井上尚弥戦は「過程」 中谷潤人が熱狂必至の決戦の先を見据える理由「そこが最終目標ではない。ただ、一つの大きな目標がいる」
2025年4月14日(月)17時30分 ココカラネクスト

終始、落ち着いた態度で井上戦について語った中谷。(C)CoCoKARA next
世間から実現を待望されるメガマッチを冷静に見据えた。
ボクシングWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M.T)が4月14日に、都内でWOWOW「エキサイトマッチSP」の収録に参加。今年2月に行った同級6位ダビド・クエジャル(メキシコ)との防衛戦を振り返った。
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3回でクエジャルの堅牢をこじ開け、強烈な左フックでKO勝ちを収めていた中谷。相手がリング上で呆然となり、メキシコ・メディアが「ナカタニは凄まじかった」(スポーツ専門サイト『Izquierdazo』)と愕然となった衝撃的なパフォーマンスを改めて目にし、「一回目のダウンは身体がスムーズに出ていった」と回想。さらに「反省はあります。ガードの位置とか、自分のバランスとかをより繊細にやっていかないといけないなって思います」と自己分析を展開した。
規格外の強さを見せつけ、ますます期待が高まる“ビッグバン”。目下、熱視線を向けられているのは、“モンスター”との決戦だ。
去る3月31日に都内で行われたボクシングの2024年度の年間表彰式で、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)から「中谷君、1年後に東京ドームで日本ボクシングを盛り上げよう」と呼びかけられた。
井上の要求に「やりましょう」とにこやかに呼応した中谷は、モンスターとのやり取りを改めて振り返り、次のように語っている。
「階級が違うので身体作りもしなければいけない。なので、まだ勝つための公算っていうのは見えていないです。もちろん、体重を上げていく中でよりプラスの部分は大きくなる。自分自身はスピードが上がると思っていますし、パワーも作れると思います」
世界で「最強」と言われる井上とのメガマッチが中谷のキャリアにとっても重要なターニングポイントとなるのは間違いない。一方で、「パウンド・フォー・パウンドの1位」すなわち「世界最強」を目標に掲げる27歳にとって、業界が期待する井上戦も「過程」と語る。
「そこが最終目標ではないので。その過程で井上選手という一つの大きな目標がいる。今は、そこに向けて、身体作りとか、自分の感覚を上げていかないといけないと思っています」
無論、敬意を欠くわけじゃない。ただ、あくまで自己目標を見据える姿勢は、他でもない井上に「やっぱり強いなという印象もある」と抱かせる理由かもしれない。
今後は「怪我がなければ、年間4試合したい」と語る中谷は、来春に待ち受ける一大決戦に向けた覚悟は決まっている。だからこそ、今は眼前の戦いを一つひとつクリアし、己を高めていく。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]