博行為がエスカレートしていった可能性がある。
バンプを繰り返し、「オレって最悪だ(笑)。やめられない」
バンプを繰り返し、負債を増やしていった水原氏に対して、違法賭博を仕切るボウヤー氏は「6月1日に200万ドル(約3億600万円)を送金できるかを確認したい」(23年5月20日のメッセージ)や「ただ、パートナーとの意思疎通を図りたいだけなんだ。最低でも500万ドル(約7億6500万円)を送金することを確約できれば、いくらでも増やせる」(23年6月22日のメッセージ)と指摘。警告とも取れる内容のメッセージを送っていた。
それでも「オレって最悪だ(笑)。やめられない」(23年6月23日のメッセージ)とギャンブルの沼にハマった水原氏の負債は増え続けた。そして、支払いが完全に滞っていたであろう今年1月6日に、業を煮やしたボウヤー氏は、脅迫めいた強い言葉を送りつけている。
「イッペイ、お前のせいで収拾がつかなくなっているぞ。今日中に連絡がなければ、もう俺の手には負えない」
その約2か月後となる3月20日にスキャンダルは発覚。現在に至っている。
何よりも恐ろしいのは、銀行口座の不正利用を含めた一連のやり取りが、いずれも大谷に対する通訳業務を行っている真裏で実行されていたという事実だ。先月25日の声明発表会見で「正直、ショックという言葉が正しいとも思わない」と漏らした大谷の胸中を考えると、その衝撃はより増す。
誰もが「名通訳」として名を馳せていた水原氏。球史、いやスポーツ史に残るスーパーアスリートの「盟友」だったはず男は、マイケル・フリードマン弁護士を通じて「大谷選手やドジャース、メジャーリーグ、そして家族に謝罪したい」を語っているというが、その真意は現時点で定かではない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]